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学級経営キホンのキ 「保護者とのコミュニケーション」=「子どもを育てることが信頼を生み、信頼はさらに子どもを育てる」の巻

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「保護者とのコミュニケーション」=「子どもを育てることが信頼を生み、信頼はさらに子どもを育てる」の巻

河原田 友之(東京教育研究所主任研究員)
千葉県で37年間教員を勤め、現職。

さまざまなタイプの保護者

どの保護者も子どものことを大事に考えています。心配しています。保護者なら当然です。学級担任、学校は子どもを通して保護者とも向き合っているのです。
教師にとって、子どもや保護者との良好な関係は、元気の源になります。保護者のほとんどは、新任の先生より年上です。さまざまな経験を経た人生の先輩なのです。しかし、現在は、ますます価値観の多様化が進み、意見を一つにまとめる困難さを感じる社会です。日々成長する子どもたちですが、保護者からいろいろな意見が出てくると、向き合うのもなかなか厳しいものがあります。
人との関係で大切なことは誠実に対応することです。でも、現実的には残念ながら、誠実に対応すれば、何もかもすべてがうまくいくとは限りません。次のような事例を一緒に考えてみましょう。

事例1
子どもの現実を見られないタイプ

4年生女子児童。学校では誰とも話しません。口がきけないわけではありません。家庭では大きな声で話すと聞きます。でも、先生が話しかけても、うなずくだけです。家庭は梨農家で本人、ご夫婦と妹、祖父母との6人家族です。「1年生から、学校では話さないと担任の先生に言われ続けてきました。家では話すので心配しないできました」と、つぶやくように母親は語ります。

事例2
子どもに無関心なタイプ

5年男子児童。20年以上低学年を中心に指導されているベテラン教師が担任しています。男児の学力はせいぜい3年生程度で、授業をいつも抜け出します。先生が話すと大声を張り上げます。隣や後ろの子へちょっかいを出して授業を邪魔します。叱ったり、ほめたりしながら毎日を過ごしてきました。これまでの担任の申し送りでは、保護者は「そうですか」とは言うが、忘れ物をしても、気にしないし、電話をしても出ません。保護者会にも出たことがないということです。

事例3
不平や不満をいうタイプ

最近増えてきたケースです。3年生女子と6年生の男子をもつ母親。月に3〜4回、いや週に1回は来校します。「うちの子の傘が壊された。これで3回目です。傘立てで傘が壊れるのは誰かが壊したからですよね。弁償してもらえますか」など。学校の指導が悪い、担任に力がないなどキリがありません。学校は児童数が千人を超えるマンモス校で、春の運動会はグラウンドの保護者の場所取りが続いて、前日の夜には校門前に数十人が並びます。近所からの苦情が続きました。そこで、抽選によって、人数を制限しながらグランドに入る方式に変えたのです。これに対して、この保護者は「その抽選はPTAの役員に特権があるのではないか。その抽選を見学させろ」と言います。700世帯の抽選に2時間かかります。それを見学して、ごまかしのないことを知って黙って帰っていきます。

保護者の反応
―3つの事例の場合

この他、「親子の分離ができない」タイプや「一般常識に欠けている」タイプなど、様々な例があります。
事例1では、班活動を中心として子どもが少しずつ明るい表情を見せるようになると、保護者も懇談会に参加するようになりました。そして、子ども自身は友達と会話ができるようになりました。
事例2は、先生方や友達が教えたりすることで、子どもに落ち着きが生まれるようになってきました。しかし、保護者は変わりませんでした。
事例3は、この保護者の2人の子供には担任を含めて目を離さないことと、気になることがあれば保護者に早めに連絡を入れることを決めました。簡単には変わりませんでしたが、学校に来ても怒鳴ることは減りました。管理職が対応することで落ち着いて帰っていくようにもなりました。

授業で子どもを変えて、
保護者との関係を育てる

教師を目指すあなた方に望む第1の条件は授業で勝負できる教師を目指すことです。
普段から分かる・できる授業を創造することです。分かる授業によって、子どもたちは授業の「主役」であることを実感します。子どもの輝く姿は必ず家庭に伝わっていきます。子どもが楽しく学校に通い、楽しく家庭に帰ってくる姿は保護者にとって担任に対する絶対的な安心につながるのです。何よりの保護者とのコミュニケーションです。子どもに授業力をつける教師こそが保護者の信頼につながることを肝に銘じてください。

保護者懇談会で子どもの
活躍を見せる!

教師を目指す人に望む第2の条件は、どこの学校でも年に数回ある授業参観・懇談会を変えることです。授業参観では子どもたちが確かに育っている姿を見せることです。手の挙げ方、発言の仕方、ノートのとり方など、規律ある姿を見せることは保護者に安心感を与えます。参加型授業も必要です。
懇談会ではゆったりとした雰囲気をつくり、限られた時間でもテーマを決めたり、資料を用意することなども大事です。私は、普段出席されない父親に司会をしていただいて盛り上がったこともあります。教師が一方的に話すことは厳に慎みたい。
保護者との関係をつくるのに役立つものはたくさんありますが、12月号で書いた「学級通信」もその一つです。
最後にもう一度お話しします。保護者とのコミュニケーションのためには、自分自身が学ぶ力をつけ、同僚に限らず出会う人との豊かな人間関係をつくることで、目の前の子どもと向き合うことが何より大事なのです。

 

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