最新号の内容 | 教壇の必殺技講座

教壇の必殺技講座・第6回・国語のカリスマ 羽田 昌史先生

栄光ゼミナールの現役カリスマ講師が、教壇に立った時のテクニックをこっそり伝授。
授業の捉え方から、細かな伝え方のテクニックまで、実際の授業におじゃまして、教えてもらいました。

面接・模擬授業でも役立つ!
栄光ゼミナールのカリスマ講師が教える
教壇の必殺技講座

第6回 国語のカリスマ 羽田 昌史先生

 

 “問題以前”の問題が理解を妨げていることも

 「例えば、問題文に『カメラのフィルムを巻いて……』という説明が出てきたとしますよね。小学校低学年の子は、この文章の意味がまず分からないんです。」
大人からすれば、何が分からないのか不思議に思うかもしれません。しかし今の時代、写真を撮るときに使うものといえば、カメラではなくスマートフォン。デジタルカメラさえも「古い」と思う子供たちにとって、「フィルムを巻いてカメラにセットする」ことは、まったく“常識”ではないのです。
「国語の授業では、このような“世代間のギャップ”が、思わぬ障壁になることも多いです。言葉の意味や漢字の書き方を問う以前に、時代背景が違いすぎて、書かれている文章の意味自体が分からないことも充分にあり得るのです。」
こうした問題は、「子供と普段からコミュニケーションをとっていないと見過ごしやすい」と羽田先生は話します。特に低学年のうちは、それまでの読書量によって、一般知識や語彙力に大きな差が開きやすい時期。そのため授業では、問題の解説だけでなく、問題文に出てきた言葉や道具、出来事の意味などを、なるべく丁寧に説明しているのだそうです。
「書かれている文章の意味がよく分からなければ、問題を解こうという気も起きにくいでしょう。それに読書習慣がない子は、長文を読むこと自体に苦手意識を持っている場合も多い。国語が得意になってもらうためには、まずはそうした“問題以前”の部分からケアしていくことも大切だと感じています。」

この日の授業は「品詞」。それぞれの品詞をどうやって区別するか。積極的な発問が行われています。

 

覚えた言葉を「自分のモノ」にできるかどうか

 羽田先生の言葉通り、授業では時折雑談を交えて反応をうかがうなど、子供たちを飽きさせない工夫が随所に見られました。
例えば、問題文に「圧巻」という言葉が出てきたとき。羽田先生は、「みんなは、この言葉の意味は分かるかな?」と問い掛けました。
「“とてもすごい”っていうことですか?」
「そう。じゃあ何で“圧巻”が、そうした意味を指すようになったんだろう?」
しばしの間、「うーん……」と考える子供たち。
こんな風に、「言葉の意味を“覚える”だけでなく、“理解する”場面をつくることも大切だ」と、羽田先生は語ります。
「漢字の読み書きができるようになるためには、やはり反復練習が大事です。でもそれだけでは、国語の実力は上がっていきません。私は、覚えた言葉を“自分が文章を書くときに使えるかどうか”を一つの目安としています。そのためには、ただ書き方や意味を教えるのではなく、その言葉の成り立ちや由来を理解してもらうことも必要だと思うんです。」
ちなみに先ほどの「圧巻」の由来は、「昔、中国の役所の試験で、最も優れている答案を一番上に置いたこと」なのだとか。
「『巻』という字には、紙や書物という意味があります。つまり『いちばん上に置かれた答案用“紙”が、下に“圧”力をかけている』様子から、最も優れていることを『圧巻』というようになったんだね。」
羽田先生の解説に、子供たちは「へえ!」と驚きながら、深くうなずきます。
「今まで知らなかったことを知ることが、子供は純粋に楽しいんだと思います。授業でも『知る』『覚える』ことから、どうやって作業感をなくしてあげるかが教師の腕の見せどころではないでしょうか。例えば、熟語の学習なら、いろいろな漢字をバラバラに配置して、その中からどんな熟語が作れるか、クイズ形式で答えさせるといった取り組みをすると、子供たちの食いつきもぜんぜん違いますよ。」

 

 “書き切る力”が、国語の実力を伸ばしていく

 一方で、算数や英語と同じように、国語という科目自体を「苦手」「嫌い」と感じている子がいることも確か。これについて羽田先生は、国語の“曖昧な部分”に嫌悪感を持つのではないかと指摘します。
「子供って、答案に『△』を付けられるのをすごく嫌がるんです。自分の答えが合っているのか、間違っているのかが分からず、モヤモヤするんでしょうね。だから『△が多い国語は嫌い』という子もいます。たしかにテキストの解答を見ても、あくまで『例』として載っているだけで、『これだ!』と答えがはっきり分かるわけではありませんからね。」
そのため羽田先生は、答案を見直すときは「〇か×かよりも、自分が何を書いたのかに注目してほしい」と子供たちに伝えているそうです。
「受験では、文章題は加点方式で、“どれだけポイントになる言葉を用いて解答できているか”を見られます。だから『分からない!』とすべて匙を投げてしまうのではなく、分からないなりに自分の考えを“書き切る力”が大切になると思うんです。」
そのためには、問題文に対する注意力や観察力が必要になります。積極的に書く姿勢を持つことで、「文章を読みこむ力や一度書いた答えを見直す力が、自然に養われていく」と、羽田先生は語ります。
「だから、少しいじわるかもしれませんが、私はなるべく〇は付けず、答案を返した後にもう一度答えを書かせるようにしているんです。面倒くさいかもしれませんが、国語のテストは毎回内容が違うし、ルールに当てはめても必ず例外が出てくるもの。小手先のテクニックよりも、書かれている問題や話題に、真摯に耳を傾ける姿勢が、子供の実力を伸ばしていくと考えています。」

今月のまとめ

羽田先生は、丸付けをしながら、子供たち一人ひとりの得意な部分と不得意な部分を把握するように努めているそうです。「テストの結果は、子供だけでなく、教師にとっての成績表でもある。それを基に、毎回試行錯誤しながら、もっと分かりやすい説明ができるように心掛けています」と語ってくださいました。

教セミちゃんねる 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご紹介