映画・ドラマに学ぶ教育の本質 | おすすめDVD

『神様メール』

『神様メール』
2015年/フランス・ベルギー・ルクセンブルク/115分
監督:ジャコ・ヴァン・ドルマル
出演:ピリ・グロワーヌ,ブノワ・ポールヴールド 他
発売元:アスミック・エース
販売元:KADOKAWA
価格:3,800円+税 DVD発売中
(C)2015-Terra Incognita Films/Climax Films/Apres le deluge/Juliette Films Caviar/ORANGE STUDIO/VOO et Be tv/RTBF/Wallimage

「笑」 問題提起としてのツール

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

今回のテーマは「笑」。この映画は、正直あまり期待していなかったのですが、いやいやどうしてなかなかの「名作」です。確かにコメディーなのですが、ちょっとひねった乾いた笑いをもたらす映画です。
「神は実在し、ブリュッセルに住んでいる」というフレーズで、神の家族の紹介から映画は始まります。何とも横暴でドミネントな神の姿とそれに怯える無口で従順な主婦(女神)、そして反抗期に差し掛かる娘のエア、さらに神の家を出て人間世界で磔になってしまい、時々像から蘇るJC (イエス・キリスト)が織りなす、神の家族の大波乱事件。
その神は何と1人で部屋にこもって古いコンピュータで暇つぶしに人間界を創り、人間同士の運命をコンピュータで支配しているのです。こんな独りよがりでわがままでどうしようもない神に反発する10歳の娘のエアは、兄のJCと同様、地上の人間界に家出し、兄のアドバイスから、12人いる使徒をさらに6人増やし、『新・新約聖書』を書くという、なんとも荒唐無稽なアドベンチャーに挑戦します。
しかし、その新しい6人の使徒である人間の苦悩の状況とそれを乗り越える姿に、不思議に新しい世界の到来を感じることができます。『旧約聖書』に出てくる横暴な神の姿と家族へのDV的行為、物言わずに堪える女神の従順の裏にある能力と可能性、父権にリベンジする神の子供たちの姿など、まさに現代の人間の家庭の姿であり、人は神に似て創られたと同時に神も人間に似せて生み出されているのだと分かるのです。
日本人は八百万の神々(自然神)を信奉しているので、さほど問題ではないのですが、キリスト教を信奉する方々、特に米国の一部地方では「不敬罪」だと大問題となるのではないかと思われる問題作です。
神の姿が人間に近いのか、人間が時代に応じて似せた神を創るのか、社会の悲劇と宗教の問題、人の生きざまと神との出会いなど、しかめ面の説教話ではなく、笑いの中にブラックな風刺を溶け込ませるこの映画、ぜひ皆様にもお勧めです。


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