最新号特集ダイジェスト | 論作文(論文)

新藤久典の熱血!論作文「猛トレ」〜「ものの見方・考え方」を問う問題を攻略せよ!①

新藤久典先生による論作文の「猛烈トレーニング(略して「猛トレ」)」です(全8回)。
第5回となる今号では、「生」や「遊ぶ」などの抽象的な出題形式への対応について、解説いただきます。

前号まで、学校が実際に直面している教育課題について、教員としてどう対応していくかを問う問題を取り上げてきた。今回はやや視点を変え、「生」や「遊ぶ」などの抽象的な概念に対し、人間としてどう考えるのか、「ものの見方・考え方」を問う問題への対応方法を見ていく。まずは、実際の問題を見てみよう。

 

こうした問題は、事前に出題テーマを予想し、対策を講じるのが困難である。その意味で、受験生の日常的な思考力や判断力がさらけ出される問題とも言えよう。この出題形式のねらいとしては、次のような点が挙げられる。
①教員に求められる資質・能力のうち、いつの時代にも求められる「広く豊かな教養」、今後特に求められる「豊かな人間性」を確かめる。
②日常的に「教員」として物事をとらえ、子供たちに何を伝えたいか、伝えなければならないかを考える習慣が身に付いているかを確かめる。
以上2点のねらいについて、具体的に見ていこう。

 

ポイント① 「広く豊かな教養」「豊かな人間性」

この2つの資質・能力は、2006 年7月の中央教育審議会答申「今後の教員養成・免許制度の在り方について」の中で指摘されているものだ。「広く豊かな教養」については、教育基本法第2条第1項にも「幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと」と掲げられているように、人間の根幹を成す重要な資質・能力だ。しかし、実際にこれを身に付けるのは容易ではない。ある意味で一生涯をかけて高めていくものだと言えよう。
では、具体的にどうすればよいのか。教員採用試験の受験生には、すぐに実践できる比較的簡単な方法として、次のことをお勧めする。
まずは、小学校1年から高校3年までの国語の教科書にある文学的な文章や説明的な文章を読み込むことだ。間違いなく、新鮮な学びや驚きが得られるであろう。さらには、生活科や社会科、理科など他の教科書を読むことも有効だ。教科書は、教員免許状を取得できる大学であれば図書館にあるはず。もし、見つからなければ、「教科書展示場」に足を運べば、現在使用されている小・中学校の全教科書を見ることができる。教科書は、日本人の「教養」の原点であり、しっかりと読み込んでほしい。
一方の「豊かな人間性」は、多様な人間との交流等を中心に、豊かな自然体験・社会体験によって培われるものだ。例えば、もし旅に出て行く先々で出会った人と膝をつき合わせ、胸襟を開いて語り合ったら、旅の前後で自分自身が大きく変わったことに気付くだろう。そうした非日常的な場面に限らず、日常生活の場においても、人間に対して興味・関心を持ち、話し掛ける少しの勇気を持てば、いつでも自分を変容させることができる。教員を目指すのであれば、近くにある学校の門を叩き、学習支援等のボランティア活動や授業参観を求めてみれば、きっと門は開かれ、歓迎されるに違いない。子供との豊かな関わりは、あなた自身を変容させ、教員に一歩も二歩も近づけてくれるものだと信じて、飛び込んでいってほしい。

 

ポイント② 子供に何を伝えたいか、何を伝えなければならないか考える習慣

教員については、教育基本法の第9条に「自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない」と定められている。子供たちのために全力を尽くす気力・体力に加え、それを支える専門的な知識や技能も求められる。
この資質を身に付けるためには、日々さまざな場面で、「もし、自分が教員だったらどう考え、どのように取り組むか」を考え続けることが必要となる。一つの言葉から、何を汲み取り、思考・判断し、表出するか。その思考を繰り返すことが、教員に近づく確かな道となるのだ。
具体的な記述例を2つほど見てみよう。

記述例1は、「生」という漢字の意味をいくつか紹介し、その中で「生まれる」に関心があると述べている。期待を持たせる入り方ではあるが、以降の文章で中学時代に読んだ本の題名と安易に結び付け、本の中で印象に残った登場人物のエピソードを紹介し、それを自己肯定感を高める授業に結び付けようとしている。このように、学校教育とは直接関係のない言葉を問う問題では、無理やり教育課題と結び付けようとする例がよく見られるが、決して高くは評価されない。
記述例2は一見、テーマである「いのち」に正対しているように見える。
しかし、書かれているのは、興味本位で生き物を捕らえてきて、「いのち」を奪ってしまった事実に過ぎない。その時、自分や級友が何を感じ、どんなことを話し合ったのかに触れられていない点が残念だ。加えて、自分たちが犯した過ちへの反省も述べられていない。その時、担任が語った話の内容を「覚えていない」と述べている点も、この受験生の「いのち」に対する認識の希薄さを物語っている。
現在は、子供たちが「いのち」の大切さを知り、日常生活で実践する力につなげていくことが、学校の大きな役割となっている。だからこそ、自分自身の過去を正面から振り返って分析し、反面教師として論作文の中で正対していく姿勢が求められよう。

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