その他 | 『教セミ』最新情報

教職大学院での学び― 宮城教育大学教職大学院 ストレートマスターを即戦力に 授業力・学級経営力の向上に向けた取り組み

現在、学校現場では教員の若返りが進み、実力のある若手教員の活躍が求められています。ストレートマスターを即戦力として学校現場に送り出すため、2017年度から、ストレートマスターを主な対象とした履修コース「授業力向上コース」の一部を再編成。1年次で履修する、教師の基本である授業づくり、学級集団づくりに関する3つの授業と教育実習を連動させる、新たな取り組みを開始しました。

※解説・我妻良行准教授

 

⑴ 授業力向上に向けた取り組み

 従来、教育心理など「教職教養」にあたる内容を扱っていた「学校教育・教職研究D」の内容を一新。指導案の書き方など、授業づくりの基礎・基本を理論的に学ぶ授業内容としました。一方、授業づくりの基礎・基本と模擬授業の実施を行っていた「学校教育・教職研究E」は、模擬授業に特化した内容に変更。2つの授業を平行して進め、Dで考えた指導案を基にE で模擬授業を行うことで、理論と実践がつながるようにしました。
さらに、2つの授業を通してつくり上げた指導案は、1年次の5~6月にかけて附属学校園で実施される教育実習「基礎実践研究Ⅰ」において、実際に子供たちに対して実践します。授業の様子は映像として記録し、実習終了後に検討会を開催。各自の授業について協議を行うことで、どんな授業を理想とするのか、そのための自らの課題は何かを明確にさせ、より深い学びへつなげることを目指しています。

Comment from student
ストレートマスター1年次 小沼佳菜実さん

教職大学院の教育実習では、院生が各自の研究テーマを取り入れた授業を行います。私の場合、研究テーマを「算数における話し合いなどの活動に、教師がどう介入し、学びを深めるか」と設定しているので、「学校教育・教職教育D・E」でも、話し合い活動を取り入れた算数の指導案を作成し、模擬授業を行った上で、教育実習に臨みました。
ところが、実際に子供たちを前に授業を行うと、子供たちは、「何で話し合うの」「何を話し合うの」といった反応。“ 話し合いの場面” にどう介入するかという側面に集中して授業づくりをしていたため、そこに至るまでの展開や導入が練られていなかったことに気づかされました。
子供たちが話し合い活動の必要性を理解できるよう、練り直した授業も行ったのですが、導入部が長すぎるものになってしまったと感じていました。しかし、後日の検討会で授業の映像を見てもらったところ、周囲からは、子供の理解を促すためには必要な導入だったなど、自分では気づかなかった評価や指摘をもらいました。
今、考える理想の授業は、子供たち一人一人が確実に学びを得られる授業です。研究テーマである、話し合い活動における学びを深めるためにも、導入部を含めた授業全体を通した発問の工夫などを考えていきたいと思っています。

 

⑵ 学級経営力の向上に向けた取り組み

 学級経営については、「学級・学校経営研究D」において、学級経営や学校行事、生徒指導や危機管理などに関する基礎知識(=理論)を学習し、教育実習「基礎実践研究Ⅱ」において、連携協力校の学校行事などに参加する(=実践)というスタイルを継続。これに加え、2017年度からは「学級・学校経営研究D」の一環として、附属学校園の学級開きの様子を観察する機会を設けました。
学級集団づくりのカギとなる学級開きの時期の4月と5月に1回ずつ、同じ学級を2回観察することで、初期段階における教師の指導と子どもたちの変化を感じ取れるようにしました。この観察から得た学びを、授業で学ぶ学級経営に関する理論と関連付けることで、学級経営に関する理解を深めることを目指しています。
なお、観察する学級は、それぞれの院生が教育実習「基礎実践研究Ⅰ」において実習を行う学級を設定。実習を行う学級の子供たちの様子を事前に知る機会にもなっています。

Comment from student


4月の観察では、担任の先生が、学級のルールとして時間を守ることを徹底して指導している印象を受けました。子供たち同士のコミュニケーションは、まだギクシャクとしていて、お互いの距離を探り合っているような雰囲気でしたが、5月の2回目の観察時には、担任の先生が教室にいなくても、時間になると子供たちがお互いに注意し合って授業準備を整えるようになっていました。
時間を守るという学級のルールが1カ月間でしっかり浸透している様子に、子供たちの成長の早さ、適応の早さを感じると同時に、学級集団づくりには、学級開きの時期に、学級の目標やルールを子供たちに意識させることが大切だと実感しました。
また、教育実習で担当することになる学級を観察し、学級のルールを知ることができたので、実習中には、ルールを守っていない子供に声を掛けるといった指導をすることもできました。

 

⑶ キャリア育成オフィスを1年次生にも開放

 教師としての総合力は、理論と実践の往還によって養われるという方針の下、2015年度より附属学校園に「キャリア育成オフィス」を設置。ストレートマスターの院生が、学校の教育活動を日常的に観察したりするための拠点として活用されています。1年次は授業時数が多いことから、これまでオフィスの利用は2年次の院生を対象としていましたが、2017年度より1年次の院生にもオフィスを開放。教育実習期間に限らず、年間を通して同じ学級に関わることを可能とすることで、授業づくりや学級集団づくりを継続的に学べるようにしました。

Comment from student


実は、学級開き期間の2回の観察以外にも、教育実習前などにオフィスを利用して授業観察をさせてもらっていました。学級の雰囲気や子供たちの様子を知った上で教育実習に入れたのはとても良かったと思います。
実習後も、担任の先生の発問の仕方や授業の展開を知りたくて、オフィスを利用して授業観察に行っています。以前は、子供たちの反応の方に注目して授業観察をしていたのですが、先生の一言で子供の反応が変わることに気付いてからは、先生と子供のやり取りに注目して授業参観するようになりました。この先も、同じ学級の子供たちの一年間の成長が見られることが楽しみです。

教育データ対策 これ一冊でいっき解決! 3ステップ過去問分析の進め方 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご案内