教師の本棚

『本日は、お日柄もよく』

201508P99

原田 マハ=著
2010年/徳間書店
¥1,728+税

 

人前で話すことが多い教師として、ぜひ読んでほしい一冊

遠江 久美子(町田市立鶴川第二中学校教諭)

教師をしていれば、必ず異動があります。そして、異動に伴って必ず行うのが離任式でのスピーチです。児童生徒に何を伝えようか、どうせならば心に響く言葉を残したいと、いつの時も考えています。前任校の離任式でスピーチをすることになった際、私の心にとある本の一節が浮かびました。それは次のようなフレーズです。

「困難に向かい合った時、もうだめだ、と思った時、想像してみるといい。1時間後の君、涙がとまっている。24時間後の君、涙が乾いている。2日後の君、顔を上げている。3日後の君、歩き出している。」

本の題名は『本日は、お日柄もよく』。著者は原田マハ。主人公は、日本ではまだ珍しい「スピーチライター」。ぱっとしない27 歳のOL・二ノ宮こと葉が、この馴染みのない仕事に就くことになったところから、物語は始まります。

「スピーチライター」とはどんな仕事なのか、本書を読むとよく理解できます。また、スピーチが上手い人は、言葉だけで人の心を鷲掴みにするということも、本書を通じて痛感させられます。本書を読み進める中で、こと葉の成長を応援しつつ、自らのスピーチ力向上も気にしている自分がいました。“人前で話す”ことを常に求められる教師にとって、とても意義深い内容です。

このフレーズを取り入れた私のスピーチは、多くの生徒の心に届いたと同僚が教えてくれました。自分の読んだ本の言葉がスピーチになって届く。本から飛び出した言葉が、人の心を揺さぶる。なんて素敵なことなのでしょうか。

作者・原田マハの小説は、どの作品も温かくて読後感が良く、生きる力が湧いてきます。離任式後に数名の生徒から「遠江先生のスピーチの言葉が載っている本を紹介してください」との問い合わせがあったと、前任校の司書さんから嬉しい連絡があり、そのことで私の気持ちもほっこりしました。落ち込んだとき、元気になりたいときに読んでほしい一冊です。

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