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学級経営キホンのキ 「キレる子どもにどう接すればいいの?」=「一人で抱え込まないチーム学校で」の巻

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「キレる子どもにどう接すればいいの?」=「一人で抱え込まないチーム学校で」の巻

河原田 友之(東京教育研究所主任研究員)
千葉県で37年間教員を勤め、現職。

 

不安で学校に行きたくなかったA先生

A先生が3年目で5年生の担任のときの話です。クラスにO君がいました。「テストで100点が取れないと大声で怒りだす」「友達から悪口を言われると暴力をふるう」「校庭で遊んでいてボールが当たると、急に怒ってわめき散らす」など、ちょっとしたことでイライラして暴言を吐いたり、物を投げたり、暴力をふるったりする。A先生は連日不安と心配の中で「今日もキレたらどうしよう。不安で学級に行くのも学校へ行くのも嫌になりました」と、後になって語ったほどでした。
新学期を迎える際には、前学年の担任に子どもの状況を個別に聞き、引き継ぎをしていました。担任としては万全の状況で学級開きを迎えたつもりです。前学年でも同様だったようで、クラス替えをして解決を試みていたのですが、一人のキレる子どもは周りの2・3人の子どもを巻き込んでいき、解決策にはなりませんでした。ざわざわした雰囲気がクラスにどんどん広がっていきました。
勉強を分からないままにしてきたこと。生活のルールが身に付いていないという個人の問題。それをそのままにしてきた家庭。粘り強く生活指導に取り組んでこなかった学校。それぞれに原因があると言えます。
A先生は周囲の先生方に助けを求めながら辛い毎日に向き合っていました。「キレることで一番困っているのはO君自身だ」と言い聞かせて取り組んできました。彼は、感情をどう表現したらよいのか分からず、結果として攻撃的な行動に出てしまうのです。時間をかけて3つの約束を決めました。

①どうしたらよいか分からなくなったらまずその場に座ろう
②学校の外に飛び出していかない
③気持ちがどうしても押さえられないときは、心を落ちつかせる場所に行ってもよい

キレた直後は何を言っても無駄です。頭に血が上り、殴らないと気が済まない状態なのです。こうなると、誰の声も耳に入らない。根気強い指導が必要で、O君に合う約束事を決めることが大事なのだと分かってきたのです。

 

キレる子どもにはどうすればよいか

今、小学校でも1年生からキレる子どもがいます。夢や希望に燃えて教師になったあなたの前に、こうした子どもがいるのです。指導がうまくいかないと、落ち込んで元気もなくなり、食欲もなくなってしまいます。助けてくれる仲間が必要です。あなたの声をきちんと聞ける仲間が必要です。
キレる子どもなど、問題を抱える子どもがいることが分かった時点で、次のようなことを考えてください。

①複数の目で見ていく
学校規模によっては、これは厳しい現実がありますが、担任以外の先生が直接見られなくても、その子の状況を学校全体が共有しておくことで、いざという場面で力をあわせて対応することができます。担任一人で抱え込むのはやめましょう。担任は、キレる子どもを含めてクラスには必ず特別な支援を必要とする子どもがいることを理解した上で、他の先生の力を借りるとよいでしょう。

 

②保護者とのつながりを持つ
家庭で気になる様子や変化があれば、電話でも連絡帳でもさまざまな方法で連絡できる関係を保護者と築くことです。問題を抱える子どもの保護者の中には、どうしていいか分からず悩んでおられることもよくあるのです。反対に無関心な保護者もいます。子どもを育てるという観点から連携の道を探ることは、何より必要なことです。これも担任一人では無理な場合があります。学年の同僚や管理職に支援をもらうことを忘れてはなりません。

 

③クラスの子どもたちにも状況を伝えておく
クラスの子どもたちも、いつキレるか分からない状態を不安に思っているはずです。すると保護者も、学級に対して不安を感じることになります。そこで、キレる子と決めた約束事は、クラス全体の約束事として理解させることです。そして、もし問題行動の場に居合わせたらすぐに周りの先生に伝えるように指導しておきます。休み時間など教師の目が届きにくいときにこそ必要なことです。学級規模は小さくなっていますが、学級はさまざまな個性の集団であることをもう一度肝に銘じておきたいのです。

 

④日常的に一人一人の変化を記録しておく
記録は簡潔に、いつ、どういう行動が生まれたかを箇条書きで構いません。そうした記録用紙を残すことが大事なのです。記録を見れば、誰もがあなたのクラスの状況を理解できます。同僚や先輩教師と、状況を共有する環境を作っておくことが必要です。その記録を見ながら対応について話し合うことも大切です。言葉だけではなかなか状況が見えないことがあります。起こった時点で記録するのがポイントです。「後でやろう」は忘れてしまいます(ただし、この資料は、個人情報ですから扱いには注意が必要です)。
体調を壊して休職や退職する教師が出ている現実もあります。担任が、一人で思い悩むことだけは避けたいのです。

 

「チーム学校」が対応の基本

 教師を目指す者として、みなさんは、「チーム学校」という言葉を聞いたことがあるかと思います。学校は授業をすることが主ですが、それだけでは、子どもたちを変え、成長させることはできないのです。これまで取り上げた、「いじめの問題」「授業を邪魔する子どもの問題」等々、さまざまな職種の人たちとの協力によって支え合っていくことでしか解決しないことを文部科学省も各教育委員会も、管理職も認識しています。一人で抱え込まないことが、子どもを、そして自分をも変えるのです。

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