論作文(論文)

新藤久典の熱血!論作文「猛トレ」〜「特別な支援を必要とする子供への対応」

新藤久典先生による論作文の「猛烈トレーニング(略して「猛トレ」)」です(全8回)。
第7回となる今号では、今夏の試験本番を見据えた「予想問題」を基に、執筆のポイントを解説いただきます。

 今号・次号の最後2回は、2018年夏の教員採用試験で出題が予想される2つの重要課題「特別な支援を必要とする子供への対応」と「自己肯定感の育成」を扱うこととする。今号はまず「特別な支援を必要とする子供への対応」。早速、実際に昨年夏に出された問題を見てみよう。

特別支援教育は、学校教育法等の改正を経て2007年4月から実施されている。昨今は、通常の学級において学習面・行動面で著しい困難を示す子供が増加傾向にあると言われ、加えて2016年4月からは「障害者差別解消法」が施行されるなど、人権を取り巻く社会状況に変化がある。そうした状況の中で、全ての学校が障害のある子供に「合理的配慮」を行わねばならないわけで、大きな転換期を迎えていると言えよう。特別支援教育が目指す教育像については、以前は障害のある子供の自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援する、という視点が中心であった。学校や教員は、この理念をさらに一歩進め、次のステージに進むことが求められよう。今後は、次の2つの視点を踏まえながら、特別支援教育を推進していかねばならない。

 

ポイント① 新学習指導要領の趣旨を踏まえる

以上の視点を踏まえて、記述例を基に解説していく。

記述例1を読むと、従前の特別支援教育の考え方に沿って基本的なことが述べられていることが分かる。これまでであれば、十分に合格点がもらえる内容だが、今回改訂された新学習指導要領で示された特別支援教育の考え方に照らしてみると、十分とは言えない。
では、具体的に何がどのように変わったのであろうか。2017年6月に示された新学習指導要領解説「総則編」において、今後の特別支援教育のあり方について、次のように説明されている。

現行(旧)の学習指導要領解説では、各教科の解説に関連する記述がないが、新学習指導要領の解説には各教科等の解説に、学習活動において児童生徒が示す学びの困難さの具体例が示されている。中学校の「総合的な学習の時間」の例を示すので、目を通してみてほしい。

いかがであろうか。ざっと読んでも、障害のある児童生徒だけを対象とした話ではないことが分かろう。自身の小・中・高校時代を振り返ってみてほしい。「人前で話すことへの不安から、自分の考えなどを発表することが難しい場合」などの経験は、多くの人が思い当たるのではないだろうか。「様々な情報の中から、必要な事柄を選択して比べることが難しい場合」なども、特定の教科において苦手意識を持つ人は多いはずだ。このように今回の改訂においては、障害のある児童生徒だけに限らず、学びの困難さを感じているすべての児童生徒に目を向け、自らの力で克服していく指導・支援を徹底することが求められているのだ。
とはいえ、これまで特別支援教育で培われてきた「障害種別に応じた指導」が誤りだというわけではない。今後も、障害のある児童生徒に対しては、家庭、医療機関、福祉機関、行政機関等などによる緊密な連携の下、充実した支援を展開していく必要がある。
今回はそうした考えにプラスして、障害があるかないかは明確に判断されるものではなく、「全ての子供がさまざまな学びの困難さを抱えている」という事実を前提として、個に応じた指導の充実を求めているのである。

 

ポイント② 他教科にも目を向ける

以上の前提を踏まえ、次の記述例を見てみてほしい。

【記述例2の評価】
記述例2はやや冗漫で、もう少し短くして整理する必要はある。ただ、新学習指導要領における特別支援教育のあるべき姿を的確に捉えて記述している点は高く評価できよう。自分自身が担当する教科(保健体育)を他教科と比較して、教科としての特性を理解しようとしている姿勢も好感が持てる。自分の担当教科の学習指導要領や解説は読んでいても、他教科の内容と比較している人は、決して多くないはずだ。大学の授業も、例えば「教科教育法」ではその教科のことは深く広く学ぶ形になっているが、他教科と比較してどのような特徴があるか等については、ほとんど触れられない。その点で、この記述例が他教科との違いに目を向け、配慮すべき点を整理している点は大いに見習いたい。
続いて、記述例3を見てもらいたい。

自身の学習歴に触れ、発達障害のあるなしにかかわらず全ての児童生徒が何らかの「学びの困難さ」を抱えているという視点をしっかりと捉えていることは大いに評価できる。
また、授業の内容や方法の工夫だけに留まらず、「心情の理解」に基づく手立てについて言及している点も高く評価できよう。自分を健常な人間と思い込んでいる受験生は、「障害」や学習面・行動面の「困難さ」、それによる「心理的圧迫」などを他人事として捉えがちである。そうした考え方をしている限り、合格答案は書けない。これまでも「猛トレ」の誌面で、「当事者意識」を持つことの大切さを力説してきたつもりだが、今回の「特別支援教育」に関しては、それがあるかないかが合否の分かれ目となることを肝に銘じてほしい。

このつづきは

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