躍動する若手教師

File28 白石 開(しらいし・かい)先生 さいたま市立高砂小学校

ピンと上がるたくさんの手。
次々と発言する子供たち、
賑やかでも、私語は聞こえてこない授業。
「教師と児童の適切な距離」が心地よい、
白石先生の学級です。

Q1 小学校教師を目指した理由は?

両親が小学校教師だったので、一番身近な職業が「教師」。小学生になる頃には、自然に「将来は小学校の先生になりたい」と思うようになっていました。
ただ、子供の頃から剣道を続けていたので、中高生の頃は、剣道部の指導もできる、中学校や高校の教師にも興味を持つようになりました。大学では小学校の教員免許に加え、中学校・高校の保健体育の教員免許も取得。採用試験に向けては、複数の選択肢があり迷いもしたのですが、大学3年生のときの教育実習で小学校教師の面白さを感じたことから、小学校を選択しました。
小学校教師の面白さは、大きく分けると2つあると思います。1つは、幼稚園を卒園したばかりの1年生から、半分思春期に入る6年生まで、大きく成長する時期の子供たちを6年間も見られること。そしてもう1つは、多教科を指導できるということです。中学校や高校になると、私の場合保健体育しか指導できませんが、小学校であれば、幅広い教科を通して子供たちと接することができます。それは、中学校や高校の教師にはない面白さだと感じています。

 

Q2 教師になって5年、変わったことは?

物事を見る際の視野が広くなったと感じています。子供を見るときはもちろん、周りの先生方との関係においても視野が広がつてきたことで、多方面からの対応ができるようになってきました。
知識や経験が限られていた初任の年は、見えるものも少なく、十分な対応ができませんでした。先輩の先生方の姿から、さまざまな指導の仕方、授業の方法があることを学び、経験を重ねることで視野が広がり、対応の幅も広がったのだと思います。
ただ、初任の年の私は、問題が起こっても、自分で何とかしようとすることが多く、なかなか周りの先生方に質問することができませんでした。素直に質問を繰り返す同期の仲間の姿を見て、2年目以降は積極的に質問するよう心掛けましたが、初任の年にもそうしていたら、もっと大きく成長する1年にすることができていたかもしれません。

Q3 子供と接する上で心掛けていることは?

教師になったときに父から教えられた、「適切な間合い、距離をとる」ということです。
子供たちとの関係性がつくられていけば、距離は自然と近くなっていきます。子供に好かれたい、仲良くなりたいからといって、初めから子供との距離を近くしすぎると、厳しい指導が必要な場面で、それが難しくなってしまいます。教師は友だちではありませんから、教師と児童としての適切な距離が大切だと感じています。とはいえ、初任の頃は、本当に自然に距離が縮まっていくのか不安でしたし、そもそも「適切な距離」がどの程度かも分かりません。自分の中の「ものさし」ができていない状態で、曖昧に子供との距離を測っていたため、失敗も多々ありました。その都度、初任者指導教員や学年の先生からアドバイスや指導を受け、何度も助けていただきました。

 

Q4 心に残っている出来事は?

「失敗」として心に残っているのは、初任の年に、一人の男の子を指導したときのことです。ある出来事を目にした私は、その男の子に指導が必要だと考えて、指導したのですが、「何で僕だけ注意されるの!?」と言われたのです。
私が目にした出来事は一つでも、そこに至るまでに、子供たちの間には色々な出来事が絡み合っています。問題が起こったときには、その背景にあるもの、子供の気持ちをきちんと理解した上で指導しなければならないのに、目にした出来事だけをとらえて指導してしまったことに気付かされました。「何で僕だけ!?」という言葉はとても心に残り、それ以降の自分の指導に大きく影響したと思います。
一方、「嬉しい」出来事として、特に記憶に残っているのは、2年目初任の年から持ち上がりで担任した4年生の学年末のお別れ会です。お別れ会では、学級目標の達成具合を振り返ったりするのですが、この学級では、初任の年に掲げた「日本一のクラスになる」という学級目標を格上げし、「世界一のクラスになる」を目標にしていました。会の途中、何人かの子供たちが教室を出て行き何かなと思っていると、子供たちに校庭を見るよう促されました。言われるまま、4階にあった教室から校庭を見下ろすと、出て行った子供たちが一列に並び、「私たちは世界一のクラスになりました」と書いた横断幕を掲げてくれていたのです。初任の年の大変だったことや2年目の試行錯誤が報われた思いがして、本当に嬉しかったです。

 

Q5 読者へのメッセージ

教師の仕事には、実際に働き始めて、初めて分かることがたくさんあります。不安もあると思いますが、教師に求められる実践的な技星の面は、教師になってから伸ばしていくことが十分できます。だからこそ、学生の間は、色々なことに興味を持って経験しておくことが大切だと思います。そして、これは私自身も心掛けていることなのですが、何事にも一生懸命取り組むことです。そういう人間であれば、子供も大人も認めてくれると感じています。

 

 

 

 

 

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