学級経営基本のキ

学級経営キホンのキ 「いじめを許さない学級づくり」=「『みんな違ってみんないい』で防ぐ」の巻

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「いじめを許さない学級づくり」=「『みんな違ってみんないい』で防ぐ」の巻

河原田 友之(東京教育研究所主任研究員)
千葉県で37年間教員を勤め、現職。

いじめは社会的な問題

記憶に新しいところでは、2015年11月、茨城県取手市で中学3年生が命を絶つ事件がありました。同級生間の寄せ書きに悪口を書かれたり、嫌がらせの悪口を重ねて受けたりする中、自宅で自殺したのです。しかし、市教委も第三者委員会も当初はいじめによる重大事態とは認識せず、1年半以上に渡って両親が訴えたところ、やっと「いじめである」と認めたのです。
両親にとってかけがえのない娘がいじめによって命を絶ったという事態は、この上なく悲しくやりきれないものです。ましてや、いじめがあったということすら調査しない市教委・第三者委員会には、遺族にまったく寄り添う姿勢がないと社会的な問題になりました。
この以前2011年には、滋賀県大津市で中学2年生が自殺しています。この事件では2年近くたって、やっと学校がいじめと認識しました。いじめは、人権を侵害する不当な行為であり、このような悲しみを二度と繰り返さないことを願い、2013年に「いじめ防止対策推進法」ができました。この法律には、いじめの定義や、学校や家庭の在り方、行政のやるべきことまで示しています。にもかかわらず、同じようなことが繰り返されています。

 

いじめを起こさない学級・学校をつくる

いじめは教師がいないところで起こる。確かにその通りでしょう。一人の子に仕事をさせたり、落書きをしたりと、たわいのないことが出発点です。
でも、学校は、担任は、普段の授業で、子どもを「見て」います。ここで重要なのが、本当に子どもを「見ている」と言える状況になっているかということです。「忙しくて」「やるべきことがたくさんあって」と、子どもを直視することから逃げている学校現場も残念ながらあります。
どの学校でも、いつでも起こり得るのがいじめです。学校をあげて子どもたちに楽しい授業に取り組んでいるか。教師同士が子どもの様子を語り合うことはできているか。管理職も、各学級の子どもの学びや活動の様子を見ているか。学校行事に夢中になる子どもを育てているか。いじめは起こってからでは遅いのです。だから、その手前で踏ん張れる子どもにすることが求められるのです。

 

子どもたちに人との「関わり」を教える

いじめは「○○君に悪口を言われた」「○○さんに××を隠された」などということから始まります。中学年からは、こうしたことが起きると、担任はやった子に対して「どうしてやったの」と、責め立てるように指導することがあります。指導をすることが悪いわけではありません。必要な指導です。しかし、人は本能的に「自己中心性」を持っています。そして、他人と関わることにより徐々に社会性を身に付けていきます。しかし、今日これが育っていない実情もあります。
コミュニケーションをとることで人間関係は構築されていくわけですが、子どもは本能として自己を守るために、時として他人を攻撃しがちになります。学校という社会は、自分とともに他人も大事にするという「関わり」を教えていくためにあるのだとも言えます。私たちの社会は、自分と違う人間の集団で成り立っています。みんなそれぞれがそれぞれのよさや欠点を持って生きているのです。
かつて、詩人の金子みすずが、「みんな違って、みんないい」と言いました。それぞれの欠点をそれぞれが補いながら生きていることを私たちは肝に銘じるべきです。

 

教師自身も常に省みる

一方で、関わりを教える教師が育っているか、自らを省みることも必要です。説教で指導するよりも、子どもの声を最後まで聞く教師になってほしいのです。誰に対しても鷹揚に構えたいのです。説教からの指導だと子どもは本音を閉じ込めて、我慢し、いつかどこかで爆発してしまいます。教師は「角が見えない大きな丸」であるべきです。それが子どもたち同士のよさを認め合い、「自尊感情」を育てる学級につながるのです。
各人はかけがえのない大切な存在であることを、大人である私たちは、学校という社会の中で育てることが必要なのです。

 

見ようとしなければ見えない、
聞こうとしなければ聞こえない

「いじめはだめ」。こう分かっていても、前述のようないじめによる自殺事件が起きたときにも、「いじめはあった」と大人はなかなか認められませんでした。果たして本当に見なかった、見えなかったのでしょうか。見ようとしなかったのではありませんか。
子どもの声は聞こうとしなければ聞こえません。
読者の皆さんは、いじめが起きる前の小さな変化に気付く先生になってください。もめごとが起きたときはその言い分をうんと丁寧に聞いてください。気付かせてください。素敵な授業で子どもたちを活躍させてください。子どもと一緒に休み時間は遊んでください。子どもの心に飛び込んでください。学級の出来事を学年の先生方に話してください。保護者に伝えてください。情報を共有化してください。
価値観の違う子どもがそれぞれの個性を生かして活躍できる学級にすることがいじめをなくす早道です。私はそう信じて、子どもと向き合ってきました。それでも小さないざこざが起き、何度も保護者から連絡を受け悩んだ時もありました。
加えて、教師の対応や言葉遣いもまたいじめになりかねません。心して子どもたちに向き合うことが大切です。
現在、すべての公立の小・中学校は、いじめ防止対策推進法第13条に基づいて「学校いじめ基本方針」を作成しています。作成されているからいじめは起きないのかというとそうではありません。作ったことは共有することで意味を持ちます。しかし、それだけで終わっては問題です。
法律ができたからいじめがなくなるということは決してありません。いじめをなくすことができるのは、現場の先生、保護者、関係者、つまり、あなた方なのです。子どもの話題があふれる学校にしてください。だから、まず担任であるあなたが子どものことを語ることに意味があるのです。教師も保護者も地域も、これまで以上に子どもに寄り添うことが重要だということです。

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