最新号の内容 | 教師のそのアクション イイ?ダメ?どっち!?

教師のそのアクション イイ?ダメ?どっち!? 〜教員の兼業

教壇に立つ弁護士・神内聡が一刀両断!
教師であり弁護士でもある神内聡先生が、教師がやりがちなアクションを法規に基づいて解説します。

教師のそのアクション
イイ?ダメ?どっち!?

著・監修 神内聡
弁護士・高校教員。教育法を専門とする弁護士活動と東京都の私立学校で高校教師を兼業する「スクールロイヤー」活動を行っている。担当科目は社会科。著作に『学校内弁護士 学校現場のための教育紛争対策ガイドブック』(日本加除出版)など。

設例8 教員の兼業

保護者から、「教師は公務員なのに、兼業していいの?」と、先輩教師の連載が載った教育雑誌を見せられました。教師が雑誌に執筆するのは問題があるのでしょうか?

1 「教育に関連する仕事」なら、兼業OK!

地方公務員は地方公務員法により任命権者の許可を受けなければ営利企業を営むことや報酬を得ていかなる事業にも従事することはできません(同法第38条第1項)。しかし、公立学校の先生は任命権者が承認した「教育に関する兼職」をすることができます(教育公務員特例法第17条第1項)。注意すべき点は、地方公務員としての兼業は任命権者の「許可」が必要とされるのに対し、教育公務員として「教育に関する兼職」をする場合は任命権者の「承認」が必要とされる点です。一般的には、「許可」よりも「承認」の方が任命権者の裁量が限定されるため、兼業が認められる場合が広くなります。
では、どのような場合に「教育に関する兼職」が承認されるのでしょうか。この点は自治体によって異なるのですが、ある自治体では他の学校、公益団体、教育施設、図書館・博物館等の非常勤業務に就くことを「教育に関する兼職」としています。また、兼職を承認しない場合として、職務の遂行に支障をきたす恐れがある場合、学校教育の本旨と相いれない場合、住民の信頼を損ない学校教育に疑念を持たせるものである場合等を定める自治体があります。
したがって、公立学校の先生の兼業は、それが「教育に関する兼職」に該当し、かつ「承認しない場合」に該当しないならば、任命権者である教育委員会によって承認されることになります。設問では、社会科の先生が雑誌連載をしていますが、連載する雑誌が教育に関するものであれば、「教育に関する兼職」に該当し、教員の業務に支障が生じる場合等でない限り承認されるでしょう。しかし、教育と関係のない雑誌であれば「教育に関する兼職」に該当せず、兼業は承認されません。実際には「教育に関する兼職」の判断が難しい兼業もあるでしょう。

 

2 何が「教育に関連する仕事」なのか?

一方、教員が「塾・予備校の非常勤講師」を兼業する場合はどうでしょうか。自治体の判断基準にもよりますが、ほとんどの自治体では「承認しない場合」に該当すると思われます。確かに、塾・予備校の非常勤講師の仕事自体は「教育に関する兼職」に該当すると解して差し支えなく、授業力向上といった教員の能力向上に資するものでもあり、子供たちの利益になるとも考えられます。しかし、仮に塾・予備校の非常勤講師が「教育に関する兼職」に該当するとしても、教員がそれを兼業すれば、子供たちを兼業する塾・予備校に勧誘する教員が現れる可能性も否定できず、この意味で学校教育に支障が生ずる恐れがあることから、やはり承認は難しいのではないかと思われます。
ちなみに、私は私立学校の教員と弁護士を兼業していますが、仮に私が公立学校の教員であれば弁護士との兼業は「教育に関する兼職」に該当せず、承認されません(過去に公立学校の教員として採用される際、問い合わせた経験あり)。しかし、私の弁護士業務がいじめや保護者対応等に従事するものであるなら、「教育に関する兼職」に該当しないとは判断できない可能性もあるでしょう。もっとも、弁護士は利益相反行為の禁止や守秘義務等の関係で非常に重大な法令上の義務を負っているため、弁護士業界としては私のように弁護士が教員として雇用され、学校の組織内弁護士として活動することについては必ずしも積極的ではない面もあります。
学校には個性的で一芸に秀でた先生もたくさんいます。こうした人たちが、学校以外の世界で兼業を介して自己の能力を社会に役立てたいという気持ちは尊重されるべきだと思います。教員に対する「教育に関する兼職」の承認については柔軟に運用していくことも検討されるべきでしょう。

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