最新号の内容 | 先生、ソレ本当はアウトです。

新年会の2次会で……。

本当はアウトなNG行為を毎月とりあげ、マンガで説明。法律や教育上ダメな行為を取り上げます。

先生、ソレ本当はアウトです。
教師がやっちゃいがちなNG!行為

著・監修 山本豊(東京福祉大学こども学科教授)
千葉大学法学政治学専攻(現・法政経学部法学コース)卒業後、東京都庁に勤務。30歳で教員免許を取得し教育庁を退職、東京都の教員となる。2005年より東京福祉大学教授。

新年会の2次会で……。

A公立小学校では新年会が行われました。
明日は休日ということもあり、5年担任の3名の先生たちは連れ立って居酒屋で2次会です。簡単な衝立で仕切ってあるのみの居酒屋です。そこでは受持ちの子供たちの様子や家庭状況そして保護者のことなどの話題でもちきりとなりました。ところが、隣の席の見知らぬ客から「皆さんはA小学校の先生たちのようですが、酒席だからといっても、この様な場所での話としては相応しくないのでは」と、言われてしまいました。
月曜日に出勤すると5年の担任3名は、渋い顔をした校長先生に校長室に来るようにと言われました。校長先生に掛かってくる休日明けの電話には得てして急を要するものや事故対応を求められることがあるものです。A小学校でも休日明けに校長先生に次のような電話がかかってきたのです。
「私は会社に勤めているが、仕事に関する内容を口外することは原則として就業規則で禁じられている。公務員である先生たちにも守秘義務はあるはずだ。居酒屋で知り合いの家庭状況や保護者の様子など耳にしたが、これは守秘義務違反にならないのか。調査し、3日以内に回答するように」。

 

地方公務員の秘密を守る義務

教員が児童生徒の健康や家庭の状況などを知った上で教育活動などさまざまな対応をすることは仕事の性格上、必要なことです。しかし、これらの情報がみだりに外部に漏洩されることは、児童生徒や保護者などが不利益を被ったり、不快に感じたりする場合があります。その結果、教育活動を効果的に進める上で必要な情報の収集が困難となる状況も生じます。そこで、地方公務員法第34条第1項では、「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする」としています。
本条の「秘密」とは、「非公知の事項であって、実質的にもそれを秘密として保護するに値するものをいう」と最高裁は述べています。したがって、居酒屋での話の内容(子供の様子や家庭状況など)も秘密の定義に該当する場合があります。また、「漏らす」とは、秘密を知らない者に対して告知することをいい、告知の方法は問わないとされています。相手方の了知が必要か可能性で足りるのかで見解が分かれていますが、本事例では居酒屋の隣席の客は了知していたのですから、直接告げてなくても告知の一種として地方公務員法第34条第1項の「漏らす」に該当すると考えることができます。秘密を故意に漏らすのではなくうっかり漏らしても守秘義務違反に問われることがあるのです。なお、秘密を漏らした教員は、守秘義務に違反するだけでなく地方公務員法第33条に規定する信用失墜行為の禁止の違反になる場合もあります。漏らした秘密の内容にもよりますが、保護者などから民事上の損害賠償(国家賠償法)を請求される可能性があります。

 

法化社会

事例のA小学校では、休日明けからの対応が大変だったことは想像に難くありません。日本も法化社会と言われるようになり、今までは大目に見られていたことも訴訟に持ち込まれることが多くなりました。また、法に触れた場合には当人だけが責任を負うのではなく、管理職が管理責任を取ることになったり、職全体の信用をなくしたりする恐れがあります。法化社会となった今日の日本では「酒の上での話だから」では済まなくなっているのが現状です。

ここがポイント

・地方公務員法第34条第1項の違反には、懲戒処分以外に同法第60条第⼆号により1年以下の懲役又は50万円以下の罰金が規定されています。これは、特に退職者に対して効果があるものです。
・法化社会になりつつあるということは、ある問題に直面した市民がそれを法に照らして評価し、法に基づいた解決法を求めようとする社会が広がっているということです。

 

※本連載は今月号で最終回です。毎号お読み頂き、ありがとうございました。

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