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PART1 今さら人に聞けない 学習指導要領の初歩のショホ

今夏の試験の「主戦場」と予想される新学習指導要領。その重要用語の理解度を高めるために、まずは学習指導要領の基本についておさらいしておきましょう。

 

1 学習指導要領の基礎・基本を押さえる

学習指導要領が日本の教育内容を定めている

学習指導要領は、文字通り教師が「学習指導」をする上での「要領(要点)」をまとめたものです。全国的な教育水準を一定に保つために、子供たちに教える内容を定めています。
学習指導要領は、文部科学大臣が「告示」するものです。通常、「告示」は、国が決めたことを国民に広く知らせるというもので、原則的には法的な拘束力はありません。
しかし、学習指導要領は日本の教育を支える重要なものであるため、例外的に法的な拘束力をもっています。そのため、すべての公立学校の教員は、学習指導要領に沿って、子供たちを指導する必要があります。
なお、学習指導要領は、幼稚園、小学校、中学校、高校、特別支援学校ごとに定められています(幼稚園は「教育要領」と呼ぶ)。また、学習指導要領には本編のほか、教科や領域ごとに、教師用に指導内容を細かく説明した「解説」もあります。教員採用試験では「解説」からの出題もよくあるので、受験する校種・教科の解説には、目を通しておきたいところです。

 

学習指導要領は約10年に1回改訂されてきた

社会の変化とともに、子供たちに必要な資質・能力も当然変わってきます。
そのため、これまで学習指導要領は、約10年に1度のペースで改訂されてきました。改訂といっても、文部科学大臣1人で決めるわけではありません。まず、大臣が、教育の専門家で構成される「中央教育審議会(中教審)」に、どのような学習指導要領にすべきか、諮問(意見を求めること)します。中教審は諮問を受け、何度も審議し、そのまとめを「答申」という形で、大臣に報告します。これを受けて、大臣が新しい学習指導要領を告示することになります。
なお、中教審の答申には、学習指導要領の改訂の方向性や、なぜそのような改訂が必要なのかといったことが、細かく記されています。教員採用試験では、この答申から出題されることも多いので、内容を頭に入れておきましょう。

 

新学習指導要領には「前文」が加わった

学習指導要領は、どの校種のものもいくつかの「章」で構成されています。
基本的には「総則」→「各教科」→「それ以外」という章立てです。小・中学校の「特別の教科 道徳」を除いた「それ以外」の部分は「領域」と呼びます。「道徳」もかつては領域の一部でしたが、2015(平成27)年に学習指導要領が一部改正され「領域」から、「特別の教科」という扱いになりました。
新学習指導要領の最大の特徴の1つは、「総則」の前に「前文」が加わったことです。「前文」は日本国憲法や教育基本法など、重要な法令にのみ置かれ、制定の趣旨や目的、基本原則を述べたものです。学習指導要領のうち、例年最も出題の多いのは「総則」ですが(下記参照)、今後は「前文」にも注意が必要です。

 

学習指導要領で最も出題されるのは「総則」

学習指導要領の内容は、「解説」も含めると膨大なページ数になります。受験生の中には心配する人もいるかもしれませんが、過度に恐れる必要はありません。学習指導要領の中でも、教職教養で問われるのは、多くは「総則」です。過去5年において、「総則」から出題があった自治体は、小・中で79%、高で58%に上ります(編集部調べ)。
ただし、注意したいのは、これは現行(旧)学習指導要領における出題傾向です。前述した通り、新学習指導要領では、「総則」の前に「前文」が加わったことに留意しておきましょう。

 

2 新学習指導要領の変更点を押さえる

「総則」の構成が変わり、内容も大幅に増えた

学習指導要領の基礎・基本を押さえたら、次に、新学習指導要領の変更点を、大まかに押さえていきます。
P.5で述べた通り、学習指導要領で最も出題されるのは「総則」です。新学習指導要領では、この「総則」の構成が大幅に変わりました。新旧の項目立てを比べると、下の表のようになります。
まず、前述の通り「総則」の前に「前文」が加わった上に、「総則」自体の中身も項目数が増え、文量も2倍近くに増えました。
そもそも、「総則」とは、各教科等で共通する事項を定めたものです。この部分が増えたということは、教科を越えて「意識しなければいけないこと」や「実施すべきこと」が増えたということになります。

現行(旧)の「総則」とは、重視する点も違う

新学習指導要領の「総則」は、現行(旧)とは重視するポイントにも違いがあります。新学習指導要領「総則」の構成を図に表すと、上の図のようになります。
上部の「何ができるようになるか」「何が身に付いたか」を目指し、「何を学ぶか」「どのように学ぶか」を考える。そして、それらを「実施するために何が必要か」を考え、授業改善や人的・物的資源の確保を図っていく、という構図が表現されています。
これは、重要用語⑥で解説する「カリキュラム・マネジメント」に通じる考え方です。「総則」がカリキュラム・マネジメントを意識した構成になっていることを覚えておきましょう。
これまでの学習指導要領は、教育課程の内容、すなわち「何を学ぶか」に重点を置いて作られていました。新学習指導要領は、それだけにとどまらず「どのように学ぶか」や「何ができるようになるか」、教育課程を実施するために何が必要か、さらには児童生徒への必要な支援や配慮等にまで踏み込んで作られているのです。この点も、これまでにない大きな特徴と言えます。

 

「教育課程」についての捉え方も変わった

学習指導要領の内容を踏まえて、各学校は独自の「教育課程」を編成します。
では、そもそも、「教育課程」とは何でしょうか。2017(平成29)年6月に発表された小学校の新学習指導要領の「総則」の「解説」では、次のように記されています。

学校において編成する教育課程については、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画であると言うことができ、その際、学校の教育目標の設定、指導内容の組織及び授業時数の配当が教育課程の編成の基本的な要素になってくる。

この定義は、これまでの教員採用試験でも繰り返し問われてきた、学校教育における普遍的な定義です。この中で、特に重要なのは、「学校が教育課程を編成する」としていることです。その際、踏まえるべきものが、学習指導要領です。その上で、新学習指導要領では、新設された「前文」で、教育課程の捉え方を、次のように述べています。

教育課程を通して、これからの時代に求められる教育を実現していくためには、よりよい学校教育を通してよりよい社会を創るという理念を学校と社会とが共有し、それぞれの学校において、必要な学習内容をどのように学び、どのような資質・能力を身に付けられるようにするのかを教育課程において明確にしながら、社会との連携及び協働によりその実現を図っていくという、社会に開かれた教育課程の実現が重要となる。

簡単に言えば、新学習指導要領では、未来を担う子供たちの育成に必要な学習内容やどのように学べばよいかという具体的な教育課程は、学校だけでなく、社会と連携して作っていくということです。これを「社会に開かれた教育課程」(→P.10)と呼びます。

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