教壇の必殺技講座

教壇の必殺技講座・第8回・算数のカリスマ 鈴木 直哉先生

栄光ゼミナールの現役カリスマ講師が、教壇に立った時のテクニックをこっそり伝授。
授業の捉え方から、細かな伝え方のテクニックまで、実際の授業におじゃまして、教えてもらいました。

面接・模擬授業でも役立つ!
栄光ゼミナールのカリスマ講師が教える
教壇の必殺技講座

第8回 算数のカリスマ 鈴木 直哉先生

生徒の気づきや「分かった」
という実感を大切にした授業

「授業が始まるのをただ待つのではなく、その時間にやるべきことを決めることで、子供たちの授業に向かう心が整う」と言うのは、小学6年の算数の授業を行う鈴木先生です。
子供たちは授業が始まる前に宿題(計算問題のみ)に要した時間と、分からなかった問題や難しかった問題の番号をホワイトボードに書きます。問題を間違えると、所要時間が加算されるペナルティがあるため、スピードと共に正確性も求められます。実はこの所要時間によって次回の座席が決まります。宿題にゲーム性を持たせることで意識付けの一工夫としているそうです。
質問したい問題番号を書くことにも大きな意味があると鈴木先生は言います。
「漢字の書き取り練習で、間違えた字を30回書いても意味がないように、算数もやり方を間違えていたら、いくら家庭学習をしても意味がありません。宿題をやりっぱなしにせず、分からなかったところを次の授業で解説し、フォローすることが効率よく学習するためには欠かせません。また、自分が何を理解していないのかを知ることはとても大切なことです。子供たちの中には全問正解でないと気が済まなかったり、無意識に分かった振りをしてしまう子供がいたりします。そのくせは早いうちに治さなければいけません。子供たちには『難しい、分からなかったというのは、ちゃんと勉強した証だよ』と伝えています。」
鈴木先生のクラスでは、間違えることは恥ずかしいことではありません。間違えたことを気にするのではなく、「あ、そうか!」という気づきと、「分かった!」という体験が大切にされています。
加えて、鈴木先生は授業前に一人ずつ宿題をチェックします。その際、問題のキーとなる部分を指摘したり、ヒントを出したりするだけで、子供たちが自分で気づくことも多いと言います。

↓解法を示したら,自分自身で解かせる。
「分かった」「解けた」という成功体験が授業のカギ。

家庭学習を通して
授業での成功体験を振り返る

「中学受験を考えたとき、算数は授業の中でやらなければならないことの量が多く、家庭学習においても手間と時間がかかる教科です。他の教科とのバランスを見据えた上で、入試というゴール地点から遡って授業と家庭学習を組み立てなければなりません。」
時間と手間のかかる教科だからこそ、効率を考えるのが教師の仕事だと鈴木先生は考えます。そして、授業の準備も目的を持って行います。
「こんなに鮮やかに解くことができるんだ! すごいな」と子供に思わせるには、どのような説明をしたらよいか。どのタイミングでどういう問い掛けを誰にするか。どの子供にどの演習問題をさせるか。いろいろなパターンを考えるのだそうです。
授業では、鈴木先生の解法を見て、子供たちが「自分もその方法で解いてみたい」と思ったタイミングを逃さず、演習問題に向かわせます。そこで「できた!」という成功体験をさせるのです。
一方、家庭学習は授業の振り返りという位置付け。宿題は授業で作ったノートを見て解いてもよいというルールです。授業で得た成功体験を家庭学習でもおさらいし、何度も積み重ねるのが目的だからです。そのため、授業で扱えなかった応用問題を宿題にすることはめったにないそうです。難しい問題に取り組んだとして、解ければいいのですが、そうでないと素直に頑張る子ほど苦しむからだと鈴木先生は理由を話します。応用問題を宿題にする場合は「この問題は難易度が高いから、5分考えて分からなかったら解説を見てもいいよ」と指示を出し、チャレンジ問題という位置付けにしています。

授業以外でも交流し生徒との信頼関係を築く

成功体験は、その量が多いほど自信につながる子供もいれば、できなかったものができるようになったという感動の大きさが自信につながる子供もいます。その子の性質をよく知ることが適切な指導には欠かせません。
また、算数嫌いにさせないことにも気を配ります。そのために必要なのが信頼関係だと鈴木先生は言います。
「算数や数学の先生になる人は、それが得意な人がほとんどでしょう。私も中学受験をしましたが、授業を受けながら『自分ならこんな教え方はしない』と考えているような子供でした。でも、塾に来るのはそういう子供ばかりではありません。すでに算数嫌いになっている子供もいます。いろいろな子供がいることを受け止めること。そして、授業以外の時間も接して、その子が何を好み、何を嫌がるかを知ることがとても大切です。子供は、『この先生とは話ができる』と心を開くと、授業でも『やってみよう』という気になったり、できなかった問題があっさりできるようになったりするからです。」
目の前にいる子に興味を持ち、よく知ること。そのため、鈴木先生はお弁当を持参し、子供たちと一緒に食べながら雑談をすることで、子供たちへの理解を深めることも心掛けています。一方で、教師としてのプライドを持ち、厳しくあるべきときにはちゃんと厳しくもする。そうしたある種の「壁」を作ることも忘れず、子供たちと向き合うことが重要だとお話してくださいました。

今月のまとめ

授業で得た成功体験を家庭学習で追体験し、そこで分からなかったことは次の授業でフォローをする。そのサイクルを回すことで効率よく合格へと導く。子供たちとの信頼関係を築く努力を忘れない一方で、その子が話しやすいと感じている先生が別にいるのなら、その先生からアプローチしてもらうこともあるとか。「一人で抱え込まない」というのも、大切な教師として大切な姿勢だと感じました。

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