場面指導

教員採用試験の場面指導 CASE7 1人の児童が運動会での失敗を責められています。どう対応しますか?

教員採用試験の面接試験で「場面指導」を実施する自治体が増えています。事例解説を通じて対応力を高めましょう。
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絵・清水ゆざめ

【ミニクイズ】このクラス対抗競技、何だか分かりますか?

解説=中根政美(共栄大学客員教授、元埼玉県公立小・中学校長)

 

設問の状況

運動会のクラス対抗競技は、クラスの仲間で練習を重ねるため、学級の団結を強める良き機会になります。一方で、記録や結果ばかりにとらわれると、事例のように失敗した児童が責められたり、運動が苦手な児童が排除されるなど、いじめや不登校を生む契機にもなります。事前の指導、結果が出たときの指導と評価も含めて、教師としての指導力と資質が問われる場面指導です。

模範的な対応例

対応のポイントは、3点あります。①状況を把握し、特定の児童を責める言動をただちに止めさせることができるか、②結果だけでなく、練習の過程で得たものにこそ価値があることを理解させられるか、③責められた児童への心のケアを適切に行うことができるか、です。児童がお互いに尊重し合い認め合う雰囲気のある学級づくりができるかどうか、教師としての指導力と資質が問われます。

【問】休み時間に廊下を歩いていると、担任する学級の教室から、運動会のクラス対抗競技で失敗した子供を責める声が聞こえてきました。どうしますか?

【答】すぐに教室に入り、状況を把握し、責めるのをやめさせます。そして、結果は残念だったけれども、一生懸命、練習に取り組んできたことの大切さを伝えます。

【問】それでも児童が納得せず、「みんなで頑張ってきたのに、こいつのせいで……」と涙ながらに訴えてきたらどうしますか?

【答】勝利を目指して練習に取り組んだことで、学級の団結が強くなったことこそが素晴らしいのだと話します。失敗した人を責めたら、その団結が本物ではなくなることを説明し、また、自分が失敗した人の立場だったらどんな思いがするかと問い掛けます。このことは、時間をつくって学級の他の児童にも話したいと思います。

【問】指導に当たり、留意することは何ですか?

【答】結果にこだわるのではなく、学級全員が励まし合いながら練習に取り組んできたことの大切さを理解させることです。

【問】それで十分ですか?

【答】失敗を責められた子供への対応も大事です。教師として、周囲から責められる状況を防げなかったことを謝り、今後は守り抜くことを伝えます。また、保護者にも学校であったことを伝え、いじめや不登校につながらないよう、しっかりとケアしていくことを伝えます。

【問】保護者から、「失敗を責める雰囲気があるのは、学級としてうまくいっていないからではないですか?」と言われました。どうしますか?

【答】まず、反省の気持ちを示し、今後は絶対に繰り返さないことを伝えます。その上で、家庭と連携することの大切さを話し、協力をお願いします。

求められる教育的知見

「いじめ」や「不登校」の原因はさまざまですが、この事例のような出来事もきっかけになり得ます。文部科学省によれば、平成25 年度の全国の「いじめ認知件数」は18 万件を超え、「不登校児童生徒数(小・中)」も6年ぶりに増加し、12 万件近くに達しました。

教師として、児童生徒の状況をしっかりと把握し、豊かな人間関係とコミュニケーションに満ちた学級をつくることが重要です。そのためには、競技に勝ちたいという向上心を褒めながらも、努力の過程が大事であることを伝え、目標に一丸となって取り組んで行く雰囲気の醸成を、学級づくりの基盤にすることが求められます。

また、責められた児童生徒には、今後は守り抜くことを伝えると同時に、継続的に様子を見守っていきます。さらに、児童生徒理解の好機と捉え、一人一人と個別に話す時間を確保し、心から理解できるように指導します。納得や理解が不十分なままでは、やがて学級崩壊につながります。行事への取り組みを通して、児童生徒を成長させたいという教師の熱意が、面接官に伝わるようにします。

類似する質問例

○ 運動が苦手で、なかなか休み時間の遊びに入れない子供がいます。周囲の子供たちも誘いません。どう指導しますか?

○  地域住民の方から「通学路で、1人の児童が音楽会での失敗を責められているようだ」との電話が学校にありました。どう対応しますか?

【クイズの答え】大縄跳び

 

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CASE8は、本誌『教員養成セミナー2015年9月号』のP.112~113をご覧ください!

 

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