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学校にまつわる謎を解け!教職探検隊「『教職課程』のつくり方」

このコーナーは、学校や教育にまつわる、知っていそうで知らない素朴な疑問を解き明かすもの。編集部による「探検隊」が、教職のプロ・高野敬三先生の元へ「遠征」します。
今月の謎は「『教職課程』のつくり方」。「教職課程」は各学校で、児童生徒や地域の実情に応じて編成することになっていますが、具体的にはどうやって定めているのでしょうか。

監修 高野 敬三(明海大学副学長)
1977年に都立高校英語科教員となる。都教育委員会理事、都教職員研修センター所長、都教育監などを歴任し、2016年より現職。

「教職課程」=学校の「顔」

(以下 高=高野先生、隊=探検隊員)
隊1:高野先生こんにちは。本誌が発売される6月は、いよいよ試験目前という時期です。
隊2:多くの大学4年生にとっては、ちょうど教育実習が終わる時期でもあります。試験直前で、実際に児童生徒と接し、「教師になりたい」という決意をさらに強めたという人も多いことでしょうね。
高:うん。学校現場を経験すると、モチベーションも上がるだろう。その熱意を、試験本番にぶつけてほしいね。
隊1:ちょっと待って!? 「教育実習」の時期? 知り合いの受験生は、9月に教育実習に行くと言ってましたけど……。
高:ああ、実は、各学校にとって、教育実習の受け入れは義務ではない。受け入れの可否、時期、人数などは、各学校が学校行事などを考慮して決めているんだ。最近は、5〜6月に運動会をやる学校も多く、教育実習を秋に受け入れるというパターンもたまにある。
隊2:ちょっと待って!? 春に「運動会」? 運動会って、秋にやるって決まってるんじゃないんですか?
高:平成も終わるのに、探検隊諸君の感覚は、「昭和」のままのようだね。まあ、原稿をまとめている編集者が昭和臭いし、仕方ないか。
隊2:何かおっしゃいましたか?
高:いやいや、独り言だ。話を戻すと、「運動会」などの学校行事は、「教育課程」の「年間行事計画」に基づいて実施している。では、その教育課程を定めるのは、誰だか覚えているかね?
隊1:学習指導要領で、「各学校」が定めるとされています。
高:その通り。だから運動会をいつやるかは、各学校の裁量に任されていて、もっと言えば、どんな教育を実践するのかも、各学校が「教育課程」で定める。つまり、教育課程は、まさに保護者や地域に対する「学校の顔」のようなものと言えるんだ。

 

教育課程が定めているもの

隊2:へー。漠然と「教育課程は各学校で定める」と覚えていましたけど、実は、奥が深そうですね。
高:教育課程は、教育の根幹だ。大まかに言えば、各学校で、次のようなものを定めている。

①本校の教育目標
②教育課程表
③年間行事計画

隊1:それぞれ具体的に、どんなものなのでしょうか。
高:まず②教育課程表、から説明しよう。これは、どういう教科・科目を何年生で何時間、指導するかを定めた表だ。学習指導要領にある教科・科目を表に当てはめていく。小・中の義務教育段階では、まあ当然、全国同じような教育課程表になるのは想像が付くだろう。
隊2:義務教育段階以降は、各学校の特色が出そうですね。
高:その通りだ。高校は、選択科目をどう配置するかで、大きく変わってくる。さらに、工業や商業、農業、水産などは、専門的な科目もある。学校教育のプロなら、教育課程表を見れば、その学校がどんな教育に力を入れ、どんな人材を育成しようとしているのか、一目瞭然で分かるよ。
隊1:③年間行事計画についてはどうですか?
高:年間行事計画では、先ほどの「運動会」の例のように、4月から翌年3月までの間に、学校が実施する行事を定める。これには、学校独自の「色」が出るぞ。例えば、東京都の某高校は、文化祭・体育祭に熱心で、準備期間も長く取っている。そして、生徒が全力で素晴らしいパフォーマンスを見せるため、毎年、1千人単位で観客を集めるイベントに定着したという例もある。この他、年間行事計画には、2学期制にするか、3学期制にするかということも含まれる。
隊2:①本校の教育目標についてはどうですか?
高:うん。これについての説明を最後に回したのには理由がある。実は、②③も重要だが、各学校の教育課程で最も重みがあるのは、①本校の教育目標だ。
隊1:なぜ、一番重いのですか?
高:②③は、年間の具体的な教育内容を定めたものだ。しかし、実はこれらはすべて、①本校の教育目標を受けて決定される。つまり、②③は、①を達成するための一手段というわけなんだ。
隊2:具体的な例があれば教えてください。
高:例えば、①として「『知・徳・体』のバランスの取れた育成」を定めたとする。すると、「知」の教育のために習熟度別学習を実施する、「徳」の教育のために道徳の授業で保護者を招く、「体」のために体力調査を毎学期実施する、といった具体的な実践が決まっていくんだ。

 

 論面の対策としても知っておきたい
「教育課程の作り方」

隊1:教育課程の重要性は改めて理解できました。この編成は、校長や管理職が行うんですか?
高:教育課程は、校長が教育委員会に提出することになっているが、幅広い内容を定めないといけないので、校長や管理職だけで編成するのは、とても無理だ。全教員が編成に関わることになる。
隊2:全教員!? どういうことでしょうか。
高:例えば、教科や科目の編成は教務部に、生徒指導のことは生徒指導部といった具合に、各校務分掌に担当させるんだ。まず、その年に計画・実施した教育目標を評価させる。その上で、それを来年度はどうするのか、改善策を出させるんだ。
隊1:計画・実施し、評価して改善する……。どこかで聞いたことのあるような……?
隊2:分かった!「PDCAサイクル」ですね!
高:よく気付いた。新学習指導要領で示された、「PDCAサイクルによる教育課程の改善」=「カリキュラム・マネジメント」とは、このことに他ならない。
隊1:何だ、カリキュラム・マネジメントって、難しそうな言葉だけど、昔からあった考え方なんですね。試験に備えて、また一つ勉強になりました。
高:昔からあったことは間違いないが、うまく「評価」と「改善」が実行できていなかったというのが正直なとこだろう。でも、これからの社会は、AIの発達や情報化が進み、ますます予測不可能な時代になる。教員は単に教科指導や生徒指導を行っていればよい時代ではない。教職希望者には、自分が実施したことを評価・改善し、少しでもよい教育を目指す意識を持ってほしいね。

 

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