教壇の必殺技講座

教壇の必殺技講座・第6回・社会のカリスマ 三戸 雅義先生

栄光ゼミナールの現役カリスマ講師が、教壇に立った時のテクニックをこっそり伝授。
授業の捉え方から、細かな伝え方のテクニックまで、実際の授業におじゃまして、教えてもらいました。

面接・模擬授業でも役立つ!
栄光ゼミナールのカリスマ講師が教える
教壇の必殺技講座

第6回 社会のカリスマ 三戸 雅義先生

興味関心を引き出す子供への問い掛け

小学生の社会科を受け持つ三戸先生。この日の授業は5年生の歴史で、戦国時代から安土桃山時代を扱います。三戸先生はその時代のポイントを板書しながら、頻繁に子供に質問します。「大航海時代、スペインやポルトガルの人は何を求めて航海に出たのかな?子供は「綿!」「領地かな?」などと思い思いに発言します。三戸先生が「胡椒などの香辛料だよ」と言うと、「え? そんなもののために?」と驚きの声を上げた子供もいました。「当時は冷蔵庫なんてないから、肉など傷みやすかったんだよ。その匂い消しに重宝されたんだ。」プラスアルファの知識が、子供の興味を引き出した瞬間でした。
「単にポイントとなる用語を覚えるだけでなく、他のことと関連付けて覚えられるよう授業を工夫しています。そうすることで全体の流れが頭に入ります。また、入試で社会は知識が重要と考えている方もいますが、難関校では知識の上にある思考力が問われます。子供の志望校を意識して、子供との対話を大事にして単に暗記で終わらない授業を心がけています。」
授業では、例えば「鉄砲伝来により、戦いの仕方はどのように変わったのか?」と子供に質問し、城の立地や造りの変化などについても説明していました。

家庭学習の流れを示した、三戸先生によるプリント (PDFファイルで開く

子供との信頼関係が
勉強へのやる気にもつながる

こうした授業の元となっているのが、三戸先生が独自に作っている板書案です。決められた時間の中で豊富な内容を、ポイントを絞って伝えられるように工夫されています。また、入試問題や模試の分析を行い、授業では重要なポイントや覚えるべきところがどこか分かるよう色を変えたり、「ここは毎年出ているよ」と指摘したりして、注意を喚起します。
子供は板書をノートに書き取り、指摘されたことをメモすることで、自分だけの参考書を作ることができます。難関校では自分の考えを文章で書くことが求められているため、手を動かしてノートに書き込むことがその練習にもなると三戸先生は考えています。
ただし、子供がノート作りに熱中しすぎないようにも配慮しています。授業という限られた時間の中では板書をノートに写すだけでなく、考えたり、質問に答えたりしてほしい。そのため、定規を使わずにフリーハンドで書く。文房具の貸し借りをせず、色のペンがないときにはその言葉を囲むなど、書き方を工夫するよう指導しています。
「女の子で真面目な子ほど、ノート作りにこだわる傾向があるので、“良い加減”を学ぶことを教えています。試験本番では定規などは使えないし、時間内で書くことが大切だと伝えると子供は納得します。」
子供の「やる気」を促すため、三戸先生ご自身も授業後には必ず振り返りを行い、子供の質問に答えられなかったことは調べて知識を補完しておくそうです。
「ときには驚くような質問をする子供もいます。それに答えられると、『あの先生はすごい』と信頼関係が強まります。手は抜けませんね。」
それまで「アイドルになりたい」と夢見がちだった子供が、三戸先生の下で受験勉強に励んだことで社会に興味を持った例もありました。「保護者から、『社会の先生になりたいと言っている』と聞いたときは嬉しかったですね。それに、夢が現実的なものになって、成長したなぁと感じました。受験を経験することは現実と向き合うことなので、子供が一気に成長するようです。」

知識の定着に不可欠な
家庭学習を細かく指導

三戸先生には、もう一つ力を入れていることがあります。家庭学習です。
「子供の学びは授業だけで完結するわけではありません。最初の授業のときに家庭学習の手順やそれにかかる時間を示して、確実に家庭学習を行うことを指導しています。」
先生が指導する「家庭学習の流れ」は、授業ノートの見直しとテキストの音読、動画の視聴など全部で8項目に上ります。それぞれ必要な時間が想定されており、何をいつまでに行うか、実施曜日も細かく設定しています。ただし、必ずしもすべてをやらなくてもよく、「忙しいときはここまででいい」というラインも指導しています。そこまでであれば1時間半程度で終わります。
「どの学習にどれくらい時間がかかるか、具体的に想像できない子供もいます。例えば、同じ演習問題を3回解くように指示していますが、1回目よりも2回目、2回目より3回目のほうが、時間がかからなくなるというのが分からない。それで『3回もやるのか』と億劫になってしまうのです。また、他の教科との兼ね合いで、この日までにやっておかないと別の宿題に時間を取られてしまう、ということも子供は見過ごしがち。実施曜日を設定することで、1週間のスケジュールをきちんと作り、そのとおりに進めることを身に付けさせています。家庭学習は長時間やれば良いわけではなく、クオリティを上げることが大切。そのことも常に話しています。」

今月のまとめ

問題を解くために必要な知識とともに、自分で考える思考力も問われる難関中学の社会科。三戸先生は授業の板書と、家庭学習での復習や演習問題で知識を定着させ、授業中の子供とのやり取りの中で思考方法を教えていました。とはいえ、社会が苦手な子が無理やり得意になる必要もないと言います。「得意科目の足を引っ張らない程度の点数が取れれば大丈夫。でも、足を引っ張るならなんとかしないといけない。『嫌だけれどやらなければいけない』というのは社会に出てからも必ずあること。社会でどう生きるか、にもつながっているように思います」(三戸先生)

教セミちゃんねる 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご紹介