最新号の内容 | 教壇の必殺技講座

教壇の必殺技講座・第12回(最終回)・国語のカリスマ 竹本 稔先生

栄光ゼミナールの現役カリスマ講師が、教壇に立った時のテクニックをこっそり伝授。
授業の捉え方から、細かな伝え方のテクニックまで、実際の授業におじゃまして、教えてもらいました。

面接・模擬授業でも役立つ!
栄光ゼミナールのカリスマ講師が教える
教壇の必殺技講座

最終回 国語のカリスマ 竹本 稔先生

「オクシャッシャ法」で教室の隅々まで目を配る

「子供をいかに授業に巻き込むか」。竹本稔先生の授業は、そのための仕掛けをふんだんに取り入れたものになっています。小学5年生の国語の授業をのぞいてみましょう。
まず、竹本先生が意識するのが目線の配り方です。「気をつけていないと右から半円を描くように左へ、そして左から右と、限られた範囲しか目線を動かしません」と竹本先生。軌道上の子供は見ているかもしれませんが、教室の隅は死角になりがちです。
そこで竹本先生は、目の行き届きにくい奥の子供を見て、そこから教室を斜めに横切るように前方へと目線を動かします。次に反対側の前の席を見たら、対角線の奥の席を見る。「オクシャッシャ法」と竹本先生が名付けたこの方法で、教室の空気を回すように奥、斜め、斜めと視線を動かしてどの子供にも目を配ります。
また、よく発言する子供に注意が向きがちなのを防ぐために、ある子供が発言をしたら、その子に返答するのではなく、離れた席の子にパスをするように「どう思う?」と質問を投げ掛ける。こうしたやり取りも、教室の空気を動かし、子供を授業に巻き込むことができると竹本先生は言います。
反対に、わざと視線を動かさない時間を作ることも、竹本先生流のテクニックの1つ。声の大きさや緩急だけでなく、視線の動かし方にもメリハリをつけて、子供が授業に集中できる雰囲気を作っているのです。
さらに、授業の合間には、その日のテーマに関して個人的なエピソードを話したり、問題を解くだけでなく漢字パズルのように子供たちが問題を作成する宿題を出したり、さまざまな角度から子供にアプローチ。「どこが子供にヒットするかは分かりません。常に種まきをしておくことを大切にしています。」

心理学の手法を取り入れて授業を構成

こうした竹本先生のやり方は、外部のセミナーで学んだ内容や、認知心理学、教育心理学の手法を取り入れたものだそう。例えば、授業の構成には「ピークエンドの法則」が取り入れられています。ピークエンドの法則とはダニエル・カーネマンの説で、何か出来事があったときに、時間の長さに関係なくピーク時と最後の印象で記憶されるというもの。
竹本先生は、授業の前半にその日のポイントとなるピークを作り、後半は演習に取り組ませ、子供たちが達成感を得て授業を終えられるようにしています。例えば、この日の授業の前半は、熟語の組み立ての学習。9つある熟語の分類を順番に教えていきますが、間違いやすく、また入試で出題が多いところでは「ここが大切なところだからね」と強調します。最後まで説明した後にも、「ここは間違いやすいからもう一度説明するよ」と繰り返し、子供たちに印象付けます。こうしてピークを作ります。
後半の長文読解の演習では、すぐに問題を解くのではなく、まずは竹本先生が作成したプリントに取り組みます。2ページ以上におよぶ本文を5、6行の段落ごとに要約し、空欄を設けたプリントで、本文を見ながら空欄を埋めていくことで本文の正しい理解につなげるものです。これは、「作業興奮」といわれる心理学の効果も取り入れた活動。やる気がなくても乗ってきてやる気が出てくるというものです。
「国語に苦手意識を持っている子供も、要約の作業に没頭することで、次第にやる気が出てきて苦手意識を感じなくなります。」
はじめは面倒くさがっていた生徒たちも、回数を重ねるうちに、集中して楽しく要約に取り組むようになるとか。
前半のピーク時に大切なことを記憶させ、後半は集中して演習に取り組み、達成感を得て授業を終える。これがピークエンドの法則に従った竹本先生流の授業です。

日々の授業や課題を通して
社会に出てからも通用する力を養う

小学6年生の下半期に入ると、志望校の過去問題に取り組み始めます。このときに竹本先生が大切にしているのが、間違えた箇所の振り返りです。専用のノートを作り、「本文の何行目にこう書かれています。選択したアはこの部分と違うから間違いでした」というように、自分の答えがなぜ間違いなのかをまとめていきます。
この作業には、「行動修正法」という手法が取り入れられています。
「確証バイアスと言って、人は分からないことから目を背ける傾向があります。だからこそ、あえて間違いと向き合うことが大切なのです。自分の行動を修正するということは、受験に限ったことではなく、社会に出てからも大切なこと。教育の根の部分でもあると考えています。」
インターネットなどから自分の知りたい情報だけを見たり、SNSで共有したい仲間と共有したい情報だけを流したりすることが多い現代では、見たくない情報には触れない、ということも起こり得ます。これからの社会を生き抜く子供たちには、こうした振り返りによって、見たくないものにも向き合い、正しくないものをきちんと見抜く力を見つけてほしいと竹本先生は言います。
「勉強は受験のためだけにするのではありません。自分で勉強方法を工夫したり、間違いを修正したりすることが、長い人生でも必ず役に立つと考えています。」

今月のまとめ

「授業は空気みたいなもので、目に見えて違いが分かったり、ここまでやれば完成、というものではありません。そこが難しいところでもあり、面白いところでもあります」と言う竹本先生。常に教え方や授業の組み立て方に工夫を凝らす先生の姿には、勉強すること、学ぶことの真髄があるように感じます。

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