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学級経営キホンのキ 「授業に無関心な子どもは授業で変える」=「授業こそが学級経営の基本」の巻

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「授業に無関心な子どもは授業で変える」=「授業こそが学級経営の基本」の巻

河原田 友之(東京教育研究所主任研究員)
千葉県で37年間教員を勤め、現職。

授業の邪魔はしないけれども無関心

前号では、「授業を邪魔する子どもへの対応」について取り上げました。こうした子の対応に追われると、あこがれの教師になったばかりの人にとっては、現実を突き付けられた気がして、何よりも苦労に感じられるものです。しかし、目の前のことにきちんと対応できなくては、子どもたちも保護者も認めてくれはしないのです。子どもたちと関わる中で、逃げないで、しかも笑顔で向き合うことでしか解決しないことを知ってほしいと思います。
一方で、教室には、授業の邪魔はしないけれども関心もないという子どももいます。私の教師経験を振り返ってみると、学級には覇気のない子どもが必ず数人はいました。「何とかしよう」と、あの手この手で取り組みました。何年かの経験を経て、結論は一つだと考えました。それは、「授業で勝負すること」です。

 

子どもの無関心=教師の問題

授業に無関心な子と聞くと、つい「子どもに問題があるのでは」と思ってしまいがちです。はたまた、「家庭では一体、どんな教育をしているのか」と、親のせいにする人もいるかも知れません。
しかし、本当にそうなのでしょうか。教師である自分自身に問題はないか、省みる必要があるのではないでしょうか。「子どもが興味を持てるような、楽しい授業をしてきたのか」と。
子どもにとっては45分やそれ以上、つまらない授業を受け続けるというのは、苦痛でしかありません。これが続く限り、時間とともに、授業に無関心な子どもが増えてくるでしょう。

 

ある初任者の経験

ある先生の初任時の経験です。

……私が初任の時、どの教科でもそうだったのだが、ひたすら子どもたちに発問ばかりして一問一答の授業をしていた。能力の高い子は、何度も挙手して的確に答える。それがまたテンポよく答えるので、私はつい調子に乗って次から次へと発問を繰り返していった。大満足で授業を締めくくっていた。
しかし、放課後、指導教官から、「今日の授業は一方的だったね」と、思いもよらぬ一言を言われ、一瞬言葉を失った。「どういうことですか。」と、恐る恐る聞くと、「確かに、流れ自体はスムーズでした。でも、今日の学習に参加していたのは、君の発問に答えていた3〜4人でした。その他の子は、何を学べたと思う?」。そこで私は初めて自己満足の授業で終わってしまっていたことを知ったのです……。

 

どの子も「学びの主体」になることが重要

現在、統計的には、学級には最低でも2人もしくは3人は、特別な支援を要する子どもがいると言われています。また、授業に集中できずに別のことをやりだしたり、ぼんやりしたり、持続できずに投げ出したりする子もいます。学級はこうした子どもを含めて、成り立っています。
まず、ここではっきりさせておきたいのは、さまざまな違いを持った子どもの集まりは、歓迎すべきものであるということです。できる子はできない子を支え、お互いが高め合って成長しているのです。お互いが支え合って、よさを分かち合うことが学級であり、学校なのですから。
学級経営で最も大事なポイントは、授業で子どもを変えること。どの子にも学びやすい環境をつくり、子ども一人一人を学びの主体にすることです。では、どのようなことに配慮すると、どの子も学びの主体になるでしょうか。ポイントを挙げてみます。

 

1 授業の組み立て方
集中し続けることは、子どもには難しいものがある。そこで、15分程度を区切りとした活動をすることで、適度な緊張と弛緩を繰り返しながら授業を進めることができる。
また、活動自体も、一方的に教師の話を聞くだけでなく、実際に作業をしたり、グループで話し合ったりと、子どもたちが主体となる活動を中心に組み立てていくと集中しやすい。子どもの立場から、楽しい活動や面白い活動を意識して取り上げること。
動作化(登場人物の心情や動きを演じさせる)や、役割演技(ロールプレイング)などはクラス全体で盛り上がるものになり、ゲーム的な要素を取り入れるのも、子どもの心をつかむ効果がある。教師も一緒に楽しめると、子どもとの距離が近づき、さらなる効果を期待できる。これは、新学習指導要領で求められている、「主体的・対話的で深い学び」にもつながる。
2 指示や発問の仕方
「短く」「具体的に」「分かりやすく」が基本。ここで、人の話を聞くときのルールを決めていく。
○話している時は、必ずやっていることをやめる
○口を挟まない
○質問は最後にする など
長々と指示を出したり、子どもの作業中に指示をしたりするのはもってのほか。
3 教材・教具を使う
言葉で説明するだけでなく、時と場合に応じて、写真や絵など、視覚的な教材を用いることも、子どもの興味を引き付ける。ICTの活用などもその一つ。

 

「そばにいる」ことの大切さ

こうした配慮をしても、指示が伝わらない、集中が続かない子には、個別に対応する必要があります。可能であれば、チーム・ティーチングの支援なども効果的です。学級をいきいきしたものにするためにも、いつでも学級の実態を外部に発信し、一人で抱えこまないようにします。なぜなら、閉鎖された空間では、教師と子どもたちだけでなく、子どもたち同士の人間関係も固定化し、教師の目が届かなくなってしまうからです。
最後に繰り返しますが、プロである教師の条件の第一は、授業で子どもをひきつける力を持つことだと考えてください。そのために、一人一人の子どもをよく捉え、一人一人に寄り添うことが重要です。
そして、教師を目指すあなたが普段から考えるべきことは、仲間を大事にしながら毎日を生活することです。思いやりや優しさ、強さなど、教師に人間的な魅力がなくては、子どもをひきつける授業はできません。でも、そうした「人としての魅力」は、一生をかけて身に付け、磨いていくもの。そのためにまずは目の前のできること、人の気持ちに寄り添うことから始めましょう。仲間が困っていたら、そばにいてあげる。これが想像以上に大切で、役に立つということは、皆さんが教師になったときにきっと理解できるはずです。

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