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『傘-君が遺した宝物-』

2008年/日本/90分
監督:たかひろや
出演:佐藤勇真、寉岡瑞希、渡辺いっけい他
@2008「傘」制作委員会

「傘」に秘められた2人の思いの行く先は?

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

今回のテーマは「傘」。なかなかイメージとつながる作品が見つからず、思い切って見たのがこの、そのものずばりのタイトルの映画です。
「深谷ねぎ」で有名な埼玉県北部の深谷市が舞台。この映画はいわゆる「ご当地映画」で、周辺の市町村や地元企業が制作に協力しており、なかなか味のある良い映画に仕上がっています。
特に目立つカリスマ的なアイドルや高名なスターではない俳優(失礼!)と全国から募ったエキストラ出演者が、地域の中で生きる普通の高校生たちのごく日常的な生活を誇張なく描いています。「不器用で、ちょっとお調子者で、けっこうおバカな男子生徒」と「賢く、働き者で、しっかりした女子高生」という構図が誰もが過ごした青春の1コマを彷彿させます。お金をかけたゴージャスなハリウッド映画と対極にある作品。それだけ手作り感がある、ほのぼのとした地元の味わいが好感を呼びます。
農家の息子である雨宮晴と、ミス深谷に選ばれた福永真美の2人は、同級生の幼馴染で、家も近く、いつも一緒にいます。けれども、その関係にはまったく何の変化も進展もありません。しかし、実はほのかにお互いを意識し合っているのです。中学生か高校生の恋愛未満、友達以上という感じでしょうか。
農家の仕事には無関心・無感動・無気力な晴。その家をなぜか晴の代わりに真美が手伝います。農作業が好きで、毎日ダボダボの作業服を身にまとい、楽しそうに畑仕事をする真美をいつも遠くから見ている晴でしたが、理由のない欠席や突然の東京行きを口にする真美に何か違和感を覚えます。やがて、晴は本当のことを知ることになるのですが。
これから教師を目指す人に、もう一度自分の青春時代の葛藤や中学生や高校生特有の訳の分からない意固地さや不思議な心理状況、日常生活の中で育まれる淡い恋の思いなどを思い出してほしいと、この映画をお勧めする次第です。最後に流れる主題歌「ここにおいで」(びぃだま)も味のある実にいい曲です。

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