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教壇の必殺技講座・第5回・英語のカリスマ 原口 徹志先生

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第5回 英語のカリスマ 原口 徹志先生

英語が苦手な子は「理解」ではなく
「暗記」している

 「“of”と“from”の違いは、ちゃんと理解してる?」
原口先生の質問に、一瞬答えに詰まる中学生の生徒たち。この日の授業の冒頭で課されたテストでは、英文で、物語の登場人物が「死亡した理由」が書かれていました。
解説を始めた原口先生は、ホワイトボードに「焼いてふくらんだお餅」のような図を書きました。
“of ”は、このように『内側から生じたもの』。だから……?」
「“of”は『病気』とか、内的な要因を指すときに使う。」
「その通り。一方の“from”は『事故』など、外的要因のときに使います。“of ”と“from”じゃ、文章全体の意味がぜんぜん違ってくるでしょ?」
授業中、原口先生は「これを覚えて」と、なるべく言わないようにしているそうです。英単語の意味や構文をそのまま暗記しても、すぐに忘れてしまう。それよりも、英文の構造を理解したり、イメージを持ったりしながら学ぶことのほうが大切なのだそうです。
「英語が苦手だと感じている子の多くは、勉強しているときに『暗記』をしているんです。例えば、自己紹介の仕方でも、“ I am 〇〇” という英文をそのまま覚える子と、“am” の意味や働きまで理解している子では、その後の成長に大きな差が出てきます。読解力を上げるために、英単語をたくさん覚えることは大切ですが、それだけでは英語の地力は上がりません。」
構造を理解させるために、原口先生は英文を作るときに、なぜそのような文章になるのか、なるべく生徒に説明させるようにしていると言います。
「『3人称単数』に“s”を付けるときも、なぜこの動詞には必要なのか、どこを見たら付けるか付けないかを判断できるかなど、作り方を本人が言葉で説明できるようにしたいのです。知らない単語や英文が出てきたときに、丸暗記だけでは太刀打ちできないものでも、構造をきちんと理解できていれば、自分なりの推測を立てて挑むことができます。それが本当の意味での『読み解く力』だと思いますね。」

当日の授業は,冒頭で複数のチェックテストが実施された。

「読める」から「解ける」わけではない

 授業では、「指示語」の質問に対する解答の方法についても、生徒に解説していました。
「質問文に“that”がある場合、答えの文末は『名詞』で終わること。分からなければ『もの・こと』で終わること。そうしないと減点対象になるから注意してね。」
知っている単語を拾って、何となく英文の意味は理解できる。それでも得点力が伸びないのは、「質問者の意図」を正しく理解できていないからだと原口先生は指摘します。
「英語は、読めるから解けるわけではありません。読んで分かった内容から、情報を取捨選択して、適切な解答を導き出すのは、また別の能力です。そのため授業では、漫然と読むのではなく、質問の意図を考えながら読むように指導しています。」
最近の高校入試では、長文問題の題材として、文学作品や随筆だけでなく、自然科学や化学の内容が出ることも増えてきているそうです。
そうした慣れないジャンルの文章が出題されても、答えの根拠となる英文を見つけ出す方法を知っていれば、問題なく対応できると原口先生は話します。
「私は、英語というのはパズルに似ていると思うんです。単語力は、いわば手に持っているピースの数。でも、いくらたくさんのピースを持っていても、それを正しくつなげられなければ、意味のある絵にはなりませんよね。それと同じで、英語も『意味のある文章を組み立てるルール』を理解することが、とても大切だと思います。」
単純に、英単語の意味だけを覚えても限界があるし、面白くない。逆に、仕組みをきちんと理解していれば、初めて見た問題でも解けたという感動を味わうことができる。そういった経験を重ねることが、英語を好きになるきっかけになると思うと、原口先生は語ります。

「英語脳」を鍛えるには、
日本語にいちいち訳さない

 生徒の中には、英語の本や新聞を読んだり、相手の話を理解したりといった「インプット」は得意だけれど、書く、話すといった「アウトプット」ができないという子も多くいます。
「大きな壁として、日本語と英語では言葉の構造が逆だということがあります。日本語では最後に結論を述べるのに対して、英語は最初。思考を言葉にする順序が日本語とは真逆なので、そこでつまづく子は多いですね。」
原口先生は、「このような言語構造の差によるつまづきは、長文になるほど出やすい」と指摘します。よくあるのが、長文を丁寧に読んでいたら、時間切れになって解答できなかったというケース。このようなミスを避けるためにも、英文は「左から右へ、なるべく戻らずに読むクセをつけることが大切」だと言います。
「例えば、『ロンドンの観光名所にはたくさんの外国人が訪れます』と、きれいな日本語に直すのではなく、『多くの外国人の訪問者は、行く、ロンドンの有名な場所へ』など、英語で書いてある通りに読んで理解していく。すると、読むときのスピードが断然速くなります。こうした『英語を英語のまま理解する訓練』は、書く、話すといった『アウトプット』のときにも役立ちます。日本語で考えたことを頭の中で英語に訳すのではなく、最初から英語で考えられるようになれば、もっと自由にコミュニケーションをとれるようになるのではないでしょうか。」

今月のまとめ

 2020年から、大学入試では、既存の「リーディング・ライティング・リスニング」に加え、「スピーキング」が課されるといいます。今後、ますます国際化していくなかで、原口先生の仰っていたように「英語を暗記で覚えず、仕組みを理解して使えるようになる」ことが、円滑なコミュニケーションをとるためには欠かせないと感じました。

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