カリスマ教師の履歴書

file2 菊池奈津先生(神奈川県相模原市立相模台小学校)

世界中の人と会話できる素晴らしさを子供たちに感じてほしい

「完璧な英語を使える人は、世界でもごく一部。まずは外国語活動を通してコミュニケーションの楽
しさを感じてほしい」と語る菊池奈津先生。どのようにして教師としてのキャリアを積んできたのでしょ
うか。

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担任として関わりながら外国語活動を円滑に

米軍住宅、通称「House」に隣接し、各学年に10人前後の外国籍の児童がいる国際色豊かな相模原市立相模台小学校。10 年以上前から国際教育に取り組み、現在は全学年で外国語活動を行っています。

そんな同校で研究主任を務めるのが、5年生を担任する菊池奈津先生です。外国語活動専用の教室「Happiness room」で行われた菊池先生のクラスの授業を拝見させていただきました。

この日に行っていたのは、目前に控えた学年のクイズ大会に向けて、グループごとに自作のクイズを出し合い、ブラッシュアップする活動。ALT(言語指導助手)が授業をリードする中、菊池先生は各班を回り、一人一人に声を掛けます。

「英語で何て言うか聞くときは、どう言うんだっけ?

ほら、先生が黒板に書いてくれているわよ。」「このクイズのヒント、とても工夫されているね。
みんな、答えは分かった?」

児童たちは、菊池先生に褒められたり励まされたりして、自分のクイズに自信を深めた様子。英語を堂々と使いながら、クイズを出し合っていました。

「外国語活動はALT にお任せすることが多いと思いますが、担任だからできること、担任でなければ分からないことがあります。例えば児童を指名するときも、担任であれば毎日の様子から児童一人一人の心身の状態が分かります。みんなのスピードについていけない児童のフォローも担任の役割ですね。」

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世界中の人と通じ合う素晴らしさを実感

児童が楽しく英語活動に取り組めるよう配慮を欠かさない菊池先生。こうした研究活動が評価され、平成26 年度に、「文部科学大臣優秀教職員」として表彰されました。

「受賞のお話を聞いたときはピンときませんでしたが、本校の研究結果を広く市内の他校の先生に伝えていかなければいけないと身の引き締まる思いがしました。」

菊池先生は、さまざまな国の人と通じ合う喜び、素晴らしさを児童に実感してもらいたいと語ります。そう考えるようになったのは、菊池先生自身が、海外生活を体験したことがあるからです。それは、教員になって12 年目のこと。同じく教員であるご主人の香港日本人学校への転勤が決まり、菊池先生は3年間休職し、小学1年生の長男、1歳の次男とともに香港での生活をスタートさせました。

「香港では必要に迫られて英語を勉強し直しました。英語ができると、国境を越えてさまざまな国の人とコミュニケーションを取ることができます。その素晴らしさを改めて感じました。」

海外生活を通じ、菊池先生は英語を使うのが英語圏の人だけではないことを実感したと振り返ります。それと同時に、標準とされる英語を使い、完璧な発音で話す人は、ごく一部であることにも気付いたそうです。

「完璧でなくても構いません。どんどん声に出して、コミュニケーションすることの楽しさを感じること。
それが大切だと分かりました。」

海外生活を経て得たこの考え方は、現在の実践にもつながっているのだと言います。香港ではもう一つ、転機となることがありました。休職していたため、育児に専念したことです。

「香港で一保護者として学校に関わった経験を通じ、いろいろなことに気づきました。これまでの自分の伝え方は保護者にとっては厳しい言い方になっていたなと反省したり、先生からどのようなことを教えてもらうと保護者は助かるのかが分かったりと、“保護者の視点”を持てたのは教師として大きな収穫でした。」

 

子供を育てるのは未来をつくる仕事

菊池先生が教師になりたいと思い始めたのは、小学校に入って間もなくの頃だったそうです。1年のとき、担任だった先生がとても優しく、読み聞かせをしてくれたり、自宅へ遊びに行ったりしました。もともと子供が好きで、人にものを教えることが好きだったこともあり、気が付いたときには小学校の先生になることが目標になっていたと振り返ります。

そうして憧れの職業に就いたものの、当初は失敗も多かったそうです。忘れられないのは、ある児童との出来事。初任当時、リレーの選手に選ばれていながら練習に来ない児童をメンバーから外すように先輩の先生から言われ、菊池先生はその指示に従いました。ところが、児童には練習に出なかった児童なりの理由があり、「菊池先生は僕の話を聞いてくれない」と心を閉ざしてしまったのです。

「子供の立場に立って話を聞くことの大切さを痛感しました。問題があったときに、その根っこにあるも
のを考え、理解すること。表面だけを見ていたのでは、本質の部分を見過ごしてしまいます。彼とのことは今でも忘れられません。」

若手教員時代はうまくいかずに落ち込むこともあった菊池先生ですが、周囲の先生からのアドバイスにも助けられ、教師としてのキャリアを積み重ねていきました。自らの長所を「クヨクヨしないところ」と評し、「貯めこまないようにどんどんしゃべる」と言う菊池先生。

「若い先生にも弱みを見せます。その方がこちらも楽ですし、相手も何かあったときに本音で話してくれます。」

こうした教員同士の関係づくりも先輩の先生を見て学んだことだと言います。

「教師とは、どんな経験も糧になる仕事です。結婚や出産もそうですし、失敗することもすごく役に立ちます。そして、未来を作っていると実感できる、とてもやりがいのある仕事です。」

 

IMG_1821Profile

菊池奈津

平成2年3月…大学卒業
平成2年4月…神奈川県横浜市立東本郷小学校に赴任
平成7年4月…神奈川県横浜市立田奈小学校に異動
平成8年4月… 神奈川県横浜市立若葉台西小学校(現若葉
台小学校)に異動
平成14年4月…休職し、ご主人とともに香港へ
平成16年4月…神奈川県横浜市立若葉台小学校に復職
平成17年4月…神奈川県相模原市立中央小学校に異動
平成21年4月… 神奈川県相模原市立相模台小学校に異動
(現職)
平成26年…「文部科学大臣優秀教職員」として表彰

趣味・特技

野球観戦。息子たちが小さかった頃はベイスターズを応援。現在はもっぱら息子たちの試合を応援。

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