教師の本棚

『隠された十字架』

201510P131[

梅原 猛=著
1972年/新潮社
¥790+税

“常識”ではなく、“理性”で読む本

丸山 匠勇(東京都板橋区立西台中学校)

今まで数多くの本を読んできましたが、これほど驚いた本は他にありません。それまでの自分の常識・先入観がものの見事に木っ端みじんになってしまったと同時に、知的好奇心が大いに満たされたことを、昨日のことのように覚えています。

きっかけは高校の歴史の授業でした。まだ若くはつらつとした先生が、授業の初めにこう言ったのです。

「僕は先日、とても面白い本を読みました。この本は素晴らしい! でもまだ高校生の君たちには読みこなすのは無理でしょうね。」

もうすでに自分なりにはかなりの本読み(と言ってもまだこの頃はほとんどSFばかりだったのですが)だと自負していた私の自尊心や根っからの反骨精神がムクムクと顔を上げてきて、数日後には当時かなり高価だった(今は文庫本で手に入るので本当に羨ましい限りです)にもかかわらず、大きな書店に注文して手に入れていました。今思うと、全く先生の思うつぼですね(笑)。

この本はこう始まります。「この本を読むにさいして、読者はたった一つのことを要求されるのである。それは、ものごとを常識ではなく、理性でもって判断することである。常識の眼でこの本を見たら、この本は、すばらしき寺、法隆寺と、すばらしき人、聖徳太子にたいする最大の冒瀆に見えるであろう。日本人が、千何百年もの間、信じ続けてきた法隆寺と太子像が、この本によって完全に崩壊する。」

何と魅力的な書き出しでしょうか!私は600 ページにならんとする本書を、本当にむさぼるように読んでしまいました。生半可なミステリーなんかより、私の知的好奇心は満たされ、筆者の作品を片っ端から読んで、大学は哲学科に進もうか、と思ったくらいです。

この本には、修学旅行で法隆寺へ行ったときに、非常に役立ちます。何故かというと、法隆寺の「目に見える」大きな不思議に対して、あれこれ説明できるからです。これで一気に人気者、とはいかないかもしれませんが、尊敬の眼差しくらいは感じられるかもしれませんよ。

さあ、知を愛するあなた、ぜひ一度実際に手に取ってみてください!

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