教師のそのアクション イイ?ダメ?どっち!?

教師のそのアクション イイ?ダメ?どっち!? 〜児童生徒とのメールやLINEでのやりとり

教壇に立つ弁護士・神内聡が一刀両断!
教師であり弁護士でもある神内聡先生が、教師がやりがちなアクションを法規に基づいて解説します。

教師のそのアクション
イイ?ダメ?どっち!?

著・監修 神内聡
弁護士・高校教員。教育法を専門とする弁護士活動と東京都の私立学校で高校教師を兼業する「スクールロイヤー」活動を行っている。担当科目は社会科。著作に『学校内弁護士 学校現場のための教育紛争対策ガイドブック』(日本加除出版)など。

設例4 児童生徒とのメールやLINEでのやりとり

生徒から、「相談したいことがあるんだけど、学校で話すのは落ち着かないから、先生のLINEを教えて」と言われました。個人のLINEを生徒に教えていいものでしょうか?

1 不適切な使い方はダメだけど…

最近、児童生徒とメールやLINEで私的に不適切な言動を行って処分される教員が増加している事態を受けて、一部の教育委員会では教員と児童生徒のメールやLINEでの連絡を禁止する通知を出しています。このような教員と児童生徒の連絡手段の制約も、学校設置者及び市町村教育委員会の有する服務監督権(地方公務員法第32条・地方教育行政法第43条第1項等)として合理的な範囲内であれば認められます。しかし、この問題はメールやLINEといった連絡手段それ自体に問題があるわけではなく、教員が児童生徒との間でメールやLINEを私的かつ不適切な目的で用いることに問題があります。そのため、本来は教員が児童生徒に対してメールやLINEを私的かつ不適切な目的で用いた場合に限って禁止されるべきであり、それ以上に例外なく一律にメールやLINEでの連絡を禁止することは、教員の業務の効率性の観点からは行き過ぎた制約かもしれません。もっとも、メールやLINEの私的かつ不適切な使用を抑止するために「校長及び保護者の許可を得る」といった条件を付すことは、合理的であって法的にも問題はない、と考えられます。
設例でも、仮に「教員と生徒とのLINEの連絡先交換には校長及び保護者の許可が必要である」というルールが存在するのであれば、そのルールが合理的である以上、無許可で生徒と連絡先交換を行えば注意指導その他処分の対象となり得ます。しかし、LINEでの連絡先交換の必要性があるにも関わらず、無条件でLINEでの連絡先交換を一切禁止するというルールであるならば、今度はそのルールの合理性が問題になります。

2 問題は、連絡手段ではなく教員の人格

教員が児童生徒との連絡手段にメールやLINEを使用する必要性としては、業務の効率化という観点だけでなく、事務連絡の内容・時間・到達事実を記録し、証拠化する意義もあります。日本語能力が乏しい外国人の児童生徒に対しては、電話ではなく文字で伝達する必要性もあるでしょう。
また、教員と児童生徒との間の連絡には公的か私的かを区別しづらいものもあり、例えば、設問の生徒からの相談が「いじめを受けている」という内容の場合、口頭よりLINEのほうが教員に伝えやすいこともあり得ます。
裁判例でも、学級担任が自分のクラスの生徒に対してL I N E で事務連絡等を行っていたことについて、クラス全員の生徒らに対する指導監督義務を履行するために必要な行為として評価するものがあります(横浜地裁横須賀支部平成28年11月7日判決)。海外では、教員と児童生徒のメールでの事務連絡は普通に行われており、ネットいじめなどに対処するためには日本の教員自体もソーシャルメディアに親しむ必要があると指摘する見解もあります(加納寛子編『ネットいじめの構造と対処・予防』110〜113頁)。また、教員の長時間労働を是正するための働き方改革の議論では、教員の業務の効率化の必要性が提言されており、メールやLINEが業務の効率化に資する側面に鑑みれば、児童生徒との連絡手段としてのメールやLINEの使用を禁止する服務ルールには違和感を覚える意見もあるでしょう。
結局、メールやLINE上で児童生徒と不適切な言動を行う教員は、連絡手段が問題ではなくその人格自体が教員として不適格であり、ひいてはそのような教員を採用した学校設置者の任命責任の問題です。そのため、任命権者である学校設置者は責任をもってそのような人物を採用しないよう的確に判断すべきである、と考えられます。

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