映画・ドラマに学ぶ教育の本質

「きっと、うまくいく(3 idiots)」

監督:ラージクマール・ヒラニ
キャスト:アーミル・カーン、カリーナ・カプール、R. マーダヴァン、シャルマ
ン・ジョーシー 他
DVD&Blu-ray 好評発売及びレンタル中
発売・販売元:株式会社ハピネット ¥4,200+税
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 現代日本の教育、社会的課題にもつながるインド映画

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

 

梅雨時の鬱陶しい季節だからこそ、紹介したい映画です。171 分もの大作ですが、実に見応えがあります。映画大国インドで興行収入歴代ナンバーワンを記録したという大ヒットコメディドラマです。

離陸した飛行機が、男の仮病によって引き戻されるシーンからこの映画は始まります。のっけから、何だろうという疑問が湧きます。

聞くところによれば、ナヴァ・ラサという9つの情感を取り入れるのがインド映画の基本とのことです。9つの情感とは、①シュリンガーラ (恋心/ロマンス) ②ハースヤ(笑い/ユーモア) ③カルナ (悲しみ/涙) ④ラウドラ (怒り/復讐) ⑤ヴィーラ (勇猛/アクション) ⑥バヤーナカ(恐怖/スリル) ⑦ビーバッサ (嫌悪/敵) ⑧アドブタ (驚き/サスペンス) ⑨シャーンタ (平安/ハッピーエンド)だそうです。この映画にはその全てがあると思います。

インド屈指のエリート理系大学ICE (Imperial Collegeof Engineering)を舞台に、型破りな自由人のランチョー(アーミル・カーン)、機械よりも動物が大好きなファルハーン(R. マーダヴァン)、なんでも神頼みの苦学生ラージュー(シャルマン・ジョーシー)の3人が引き起こす騒動を描きながら、行方不明になったランチョーを探すという、ちょっとミステリアスなストーリー。物語は「現在」と「10 年前」が同時展開しながら描かれていて、それがまたこの映画を面白く、楽しくしています。

10 年前、難関工科大学ICE に入学した3人の学生。それぞれに家庭の期待を受けてスタートした大学生活が、現在の様子と絡みながら紹介されます。大学卒業後、行方不明だったランチョーの居場所が分かったとの話を同窓のチャトルから聞き、ファルハーンとラージューは母校に向かいます。そこで二人は、チャトルから「ランチョーを探しに行こう」と持ちかけられます。自由奔放で好きなことをやるのに成績抜群の天才ランチョーとルームメイトだったファルハーンとラージュー。何をするにも一緒で、しばしばバカ騒ぎをやらかし、学長やチャトルらから「3idiots(3バカ)」と呼ばれていました。一方で、常に真っすぐなランチョーは、異議があれば学長にすら物申し、独自の考え方、好きなことに打ち込みます。そして、ランチョーと学長の娘・ピア(カリーナ・カプール)が接近し、3人は卒業目前で退学を言い渡されてしまいます。

カースト制度による貧富差、学力差によるヒエラルキー、親の期待と自分の気持ちの違い、進級や卒業に関する学生の苦悩、進路をめぐる競争社会の現実、夢と現実の課題など、インドのさまざまな社会的課題をこの映画から感じることができます。そして、それは現代日本の現実でもあるのです。

人生のとらえ方は人それぞれですが、「きっと、うまくいく(Aal izz Well)」という言葉は、私が好きな言葉である「人間万事塞翁が馬」にも通じると思っています。

 

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