学級経営基本のキ

学級経営キホンのキ 「教師が1日中ジャージで過ごすべきではない理由」=「時に詩人、科学者、画家に変身」の巻

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「教師が1日中ジャージで過ごすべきではない理由」=「時に詩人、科学者、画家に変身」の巻

河原田 友之(東京教育研究所主任研究員)
千葉県で37年間教員を勤め、現職。

子どもたちの魔法の言葉
「今日の先生 きれい!」

A先生は教師歴20年のベテランです。1年生の担任はもう10回目となります。入学式に着飾った服装で子どもを迎えたのに、それが終わるとクタクタのジーパン姿になりました。よく見ていると、出勤時もそのジーパン姿です。
数日後、初めての授業参観の日がやってきました。いつものクタクタのジーパン姿から、清潔感のある服装を見た子どもたちの第一声は「今日の先生、きれい!」。
この発言を聞いて、この先生は何かを感じたのでしょうか。そう、20年の経験があるこの先生は、この日を境にして出勤に際してはジーパン姿が消えました。朝、出会う子どもたちも「きれい!」と声をかけます。嬉しかったのでしょうね。子どもの声は魔法の言葉になったのです。
子どもたちは先生をよく見ています。まして、学校に初めて入った1年生にとって先生はあこがれの存在。とても輝いて見えるのです。教師の服装や立ち居振る舞いは教育の大事な要素です。何よりの環境です。

 

物的環境も大事だが人的環境も

小学校、中学校を問わず、ジャージで授業をしている先生を見かけることがあります。子どもたちと体を動かすことの多い小学校の担任や体育の先生、また、清掃時のジャージ着用の必要性は理解できます。
しかし、これ以外にジャージを着用している先生方が意外と多いのですが、意図が分かりません。もし、理由があるとすれば、動きやすいということでしょうか(そういう私も教師になって最初はジャージで1日過ごしていました。周りがそうしているのを見てそれでいいと思っていました。だから、初任の学校はあらゆるものの出発になるのです)。
昔から、「環境は人を変える」あるいは「環境が人をつくる」と言われ、教室の壁面を子どもの作品で飾ったり、教卓に花を飾ったりと先生方は環境を整えることに一生懸命です。
しかし、環境を整えるということが、物理的な面だけで終わってしまい、人的環境を忘れているように思えてなりません。その例がジャージ着用です。男性であれば髭を伸ばして不潔な格好をしたり、女性であれば肌を過度に露出したりするのは望ましくありません。

 

数学者に、詩人に、音楽家に

教師は、場面に応じて服装を使い分けるべきです。算数(数学)の授業を行うときは、数学者らしい服装が望ましいのです。きちんとスーツを身に着け、板書用のコンパスや定規を持って登場することで、子どもたちを「さあ、算数(数学)の授業が始まるぞ!」という気持ちにすることができます。
図工(美術)の時間に、絵具や紙くずなどで汚れてもいいように作業用の前掛けを着用して子どもの前に立てば、絵具が飛び散るほどに、存分に作業ができるというメッセージを与えます。カンナやドリル、ナイフなどを使っても、大胆に作品を作れるというメッセージにもなるでしょう。
理科の時間に白衣を着用して現れれば、それだけで科学者に見え、子どもたちの学ぶ意欲も構えも違ってくるはずです。体育の時間の体操着姿の教師は、子どもに元気と意欲を与えるものです。
別の例えで分かりやすいのはゴルフです。ゴルフは打ちっぱなし場でさえ, きちんとした格好(服、ゴルフシューズ着用)でなければ入場を断られるところがあります。当たり前ですが、場に応じた服装をするということは子どもに言葉で伝えなくても外見で伝えることができるということがあると私は思います。
こんな話を聞きました。「人的環境」をしっかり整えている学校では、教科書会社の営業マンは服装を見てその先生の専門教科を聞かなくても分かると言います。教師一人一人が、自分の役割をしっかりと認識し、ふさわしい服装をする。こうすることで、学校全体の雰囲気が引き締まっていくのです。

 

夢を与えるために

さて、教育の大きな仕事の一つは、子どもに夢を与えることです。夢を言葉で表すよりも、具体的に目に見えるように表現するほうが効果的なことは誰でも知っています。だとすれば、教師は、子どもたちの夢の具体像になればいいのです。
いつでもジャージ姿では、子どもたちに決して夢を与えることはできないのです。私たちが本当に子どもを愛するなら、子どもたちに夢を語り、その夢の具体像を演じなければならないのです。
だから、教師は時には詩人になり、時には科学者に、画家に、音楽家にならなければならないのです。
言葉だけで夢を追えと言っても子どもたちには決して伝わりません。私たち自身が夢を持ち、その夢を演じてみせる心が子どもを変えていくのです。そうすることで授業も変わるはずです。
繰り返しますが、場に即した服装で授業に臨んだとき、子どもたちの学ぶ意欲が違ってくるはずです。

 

子どもたちは担任の「筆跡」すら
真似するようになるのだから……

皆さんは、友達と遊びに行くとき、友達のお祝いの会に参加するとき、服装を考えますね。それはどんな場面でも同じです。子どもの前に立とうとするときはさらに慎重に考えることです。
1年間が過ぎると、子どものノートの文字は、担任の先生の文字に本当によく似ていきます。子どもたちにとって、教師の姿は、その後の人生を左右するほど大きな影響力があるのです。教師を目指す皆さんなら、自分の子ども時代を振り返れば、人生を左右された恩師に心当たりもあるのではないでしょうか。ぜひ、頭に入れて、教壇に立って欲しいと思います。

 

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