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学級経営キホンのキ 班をつくる=「一人一人が活躍できる場所をつくる」の巻

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班をつくる=「一人一人が活躍できる場所をつくる」の巻

河原田 友之(東京教育研究所主任研究員)
千葉県で37年間教員を勤め、現職。

 

新人のK先生の失敗

教師になって2年目の新人K先生は、38人学級の4年3組で初めての担任をもちました。学級がスタートして1週間後、子供たちが話し合って班分けをしました。給食当番の班は番号順に男子4人、女子4人に決まりました。清掃場所は教室と音楽室、トイレ1ヵ所、昇降口の計4ヵ所。給食当番8人を除く30人の子供たちが7人ないし8人ずつの班に分かれました。さすが「食べること」は、大きな混乱もなくできます。しかし清掃は、3年生までやってきたのだから、うまくできるだろうと思いきや、1週間たっても箒をふりまわし遊ぶ子や清掃用具をうまく使えない子がいて、時間内に終わらない、どこもきれいにならないそんな状態です。
K先生は、じっと我慢の1週間を過ごしました。K先生は、子供たちが自分たちで好きなように「班」をつくれば、支え合える集団ができると考えていたのです。しかし、ベテランの先生から「K先生、困りましたね。指導してください」と言われて、ようやく気が付きました。新しいクラスは、子供たちのつながりができていない。一人でも黙々とやる子供もいない。場所によってどれだけの人数が必要かなど、各班での計画性がないので、決してきれいな清掃にならないことに。

 

 

班の役割

実はこんな状況は、経験のない若い先生がよく陥りがちな典型例です。私も似たような経験を経て、「班」には、K先生の考えとはもう少し違った意味合いをもたせたいと考えるようになりました。子供たちの気持ちを尊重しながらも、学級の質を高める主体的な役割をもたせたいのです。それは、次のようなものです。

 

1 学習の主体となる「班」へ
学級には理解の早い子や遅い子、作業するのに時間のかかる子など、さまざまな個性をもった子供がいます。教師がすべての子供に同じように時間をかけて教えることはできません。また、教師の言葉よりも仲間の言葉の方が理解できるということはあるものです。どの子供も活躍できることを目指すのが、「班」です(この考えは、インクルーシブ教育にも通じるものです)。
社会科や総合的な学習で「調べ学習」をするとき、班は有効な手段になります。また、国語を中心とした「話し合い」活動の中では、大勢の前では発言できなくても小さな集団なら話せるという子供もいます。新学習指導要領でも「主体的・対話的で深い学び」とある通り、まさに、班の小集団活動は学びの中心になるものです。つまり、班は子供の主体の場をつくるためのものなのです。

 

2 リーダーを育てる
学級を機能させるときに、リーダーを育てることが重要です。掃除をするに当たっては、どういう手順でやると効率的できれいになるかが問われます。そんなときに、皆の違う意見をまとめられる子供が必要です。また、校外学習などで意見や行動をまとめ上げる力もリーダーに求められます。班をつくることで、主体的で活躍するリーダーを育てることができ、同時に、困った友達がいたら助けるなど、子供たちの温かいつながりが生まれるのです。

 

3 討議づくりの「班」として
学級生活を楽しくするには、自由にものがいえるということが何よりも大事です。それは勝手に発言することとは違います。それぞれが大事な場面で発言し、討議の結果決まったことには皆で取り組むことができる。こうして学級は成長していきます。

 

 

K先生の再チャレンジ

さて、K先生は、ベテランの先生にも相談して、班活動にまとまりがないことを指摘し、改めて「班」づくりをするよう、子供たちに指示しました。まず核になるリーダーを選びました。次に、リーダーが「こんな班をつくります」と所信表明をし、これに班員を呼び込んでいくという方法を取りました。掃除では「学校で一番になろう」と目標を持ったAさんは、いつもは控えめだけど粘り強く取り組める友だちを自分の班に入れました。B君は勉強が得意だから、学習の度に丁寧に教えられると、勉強が苦手な友だちを班に入れました。そう、K K先生は、子供たちに自分や友だちの個性を意識させ、主体的に班づくりをさせたのです。

 

 

班づくりに決まった
マニュアルはない

でも、こうしてつくった班がうまく機能したからといって、今後1年間ずっと同じでよいかというと、そんなことはありません。学期ごとかというとこれも決まっていません。折に触れ、問題が起きたときにみんなでどうするか話し合いをしながら、その都度つくるのです。K先生の場合、その後1ヵ月で変えることもあれば、学期を越えて続くこともありました。担任と子供の信頼関係によるものです。班がうまくいった学級は、リーダーの成長はもちろん、どの子も輝いて5年生になり、学校を支えていくようになりました。
班をつくることは、決して教師が楽をすることではありません。学ぶ主体である子供たちの成長のために必要だということを、教師を目指す皆さんは覚えておいてください。

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