教師の本棚

『奇岩城』

モーリス・ルブラン=著 堀口 大學=訳
1959年/新潮社
¥520+税 

 

読書の“習慣化”を身に付けてくれる一冊

丸山 匠勇(東京都板橋区立西台中学校教諭)

人が本を読む理由はさまざまだと思いますが、やはり大切なのは「面白いから読む」ということではないでしょうか。「面白い」とは、単にゲラゲラと笑うような面白さではありません。ワクワクドキドキしながら次のページを早くめくりたいと思うような知的好奇心こそが、「面白い」の中心にあるのではないかと思います。

幸いにして、私はそういった書籍に幾度となく巡りあってきました。その1 冊が、モーリス・ルブランの『奇岩城』。そう、あのルパンものです。小学生の頃、かなりの早熟でブルーバックスなどを読んでいた私に、ある友人が「シャーロック・ホームズが面白いよ。推理は科学的だし!」と薦めてくれました。どれどれ…と図書室へ借りに行ったとき、私はお目当てのホームズではなく、その隣に置かれていたルパンものの表紙に惹かれ、手に取りました。読んでみると、面白いこと面白いこと…。冒険小説でもあり、推理小説でもあり、SF でもあり、歴史小説でもあり、何と言っても壮大なラブストーリーでもあった本書は、たちまちにして私の心を掴んでしまいました。こんなにも豊かで深く、なおかつ面白い世界があったのか! それ以来、私は読書の世界の住人になってしまいました。まさに私の人生はこの1 冊によって大きく変わってしまったのです。

その後、何か苦しいことや悩みがあるたびに、私は『奇岩城』を読み返してきました。この本は、そのたびに癒やしと勇気を与えてくれ、また前を向くことができました。読書をする上で大切なことの一つは、それが“習慣化”しているかどうかです。読書習慣を付けるためにも、まずは自分が何度も読み返せる本を見つけることをお勧めします。もし、そうした本がないのであれば、『奇岩城』はぜひお勧めしたい一冊です。子供たちにもお薦めですが、堀口大學訳は大人の読書にも十分耐えられるような質の高さがあります。

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