躍動する若手教師

File26 中村厚太(なかむら こうた)先生 鎌倉市立岩瀬中学校

撮影される中村先生に興味津々の生徒たち。
「何の取材?」「熱血教師とか!」
からかうような言葉には、優しい色がにじみます。
先生は、皆の自慢の先生ですね?

Q1  子どもと接する上で心掛けていることは?

関わる時間を多く持つことです。初任者のときから心掛けていることですが、基本的に昼休みも教室にいますし、掃除も一緒に取り組みます。同じ空間で過こし、話をする。そうして子どもたちと関わった時間が、信頼関係をつくることになると感じているからです。信頼関係ができればこそ、厳しい指導も可能になりますし、教師として子どもたちにしてあげられることが増えていくと思います。
ただ、初めからそこまで意識していたわけではありません。初任の年は副担任という立場だったので、子どもと関わる時間が限られていました。それでも、子どもが好きで教師になったのですから、できるだけ子どもと関わりたい。その一心で子どもたちに話し掛けに行っていました。当時は自分の方が主体となって話すことも多かったのですが、今は子どもたちが話すことを聴いて、何を考えているのか、どう感じているのかを受け止めることを大切にしています。
子どもに話をさせる、子どもを主体にするということは、授業の上でも心掛けています。近年、自分を表現したがらない、人前で話すことを苦手とする子どもが増えているように感じます。そこで、自分の言葉で話すことに慣れていけるよう、 スピーチの授業のタイムキーパ一を子どもに担当させたり、 辞書で調べた言葉を子どもに発表させるなど、 子どもが主体となって動く機会を授業に多く取り入れています。

Q2  これまでの教員生活で、印象に残っている出来事は?

初任の年のことですが、ちよっと気の強い子が友達を傷つけるようなことを言ってしまったことがありました。その際何故そんなことを言ってしまうのか、その子の心の問題にまで踏み込んだ指導の必要性を感じたのですが、怒らせてしまうのではないか、この子との関係性が壊れてしまうのではないかなどと考えて、「そんなことを言ってはいけない」という指導に留めてしまいました。結果その子は同じようなトラブルをもう一度起こしてしまったのです。幸いにして自分自身で問題に気付き、乗り越え、成長してくれたのですが、教師として踏み込んだ指導ができなかったことに悔いが残りました。
「ダメなことはダメ」。大抵の場合子どもたちもそれは分かっています。それでも受け入れられない、納得できないのには、何らかの理由があるのです。頭こなしに「ダメ」と指導するのではなく、子どもたちの抱えているものを受け止め、納得できるまできちんと話をする。そうして向き合っていけば、踏み込んだ厳しい指導であっても子どもたちは分かってくれます。教師として経験を重ね、それが実感できるようになってきたからこそ、初任の年の、あの子のことは忘れられません。

Q3  教師として嬉しさを感じるのは、どんな時?

子どもたちの頑張っている姿を見た時はもちろん、雑談中の何気ない言葉にも嬉しさを感じることがあります。たくさんありすぎて、一つを挙げることは難しいです。ただ、嬉しい「瞬間(=場面)」ということであれば、卒業式でしょうか。
過去に2回卒業生を送り出したことがあるのですが、どちらも1年生から3年生まで持ち上がりで担任した子どもたち。卒業式は寂しくもあったのですが、3年分の成長を感じさせる姿は、見ているだけで嬉しくなってくるものでした。また、式の後「(将来)先生になりたい」と言ってもらったときは、感慨深かったです。

Q4  教師としての今後の課題は?

子どもたちを「待つ」ことです。授業においても部活動指導においても、ついつい手助けをしてしまいがちなのですが、子どもたちが自分から動き出すのを待つことも教師には必要だと感じています。
例えば、顧問をしているソフトテニス部では、1年生の初期段階では技術指導を細かく行いますが、ある程度の基礎ができてからは、子どもたち自身が「強くなるにはどうしたらよいか」を考え、試行錯誤しながら課題を乗り越えるのを待つことがあります。教師の指導に従って取り組んだときと、子どもたち自身で考えて取り組んだときとでは、成長の大きさが違うからです。
授業でも部活でも、最終的な目標(ゴール)を子どもたち自ら定めたり、そのゴールに向けた道を、子どもたちが自ら考えて進んでいけるようにサポートすることも教師の重要な仕事だと思います。子ども主体で進むとなると、当然、失敗も多くなりますし時間もかかります。ただ、中学校生活は失敗せずに過こしても、失敗して遠回りして過ごしても同じ3年間です。3年間を1つのスパンで考えたとき、遠回りをして多くの経験を重ねた方が、ゴールにたどり着いたとき大きく成長できているでしょう。もちろん、子どもたちに全て任せておけばいいわけではありません。教師が手を貸し、指示、指導する部分と、子どもたちが自分で考えていく部分、そのバランスをしっかり考えていきたいと思っています。

Q5  読者へのメッセージを

正直教師は楽な仕事ではありません。子どものために自分の時間が削がれることもあります。そうしたことが苦にならないくらい子どもが好きという人には、ぜひ頑張ってほしいです。子どもたちの夢や可能性を引き出してあげることができる教師という職業は、必死に目指すだけの価値があると思います。

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