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超初心者向け 「見取り図」で分かる新指導要領「総則」 完全攻略ガイド

難しい言葉が並ぶ新指導要領。でも、キモさえつかめば必ず克服できます!
布村育子先生がやさしく解説します!

著・布村育子
埼玉学園大学人間学部准教授。学校法人大谷学園横浜高等教育専門学校非常勤講師、東京学芸大学非常勤講師などを経て現職。主な著書に『迷走・暴走・逆走ばかりのニッポンの教育 なぜ、改革はいつまでも続くのか?』(日本図書センター)などがある。

 

はじめに
著者から受験生へのエール

不安を抱えた「超初心者」の人たちに向けて解説します!

大胆なことを言いますが、たぶん教師になったら、学習指導要領を読む機会なんて、そんなにないと思います。読者のみなさんも、うすうす気付いているんじゃないかな。学校の先生が、指導要領をないがしろにしている、という意味ではありません。教師になったら、授業には教科書を使います。その教科書は、指導要領を基準にしています。だから、指導要領を無視していることにはならないしね。
じゃあ、なんで今、指導要領の勉強をしているんだろう。指導要領の勉強って、意味ないのかな。「こんな数式、覚えて何になるの」と叫びながら受験勉強していた頃と同じ思いが、湧き上がってきたかもしれません。
実は私も、その意味はよく分かりません。いや、正論みたいなことや、道徳的なことは言えますが、それを聞いても、学習の動機付けにはならないと思います。実際、一字一句間違えないように、指導要領のキーワードを暗記していることが、先生の能力を証明することになるのかどうか不明です。けれども事実として、採用試験では指導要領からの出題率は高いから、やっぱり勉強しなくちゃいけないのかな、くらいの気持ちでいます。勉強したらしたなりに、見えてくることもあるけどね。
というわけで、ここから先は、指導要領を見ると、どこをどう覚えてよいのか茫然としてしまう、という暗い気持ちを抱えている人にお届けする「超初心者向け学習指導要領攻略ガイド」です。
「指導要領を勉強する意味を、私はしっかり分かっています!」という方がいらっしゃったら、ここは読み飛ばしてもらってもかまいません。
私が想定している読者は、採用試験の勉強を続けられるのかなぁ、大丈夫かなぁ、という不安を抱えた人たちです。扱うのは、試験によく出る「前文」と「総則」だけ。約半年後の採用試験本番に向けたウォーミングアップくらいに考えて、気楽に読んでもらえると嬉しいです。

 

攻略①
まずは新学習指導要領の全体像をつかもう!

全体のうち、「前文」と「総則」からよく出題されます

学習指導要領の全体像を見てみましょう。下の図は、新学習指導要領の章立てです。今回扱うのは、上部の2つ、「前文」と「総則」だけです。教職教養では、ほとんどこの2つから出題されているからです(専門教養では、各教科からも出題されます)。前文は、学習指導要領の理念を表した部分、総則は、指導要領の方針を示した部分とひとまずイメージしておきましょう。
で、総則は、いくつかのパーツに分かれています。右ページの下の図は、総則の構成です。「教育課程」という言葉が各学校種で3回ずつ出てくるから、総則を理解するためには、どうやら「教育課程」を理解する必要がありそうですね。
教育課程って、何でしょうか? とりあえず、学校の教育計画ぐらいのイメージで押さえておきましょう。授業計画、年間指導計画、学校行事等、学校で行われている教育活動をいつどんなふうに行うのかを示した計画が教育課程です。

最頻出の「総則」は,例えるなら理想の教育をキラキラ語るキャラです

次に、総則の章立てが何をテーマとして書かれているのかを、上から順に説明しましょう。
「第1(高校は第1款)」のテーマは、学校は何を目指しているのか、です。「第2(高校は第2款)」のテーマは、教育計画(教育課程)をつくる時の注意点、「第3(高校は第3款)」は、授業を行うときの注意点、「第4(高校は第5款)」は、個別性への配慮、「第5(高校は第6款)」は、学校は何をすべきか、「第6(高校は第7款)」は、道徳教育をどうすすめるか、これらがテーマになっているとイメージすると内容が捉えやすいと思います。
つまり総則には、学校教育の方向性を示した上で、では、その実現のために、子どもに何を学んでほしいのか、先生はどんな指導をすればよいのか、どんなことに気をつければよいのか、学校はそれをどうバックアップすればよいのか、そういうことが書かれてあります。
これをもっと簡単に言うと、指導要領の総則は、理想とする教育の実現のために、何をすべきかが示されているということです。
あなたの身近にいる、高邁な理想を雄弁に語る人を思い出してみてください。とっても、キラキラしていますね。指導要領の総則はその人です。今からみなさんは、その人の言葉を聞いていくのです。まぶしい言葉がそこにはちりばめられています。説教くさいところもあるし、「それ、可能なの?」と突っ込みを入れたくなる時もありますが、理想なんだから仕方がない。時々は「おっ、いいこと言ってんじゃん」って部分もありますから、まずは、指導要領の言葉に耳を傾けてみましょう。

ミニコラム 中教審の「答申」も大事

指導要領にはいろんな抽象的な言葉が、「知ってて当然」とばかりに登場してきます。指導要領だけ見ていると、どこからこの言葉は出て来たんだろうって不思議に思いませんか? 指導要領が作られる時には、中央教育審議会(中教審)という会議に有識者が集まって審議をします。その審議の結果が、「答申」という形で発表されます。この答申に使用された言葉が、指導要領に登場しているのです。
「社会に開かれた教育課程」「主体的・対話的で深い学び」など、この特集でもキーワードになっている言葉の出自を探りたければ、答申をみてみましょう。その答申の名前は、2016(平成28)年12月21日に発表された「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について(答申)」です。採用試験にも答申からの出題があります。正誤問題の択一に答える時に、一度でも答申を読んでおけば、迷っても何となく選べてしまうかも。

 「新指導要領の大きな理念を語っている『前文』」へつづく

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