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学級経営キホンのキ 「思いのこもった通知表の書き方」=「成長への応援メッセージに」の巻

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「思いのこもった通知表の書き方」=「成長への応援メッセージに」の巻

河原田 友之(東京教育研究所主任研究員)
千葉県で37年間教員を勤め、現職。

 

通知表には先生の個性が表れる

学期の終わりになると、毎回おなじみの光景があらわれます。「通知表」です。
単に通知表と言っても、その渡し方には先生の個性が表れます。「算数、がんばりましたね」「理科の実験のとき、輝いて学びましたね」「Oさん、1年生がけがをして泣いているとき、やさしく面倒をみてあげましたね」など、子ども一人一人に一言を添えて渡すA先生がいます。廊下に机を置いて「国語のこの学習のとき、君の発言がみんなを盛り上げてくれたね」「こうするときっとできるね」と言って渡すB先生がいます。
子どもたちの表情も様々です。成績が上がって「やったあ」と叫ぶ子もいれば、ションボリしている子もいます。各学級をまわって覗いている私にも、「見て、見て!」と広げて見せてくれる子もいます。
きっとあなたにも、通知表にまつわる様々な思い出があるのではないでしょうか。

 

通知表の作成は学校の「任意」

通知表には、教科の成績や生活の記録などが記載されますが、法定表簿である指導要録とは異なり、その作成は学校によって任意です。通知表を出さない学校もあるはずですが、私の歩んできた約40年間の教師人生では見かけたことはありませんでした。
通知表の名称は、各学校によって「通知表・通信表・通知簿・通信簿」と呼んだり、「のびゆく子・あゆみ・かがやき・のびゆくすがた」のようなやさしいタイトルをつけたり、学校によって違います。名前は違っても、各学校は、子どもを励まし成長の様子を保護者に正しく示す意味と、指導してきたものを正しく評価し、さらに高める意味で通知表を出しています。何より、この通知表は「よし、またがんばろう」とする子どもへの励ましであり、保護者と語り合えるような温かさが必要で、その表現にも配慮が必要になってきています。

 

「所見」欄は自身の仕事を計るバロメーターになる

しかし、教師は通知表の作成時期になると悩みます。学習の評価である5段階評価や3段階評価はそう苦になりません。普段の授業やテスト、ノート、作品を見てきているからです。ところが、所見で子ども一人一人の学習や生活の様子を文章で表すことになると、どうにも書けなくなることがあります。職員室では、「この子はなかなか書くことないなぁ」「この子の課題なら挙げることができるが、いい部分が見つからない」などと言った、「正直」な声が聞こえることもあります。
不思議なもので、よさは見えにくいし、なかなか見えないのです。欠点はよく見えます。しかし、それは子どもの責任でしょうか。断じて違います。子どものがんばりを見ることのできなかった教師の責任なのです。つまり通知表を負担に感じず、しっかり書くことができるようになるためには、私たち教師が細かな点まで一人一人の子どもを観察できたかによります。通知表は子どもとどのように接してきたかを知るバロメーターなのです。

 

通知表のよい表現・悪い表現とは?

では、どんなことを注意して書けばいいのでしょうか。第1に日常生活を記録する習慣をつけることです。次の2つの文を読んでみてください。

例文1 ○○さんは、とても一生懸命に掃除をがんばっていました。

 

例文2 ○○さんは自分の場所が終わっても、他の場所を手伝い、進んで掃除に取り組んでいました。

例文1は、ありきたりであることが分かりますか。「とても」「一生懸命」の便利な言葉でごまかしています。例文2のように、○○さんのための文章になっていますか。教師が、見たことをメモ書きでも記録しておいたことが、この文章に表れているのです。
第2に、専科教師や委員会、クラブ活動などの担当の先生から様子を聞くことです。

例文3 保健委員会の活動に責任を持って取り組み、役割を忘れることはありませんでした。そのがんばりを保健室の先生も認めています。

普段から教師同士が子どもの様子について情報交換しておくことで、見える範囲が広がるものです。
第3に、子ども同士の認め合いをよき材料とすることが挙げられます。毎日の学習の中でのまとめや感想を取り上げることも素敵な内容になります。

例文4 ハードル走の学習では、だれよりも多くのハードルの準備していました。その姿を友だちも認めており、S君はその日のMVPに選ばれました。

学級の明るさが見える所見になっています。たった1場面の1コマですが、忘れてしまうようなことでも、子どもにとっては大事な出来事としてよみがえってくることでしょう。

 

文章力を磨いておこう

思いのこもった所見を書くには、教師自身の文章力を磨くことも必要です。日頃から学級通信や研究授業の指導案などの文章を書く機会を大切にし、自分の言葉で書けるようにしておきたいものです。表現の引き出しを増やすことが、子どもや保護者に伝わる通知表になっていくのです。
例えばこんなことに注意して文章を書くことが大事です。

1 短く、簡潔な文章にする。
2 主語と述語を意識すると分かりやすい文章となる。
3 具体例を入れると、より伝わる。

さあ、教師になった時、あなたは、どんな言葉で応援するのでしょうか? あなたがもらった通知表を覗いてみてください。きっとそこには、あなたへの素敵な応援メッセージがあるはず。教師になろうと思う道標もあったかもしれませんよ。

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