最新号特集ダイジェスト | 個人・集団面接

山浦秀男のキレキレ理詰め! ジタバタしないための面接講座②

教員採用試験の鬼門・面接。
このコーナーでは、教育界の大御所で元面接官の山浦秀男先生が、面接本番でどんな質問が出てもジタバタせずに骨太の回答を出せるよう、受験生の教育者としての本質を鍛えます。

山浦秀男
東京理科大学理学部化学科卒業後、埼玉県にて公立小・中学校教諭、埼玉県教育局主任管理主事、主任指導主事、公立中学校長、特別支援学校長、埼玉県立総合教育センター副所長、埼玉県教育局文教政策室副室長、川越市教育長、文部科学省中学校理科指導資料作成委員、JICA技術協力短期専門家(中等理数科教員研修強化プロジェクト)などを歴任し、長年にわたり生徒指導をとり入れた教科指導策定に携わる。現在、大学の非常勤講師として、教師を目指す学生の指導に携わっている。

 

山浦先生のキレキレ!理詰め解説

道徳教育は多面的・多角的に行う

「特別の教科 道徳」においては、道徳的諸価値についての理解を基に、自己を見つめ、物事を広い視野から多面的・多角的に考え、人間としての生き方についての考えを深める学習を通じて、内面的資質や能力としての道徳性を主体的に養うことが求められる。
そのために、日々の生活や将来における道徳的行為や習慣に結び付けるという特別の教科としての特質を踏まえた質の高い多様な指導が必要である。
かつて多かったとされる、主題やねらいの設定が不十分で、単なる生活経験の話し合いや読み物教材の登場人物の心情理解に終始する「読み取り」指導は当然避けなくてはいけないだろう。かつ、これまでの指導上の蓄積を生かしながら、問題解決的な学習や体験的な学習などを含めた質の高い多様な指導方法に関する実践・研究を深め、成果を共有することが必要である。
このような基盤があってこそ、子どもたちの現状や実態を踏まえた効果的な指導を通じて、自分ならどのように行動・実践するかを考え、自分とは異なる意見と向かい合い論議する中で、道徳的諸価値について多面的・多角的に学ぶ道徳教育への質的転換を図ることが可能となる。

 

質の高い多様な指導方法とは?

では、具体的に一体どのようなものが「多面的・多角的に学ぶ道徳教育」と言えるのだろうか。
学習指導要領においては、道徳科の目標を「道徳性を養うため、道徳的諸価値についての理解を基に、自己をみつめ、物事を多面的・多角的に考え、自己(人間として)の生き方についての考えを深める学習を通して、道徳的な判断力、心情、実践意欲と態度を育てる」と定めている。この目標をしっかり踏まえたものでなければ、多面的・多角的な「特別の教科 道徳の指導とは言えない。
具体的な手法には次の①〜③のようなものが考えられる。

①読み物教材の登場人物への自我関与を中心に学習する

教材の登場人物の心情を自分との関わりで多面的・多角的に考えることなどを通して、道徳的諸価値の理解を深めることがねらいとなる。

【例】教材を読んで、登場人物の判断や心情を類推し、自分との関わりを考える。→授業を踏まえ、各自で道徳的価値に関わる自分の在り方を振り返り、交流する。

②問題解決的な学習

  問題解決的な学習を通して、児童生徒一人一人が生きる上で出会うさまざまな問題や課題を主体的に解決するために必要な資質・能力を養うことがねらいとなる。

 【例】統計や資料を読んで、道徳的問題の状況を分析する。→問題に対し、さまざまな解決策を考える。→自分ならどのように行動するかということを、役割演技などを通して実際に経験する。

③体験的な学習(「役割演技」や「道徳的行為」)

  役割演技などの体験的な学習を通して、道徳的価値の理解を深め、さまざまな課題や問題を主体的に解決するために必要な資質・能力を養うことがねらいである。登場人物の心情理解のみの指導や主題やねらいの設定が不十分な単なる生活経験の話し合いは、質の高い指導方法とは呼ばない。

 【例】電車の中で席を譲るか譲らないかという葛藤場面を設定。→ペア・インタビューなどを通して、登場人物の心情を理解し、何が問題となっているのか、状況を把握する。→グループをつくり、実際の問題場面を役割演技で再現し、登場人物の葛藤を理解するとともに、取り得る行動を多面的・多角的に考える。→同様の新たな問題場面を提示し、グループで何が問題となっているかを考え、取り得る行動を多面的・多角的に考える。→新たに提示された場面について考えた取り得る行動を、役割演技を通して再現し、解決を図る。

 

「特別の教科 道徳」の授業の展開に必要な4つの条件

「特別の教科 道徳」において、質の高い多様な指導方法が、各学校において子どもたちの状況に応じ積極的に展開されるためには、次の4つの条件が必要である。

①道徳科において育むべき資質・能力についての理解を広く共有する。

新学習指導要領の改訂においては、130 年に及ぶ日本の学校教育の蓄積を踏まえ、各教科などにおけるそれぞれの本質に根差した習得・活用・探究といった学習プロセスの中で育まれる資質・能力をより明確に構造化・可視化し、これらの資質・能力を育むことを重視している。

②問題解決的な学習や体験的な学習を含む多様な指導方法を共有し、教師が自らの判断で選択したり、組み合わせたりして工夫し、更に改善することが必要。

例えば、問題解決的な学習については、他者と対話や協働しつつ問題解決を図っていく中で、新たな価値や考え方を発見・創造する可能性もあるとともに、問題解決の先に新たな「問い」が生まれるといった学習活動のプロセスが重要で、その過程で生まれるコミュニケーション自体にも道徳的価値がある。他方で、単に目前の問題を解決するだけの「話し合い」に終わらないようにするためには、多面的・多角的思考を促す主題の設定、そのような主題の設定を可能とする教材の選定、道徳的な問題を自分事として捉え、議論し、探究するプロセスを重視することなどが求められる。

③日々の授業における質の高い多様な指導方法の実践を支える条件整備が必要。

何より重要なのは今回新たに導入される検定教科書であり、各学校における問題解決的な学習などの多様な工夫を生み出し、支える内容が求められている。また、検定教科書が導入されるからこそ重要性が増す各学校や地域の創意工夫による補助教材の作成・活用についての取組みも求められる。

④道徳科を学校教育における真の「要」とするためのカリキュラム・マネジメントの確立が必要。

各教科等の内容を横断して資質・能力を育むためのカリキュラム・マネジメントが重視されている。この点も道徳の特別教科化は先駆である。道徳教育の全体計画作成に当たっては、各学校の特色や教育課題を生かした学校主体のカリキュラム・マネジメントがとりわけ重要となる。

Question 3 まとめ

❶「特別の教科 道徳」と「道徳の時間」の違い、「道徳教育」との関連性などを正しく理解しておくことが大切である。
❷「考え、議論する道徳」を実践していく姿勢を示し、ペアワークやグループトーク、ディベート、役割演技等の方策を取り入れる。

このつづきは

本誌『教員養成セミナー2018年3月号』をご覧ください!

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