映画・ドラマに学ぶ教育の本質

「日輪の遺産」

 

2011年/日本/134分
監督:佐々部 清
脚本:青島 武
キャスト:堺 雅人、中村 獅童、福士 誠治、ユースケ・サンタマリア、森迫 永依、
八千草 薫 他
主題歌:元ちとせ「永遠(トワ)の調べ」
発売元・販売元 株式会社KADOKAWA
価格:¥4,700+税(DVD『日輪の遺産 特別版』)

 

 祖国の復興を願った陸軍将校と少女たちの物語

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

 

浅田次郎の同名長編小説を、映画化したのが本作です。原作は1993 年に青樹社から刊行され、1997 年には講談社、2000 年には徳間書店から文庫本が出版され、50 万部を超えるベストセラーとなりました。それだけ人気の高い小説ですが、浅田次郎が好きな私はいち早く原作を読み、しばらく経った後にこの映画を観ました。原作とは異なる部分が多々あり、少し別の作品のようにも感じましたが、堺雅人の好演もあって見応えある映画に仕上がっていました。

観賞後の満足度は高いと思いますが、何がどう小説と異なるのかについては、ぜひ原作も一緒に読んで比較してみてください。余談ですが、NHKの朝ドラ「まれ」で主役を務めている土屋太鳳が、女学校の生徒役で登場しています。

映画は、日系米人で日本駐留時にGHQでマッカーサーの通訳を務めた元在日アメリカ軍司令・イガラシ中尉(ミッキー・カーチス)が、日系新聞取材記者ダニエル・ニシオカ(中野裕太)に当時の思い出を語る場面から始まります。

イガラシは日本語で「幽窓無暦日」と書き、本当の英雄が誰であるのか、登場人物について語り始めます。そこから、マッカーサーが「私の宝、遺産」と叫んだ「日輪の遺産(THELEGACY OF THE SUN)」とは何か、その謎解きが展開されていきます。

森脇女学校の卒業式に来校した一人の老人が石碑を見つめて拝み、その後に参列した卒業式の途中で急逝します。通夜の席でその妻の久枝(八千草薫)が古い手帳を傍らに置き、遺族に夫の秘密を語ります。

終戦直前の1945 年8月10 日、帝国陸軍近衛第一師団少佐の真柴司郎(堺雅人)と東部軍経理部主計中尉の小泉重雄(福士誠治)は、阿南陸軍大臣ら軍トップから秘密裡に呼び出され、重大な密命を受けます。それは、山下将軍がシンガポールでマッカーサーの父から奪取した900 億円(現在の貨幣価値で約200 兆円)の財宝を誰にも知られず多摩の陸軍工場へ移送し、隠匿するというものでした。その財宝は、敗戦を悟った阿南大臣らが戦後の祖国復興を託した軍資金であり、真柴と小泉は陸軍座間五百一連隊曹長の望月庄造(中村獅童)と共にその極秘任務を遂行します。

特高の呼び出しから帰ったばかりの森脇女学校教師、野口孝吉(ユースケ・サンタマリア)と20 名の少女たちが勤労動員で呼集され、本土決戦のための新型爆弾の隠蔽であると命じられ、けなげにこの財宝隠しに加担します。

級長の久枝(森迫永依)は貧血で休むことが多く、『車輪の下』を読むような多感な性格ですが、友達思いの正義感が強い生徒でした。終戦直前、真柴らに非情極まりない命令が下ります。そして、終戦の詔の後、思わぬ手違いで少女たちと財宝の運命が変わっていくのです。

何となくきな臭い雰囲気が漂うこんな時代の夏にこそ、ぜひ観てもらいたい映画です。

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