論作文(論文) | 最新号の内容

新藤久典の熱血!論作文「猛トレ」〜「非連続型テキスト」の出題を攻略せよ!①

新藤久典先生による論作文の「猛烈トレーニング(略して「猛トレ」)」です。
今号では、やや変則的な「非連続型テキスト」の出題への対応について、解説いただきます。

今回も、実際に試験本番で出題された問題を取り上げながら、何をどのように書けば合格答案となるかを研究していこうと思う。前号(12月号)で解説した「問題文の解釈の仕方」に留意しながら,見ていくことにしよう。

 この問題は、いわゆる「非連続型テキスト」(データを図表やグラフなどによって視覚的に示したもの)を基にしたものだ。この出題形式のねらいとしては、次のような点が挙げられる。
①「非連続型テキスト」を読み解く力を確かめる。
②当事者意識(「自分は教員である」)を持って、資料から現代の学校教育の課題を分析する力を確かめる。
③学校が抱える課題に基づいた出題により、課題解決能力を確かめる。
以上3点のねらいについて、もう少し具体的に見ていこう。

 

ポイント①「非連続型テキスト」を読み解く力

 2000年に始まったOECD(経済協力開発機構)のPISA(生徒の学習到達度調査)において、日本の生徒の「読解力」が、他の「数学的リテラシー」や「科学的リテラシー」に比べて、低い水準で推移してきている。中でも、非連続型テキストを解釈(書かれた情報がどのような意味を持つかを理解したり、推論したりすること)し、熟考・評価(テキストに書かれていることを自分の知識や考え方、経験と結び付けること)する能力に課題があることが指摘されるなど、「PISA型読解力」の育成が大きな課題となっている。そのため、受験生がどれだけこれらの能力を身に付けているかを確かめ、教員としての適格性を確かめることが、ねらいの一つとなっているのだ。

国立政策研究所「OECD 生徒の学習到達度調査」(PISA)
http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/

 

ポイント② 当事者意識に基づく学校教育の課題の分析力
ポイント③ 学校における課題解決策の提案力

 まず、②の当事者意識についてであるが、こうした形式の問題でまず求められるのは、出題意図を正しく捉えることだ。別の言い方をすれば、問題文で示されたデータから、児童生徒が抱える課題の深刻さ、解決の糸口を見つけることの困難さに気付けるかが一つのポイントとなる。その気付きの上に、自分自身がこれまでに獲得してきた知識や経験を活用して、困難な課題に果敢に挑戦する情熱や意欲を示すことが求められるのだ。
具体的な、記述例を2つほど見てみよう。

 記述例1は、図表から読み取れる事実を正確に羅列しており、その点では一見、問題なさそうに見える。しかし、「教師」たる者の立場から見て、このような図表の読み取り方で、果たして十分なのだろうか。もし、小学校の教員であれば、学年が上がるにつれて「とても思う」という肯定的な考えの児童が、12.9ポイントも減少していることなどに注目すべきだろう。また、小学4年生の段階で、「全く思わない」児童がすでに10%を超えていることも、深刻な問題として受け止めなければならない。
また、中学校の教員であれば、中学校入学の前(小学6年生)の段階で、約半数に近い生徒が自分に自信を持てていないことに注目することも必要だ。同時に、中学2年の段階で、「とても思う」生徒が3分の1近く減少し、「全く思わない」生徒が2倍近く増加していることも、深刻な問題として受け止めなければならないだろう。
また、高校の教員であれば、高校2年生の段階で70%以上の生徒が自分を肯定的に受け止められていないことに注目しなければならない。
このように、同じデータであっても、受験する校種に応じて注目すべきポイントは異なってくる。そして、データから得られる情報や知見も異なってくることを理解しておく必要があろう。

 記述例2は、多くの受験生が陥りがちな論理の展開例だ。受験校種のデータばかりに目が行き、他校種のことについて深く考えようとする姿勢が欠落している。子供たちは、小学校教育の成果と課題を抱えて中学校へ、さらには中学校の課題を抱えて高校へと進学していく。そのため、「他校種のことは関係ない」と目を閉ざしてしまうと、問題の本質が見えなくなるのだ。
さらに、記述例2は、子供が「今の自分が好きだ」と肯定的に受け止められない理由について、学習面における不振が大きな原因であると、問題を単純化・短絡化して捉えようとしている。こうした一方的な見方は、全国の学校において「分かる授業」や「楽しい授業」がなされていないと決めつけ、学校批判をしていることにもなりかねない。
この受験生が考えるようなことは、とうの昔から全国の学校で研究され、工夫されているわけで、そのくらいことには思い至らなければならない。その上で、データが示すような問題の本質的な部分に気付いて、真剣にその解決策を考えなければならないのだ。

 

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