最新号の内容 | 教壇の必殺技講座

教壇の必殺技講座・第3回・社会のカリスマ 白井 亨先生

栄光ゼミナールの現役カリスマ講師が、教壇に立った時のテクニックをこっそり伝授。
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教壇の必殺技講座

第3回 社会のカリスマ 白井 亨先生

その時代を生きる人の気持ちになって考える

「古墳」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべるでしょうか。例えば、「昔の天皇がつくった大きなお墓」「鍵穴みたいな形」「木や草が生えて丘みたいになっている」といったイメージが浮かぶかもしれません。実はこうしたイメージは、現代に生きる私たちならではのもの。古墳が建てられた当時の人々は、もっと違う目線で眺めていたはずだと、白井先生は語ります。
「古墳は、今でこそ草や木に覆われて緑色をしていますが、実際は大きな石を敷き詰めてつくられています。できた当時はビルのようにグレーに近い色だったんです。野山にそんなものができたら、ものすごく目立ちますよね。だから、古墳は墓であるとともに、皇族や豪族の“権力の象徴”でもあったんです。」
学校で習う歴史は、何千年、何百年も前の出来事。そのため自分とはまるで関係のない話だと思いがちですが、「当時の人々の目線で考えてみる」ことが、歴史を楽しむコツなのだそうです。
「大人が歴史について話すときって“ 上から目線”になりがちなんです。織田信長とか豊臣秀吉、徳川家康といった有名な武将、つまり“ 権力者の歴史” になってしまう。でも、小学校で習う歴史は、そのとき農民はどんな暮らしをしていたのかとか、町人はどんな服装をしていたのかなど、“ 民衆目線” で考えなければならないこともたくさんあります。だから私は、『もしこの時代に、あなたたちが生きていたらどう思うか想像してごらん』という話を、子供たちによくするんです。」
歴史を俯瞰するのではなく、自分の体や心を基準にして追体験してみる。すると、一見バラバラに思える出来事がすべて合理的につながるし、納得しやすいのだと白井先生は話します。
「歴史で一番大事なのは、興味や好奇心を持つこと。自分たちにも関係あることだと思えれば、どんどん面白くなってくるし、自然とできるようになりますよ。」

板書は最小限。子供たちは先生の話から大切だと思うことを適宜ノートに書き込む。

 

「なぜそれが起きたのか」という疑問を持つ

社会科が嫌いだったり、苦手だったりする子供の多くに共通するのが「暗記が苦手」だということ。
確かに、高学年になるほど、年号や人物名、地図記号、法律や国の制度など、覚えなければならないことが増えていきます。同時に、歴史であれば、各時代の人物や出来事の関係性も複雑になっていくため、混乱してしまうのも無理はありません。
無数にある出来事や事実関係を教えるとき、どうすれば子供たちに「面白い」と思ってもらえるのでしょうか?
「例えば、年号なら『鳴くよ(794)ウグイス平安京』など、歴史上の出来事を語呂合わせで教えることも多いと思うのですが、私はあまりやらないようにしています。覚えることの作業感が増して、楽しめなくなってしまうからです。私がいつも意識しているのは、一つの出来事に対して『それがどういうものか』だけでなく、『なぜ起こったのか』という原因、そして『その後にどんな影響を与えたのか』という結果までを、一連の流れとしてつなげて説明することです。歴史というのは、子供たちが好きな漫画と同じように『人が織りなしてきたストーリーなんだ』ということを、感じてもらいたいと思っています。」
社会科は、暗記科目ではなく、考える学問だという白井先生。見学した授業では、「藤原氏は、どうして摂関政治をしたの?」「その結果どうなった?」など、積極的に質問を投げ掛ける姿が印象的でした。
「イメージが膨らめば、もっと知りたいという好奇心が生まれてきます。『平安時代に藤原氏が栄えた』という事実に対して、そうなんだと納得するのではなく、『なぜ藤原氏は栄えたのか』という“ なぜ? ” が、子供たちから自然と出てくるようにしたいですね。」

 

授業で大切なのは、歴史の「幹」を育てること

白井先生の授業で、もう一つ特徴的だったのが「板書が少ない」こと。「黒板の文字を写す」ことが授業の目的にならないように、意図的に少なくしているのだそうです。
「子供たちには、「話の中で気になったことを自由にメモするように」と話しています。覚えるポイントを授業で一つ一つ書き出しても、子供はすぐに忘れてしまうし、忘れて当たり前なんです。歴史というのは、幹となる大きな流れがあって、枝葉の部分に人物名や年号などの知識があるものだと思います。授業で意識しているのは、この幹となる大きな歴史の流れをつかんでもらうことで、それができれば枝葉は勝手に育つんですね。覚える作業は、自宅で復習するくらいで十分です。」
社会科の魅力は、「知的好奇心を満たしてくれること」だと話す白井先生。歴史の学びを通じて、「なるほど!」「そうなんだ!」という新しい感動や発見に、子供たちがたくさん出会ってくれたらうれしいと、語ってくれました。

 

今月のまとめ

白井先生は、「社会科の良いところは、自分の生活の中で楽しめること」だと言います。確かに、歴史上の遺跡を訪れたり、各地の名産品を食べたりと、知識だけではなく“実物”に触れられるのは、社会科ならではの面白さ。「だから実をいうと、大人になるほど楽しめる学問でもあるんですよ」というお話に、深く納得しました。

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