最新号の内容 | 先生、ソレ本当はアウトです。

激励のつもり?!

本当はアウトなNG行為を毎月とりあげ、マンガで説明。法律や教育上ダメな行為を取り上げます。

先生、ソレ本当はアウトです。
教師がやっちゃいがちなNG!行為

著・監修 山本豊(東京福祉大学こども学科教授)
千葉大学法学政治学専攻(現・法政経学部法学コース)卒業後、東京都庁に勤務。30歳で教員免許を取得し教育庁を退職、東京都の教員となる。2005年より東京福祉大学教授。

激励のつもり?!

中学校のわが子の担任は、答案返却時に「50点満点じゃないんだぞ!」「頑張れ!! ほら40点!」などと言って返しています。皆に点数が知られてしまうのはかわいそうだと担任に話したところ、「生徒から止めてほしいと言われたことはありませんし、激励のつもりです。恥ずかしい思いをしたくないと、努力するようになります。」と言われました。止めてほしくても言えない子もいると思いますし、釈然としません。クラスメイトの前で、恥をかかせるような先生の言葉に問題はないのでしょうか。

 

刑法上の犯罪になることがあります

試験の点数を発表するような行為は、激励のつもりでも、生徒やその保護者、ときには周囲の生徒の心を傷つけることがあります。低い点数を公表する行為は、刑法第230 条第1項「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」の名誉毀損罪に該当する可能性があります。担任は、やる気を引き出すための激励と主張していますが、生徒の事実上の社会的評価を害する行為として、名誉毀損罪になる恐れがあるのです。
なお、名誉毀損罪は刑法第232 条第1項の親告罪です。被害者やその法定代理人等が告訴しなければ公訴を提起できません。本事例では、点数を公表された生徒やその保護者が捜査機関などに訴え(告訴)、検察官が裁判所に公訴を提起(起訴)することになります。多くの名誉毀損行為は、刑事訴訟法第248 条「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる」という起訴便宜主義が働き、起訴猶予や不起訴になることがありますが、告訴には教師の軽率な行為を戒める効果があると思います。

地方公務員法や就業規則に抵触する場合

テストの点数は職務上知り得た秘密と考えられます。従って、公立学校の教員の場合は地方公務員法第34条第1項「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、また、同様とする」の秘密を守る義務に違反することになります。私立学校の多くでも、その就業規則に地方公務員法の秘密を守る義務と同様の規定があります。

刑事罰・行政罰と損害賠償

名誉毀損罪で起訴され有罪となった場合、あるいは人権侵害行為を理由に民事上の損害賠償を請求された場合などには、公立学校の教諭等は、地方公務員法第34条第1項以外にも同法第32条(法令等及び上司の職務上の命令に従う義務)や同法第33条(信用失墜行為の禁止)などにも抵触し、懲戒処分の対象となることがあります。私立学校の場合、就業規則に違反するとして懲戒の対象となり得ます。
また公私立ともに、被害者から民事上の損害賠償を請求されたときは、損害賠償の内容は民法第709条の法益侵害や第710条の慰謝料などになります。この時、公立の場合は公務員による不法行為として国家賠償法が適用されます。私立の場合は民法第715条の使用者等の責任に関する規定が適用され、使用者等が一旦、損害賠償金を支払った後に当該教諭等に求償することになります。

ここがポイント

・心ない言葉は、事実の摘示の有無によって刑法の名誉毀損罪や侮辱罪となる場合がある。刑法に該当しなくても、民事上の人権侵害行為として損害賠償を請求される場合がある。
・生徒の成績が振るわないのは自己の指導力不足であるとして反省すべきである。反省から教材研究に励むようになり、分かる授業となり、生徒との信頼関係が芽生え、やる気を引き出させる。

 

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