教壇の必殺技講座

教壇の必殺技講座・第11回・数学のカリスマ 柳島 嶺先生

栄光ゼミナールの現役カリスマ講師が、教壇に立った時のテクニックをこっそり伝授。
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教壇の必殺技講座

第11回 数学のカリスマ 柳島 嶺先生

解き方よりも、解き方を考える過程が大事

「1271と1517の最大公約数は何でしょう?」
柳島先生の問い掛けに、子供たちが少し緊張した様子で身構えます。この日の授業は、中学3年生の数学。これまでの学習内容を振り返るテストと、その答え合わせから授業が始まりました。
「この問題、それぞれの数字を一つずつ素因数分解していたら、ものすごい時間がかかるよね?」
黒板を見ながら、なおも沈黙を続ける子供たち。柳島先生はさらに続けます。「視点を変えれば簡単だよ。2つとも同じ数で割り切れるってことは?」
すると何人かの子供が、頷いたり、ノートに何かを書き始めたりしました。どうやらこの言葉に、問題を解くヒントが隠されているようです。
「授業では、解法を教えることよりも、解法に辿り着くまでの過程に時間をかけたいと思っています。」
授業前、柳島先生は、数学の実力を養うための指導法について、このように語ってくれていました。
「極端にいえば、解法は一つの参考例に過ぎません。それよりも、子供たちが問題を見て、自分なりの解法を発見したり、組み立てられたりするようになることのほうが大切。そのため授業では、子供たちが問題を解いたときに発見したことや、陥りがちなミスをさらうことのほうに時間をかけています。」
先ほどの問題も、柳島先生の言葉通り、型にはまった解法以外の考え方ができるかどうかがポイントになっているようです。
「(2つの数を数直線で示しておき)2つとも同じ数で割り切れるということは……、1517から1271を引いた数も同じ数で割れるってことに気づいた?」
ここまで言うと、子供たちの手が一斉に動き始めました。「1517-1271」は「246」。素因数分解すると「246=2×3×41」。従って、1271と1517の最大公約数は「41」が正解。
「解法が分かったら、あとは自分の力だけでも答えに辿り着けます。問題を解く糸口さえつかめれば、誰でもできるようになるんです。」

 

数学のセンスとは「問題から学ぶ力」のこと

問題を解く“過程”が問われるのは、授業だけではありません。最近の高校入試では、公式そのものを問う計算問題よりも、「習った内容をいかに組み合わせて使えるか」といった応用力が問われる問題が積極的に出題される傾向にあると言います。
「過去の試験では、例えば放物線と直線に囲まれた部分の面積を問う問題が出ました。これは基本的には、高校で習う積分を使わないと解けません。しかし実は、他の部分に示された三角形と面積が同じであることにさえ気づけば、積分を使わなくても解ける問題になっているのです。」
さらに最近は「図のない図形問題」が出ることも多いそうです。例えば、「正八面体の各面の重心を結んで立体を作り、そこからさらに頂点を選んで別の立体を作れ」といった問題が、文章だけで問われるそうです。
「こうした問題では、計算力だけではなく、文章題の意味を的確に把握する読解力や、文章から具体的な図をイメージして書く表現力など、総合的な力が問われます。」
しかし、こうした計算式や図形をすぐにイメージできるかどうかは、持ち前のセンスによる部分が大きいのではないでしょうか?
そう聞くと、柳島先生は、「数学のセンスって、とどのつまり『問題から学ぶ力』のことだと思うんですよね。」と話してくれました。
「数学が得意な子は、解いている問題の数が多いだけでなく、1つの問題から多くのことを学んでいます。逆に苦手な子は、1つの問題に対して、1つの解き方しか覚えないんです。だから、例えば図形の回転問題なんかでも、『三角形の回転問題は解けるけれど、扇形になると解けない』といったことが起きてしまう。しかし図形の回転問題は、回転の中心軸を見つけて、あとは半径と回転角さえ分かれば、どんな形でも解けるはずなんです。」
柳島先生は、「こうした解法の共通する部分や普遍的な部分を見抜いて学べるようになると、自然と数学のセンスも身に付く」と語ります。
「解法をただなぞるのではなく、そうした問題の核となる部分を言葉にして分かりやすく伝えることが、教師の大切な役目だと思います。」

計算をおろそかにしてはいけない

一方で、子供が数学嫌いになるきっかけは「実は簡単な計算ミスの積み重ねなのではないか」とも感じているそうです。
「高校生でも、計算式のカッコの外し方や掛け算と累乗の区別がちょっと怪しい子が、結構多いんです。こうした単純ミスで、本当は理解できているにもかかわらず、『答えが分からない』『自分は数学が苦手だ』と思ってしまう子も多い。もったいないですよね。」
計算ミスをなくすためには、見直しが大切ですが、「適切なやり方を教えなければ意味がない」と柳島先生。多くの計算ミスは、解き方が分からないのではなく、分かっているけど“うっかり”ミスしている場合が多い。そのため、ただ計算をやり直しても、自分では解けていると思っているため、ミスを見つけることができないのだそうです。
「そこで私は、見直しをするときは違う計算方法で解けと教えています。例えば『7×4=28』という式なら、『28÷4』と計算してみて、答えが『7』になるか確認するなど、逆算してみるのも有効ですね。ここでも一つの考え方にとらわれないことが、大切だと思います。」

今月のまとめ

実は学生時代は文系だった柳島先生。数学が苦手というわけではなかったと言いますが、苦手な子の気持ちも分かるだけに、「とことん分かりやすく教えること」にこだわっているとか。「数学が好きになる一番の近道は、自分の力で解けるようになること。私が指導しなくても、数学は楽しいと感じてもらえるようになることが、最終目標ですね。」

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