最新号の内容 | 躍動する若手教師

File21 齋藤春菜(さいとうはるな)先生 埼玉県立浦和第一女子高等学校

授業は「伊勢物語」。
「在原業平に興味がない」と言う生徒に、
齋藤先生がかの人の魅力を説明します。
反論、感想、歓声が飛び交う教室。
「興味がない」とは思えません。

 

Q1  国語教師を目指したきっかけは?

中学生のころから、将来の選択肢の一つとして「教職」が頭にあったのですが、その頃は、「生徒と一緒に歴史や現在の出来事について考えたりできる、社会科の先生が楽しそうだなあ」などと考えていました。「国語」の教師を目指すようになったのは、高校2年生のとき授業で「源氏物語」に出会ったことがきっかけです。

それまで古典に特別興味があったわけではありません。ただ、とにかく「源氏物語」が面白くて面白くて。訳をして、登湯人物の心情が分かると、さらに先が読みたくなり、文法の学習にも進んで取り組むようになりました。振り返って考えてみると、当時の古典の先生が、教科書には載っていない部分のエピソードを教えてくれるなど、さまざまな工夫を凝らして、興味を引いてくれていたのだと思います。私も、「源氏物語」を生徒と一緒に楽しめるようになりたいと、国語の教師を目指しました。

 

 

Q2  初任の年はどんな年でしたか?

どんな授業をすればいいのかも分からなくて、大変な1年でした。授業のどこにポイントを置いたらいいのか、生徒たちがつまづきやすいポイントがどこなのか、教材をどう活用したらいいのか。授業の工夫の仕方が全く分からず、単調な授業をしてしまっていたと思います。
授業で分からないことがあっても、生徒は質問をしてくれるとは限りません。特に、生徒も私も、まだお互いの距離感を探り合っている時期だったこともあり、生徒たちの「分からないこと」をとらえることができませんでした。授業後に、困った表情をしている生徒たちに気付いても、どうしていいか分からず、私も困る。お互いに困り合っているような状況でした。

何とかしなければいけないと思って始めたのが、他の先生方の授業見学です。それまで、授業を受ける側からしか見ていなかったので、先生方が1時間の授業をどう組み立てているのか、どう山場を設定しているのかなどを、見て学んでいきました。加えて、授業に困っていることを率直に伝え、効果的な発問の仕方を指導していただいたりもしました。

一方で、少しずつ生徒たちとのコミュニケーションも上手く取れるようになり、授業について質問されることも増えていきました。すると、私が「分かっているもの」としていたことが、生徒たちは分からなくて困っていたりすることが判明。知識を一から積み上げることの大切さ、コミュニケーションを取ることの大切さを痛感しました。

3年目を迎えた今では、生徒が難しいと感じる部分を予測することが多少はできるようになってきたと思います。とはいえ、まだまだ察することができないことも多いので、できるだけ生徒が発言しやすい雰囲気の授業になるよう心掛けています。

 

 

Q3  生徒と接する上で、心掛けていることは?

生徒の行動を待つことです。

例えば、本校では行事は生徒たちが主体になって進めていきます。もちろん、準備状況などは適宜、担当の教師に報告することになっているのですが、報告が遅れることもあります。「報告が来ない…」「そろそろ、あの準備を始めないと間に合わないはず…」など、気付いたことがあっても、ぎりぎりまで生徒の行動を待つことにしています。指摘されて気付くのではなく、生徒たちに自ら気付いて行動できるようになってほしいのです。教師の仕事は.生徒たちが「やりたいこと」を自分たちの力で「できること」にしていく手助けだと思っています。

Q4  これから、どんな教師になっていきたいですか?

「学問の面白さを伝えられる教師」が私の目指す教師像です。学問の本質は、気付くこと、発見することの楽しさにあると思っています。私自身、高校生のとき先生の一言から自分では気付かなかったことに気づかされ、学問の面白さに触れました。そのときは分からなくても、後になって「こういうことだったのか」と気付いたこともあります。今度は私が、生徒たちに発見することの楽しさを伝えたい。生徒たちの将来に渡る「気付きの種」を蒔く教師になりたいと考えています。

そのためには、私自身が発見する楽しさを忘れずに、学び続けていかなくてはいけません。日々の生活に追われている部分はありますが、教材以外の資料にも目を通すなどして知識を増やし、新しい発見を楽しむようにしています。

 

 

Q5  教師を目指す読者へのメッセージをお願いします。

教師として「やりたいこと」、個人として「熱中できること」を大切にしてください。

教職経験が浅いうちは、できないことばかりですが、周りの先生方がさまざまに支援をしてくださいます。だからこそ、「やりたいこと」をはっきり持っていた方が、周囲も協力や手助けがしやすいと思います。

また、仕事が大変なときでも、プライベートで「熱中できること」があれば、気分転換をすることができます。仕事以外の時間を大切にすることは視野を広げることになりますし、仕事上のゆとりにもつながります。そしてもう一つ、今持っている「学校や教育に対する疑問や違和感」、「生徒として先生をどう見ていたか」という感覚を大切にしてください。教師になり、学校現場に入ってしまうと忘れてしまいがちな感覚ですが、仕事の改善や生徒との関係を考えるとき助けになると感じています。

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