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6つの肝(キモ)で分かる新学習指導要領

では、いよいよ新学習指導要領を見ていきます。膨大な内容ですが、「ココだけ押さえれば分かる!」という6つのキモを埼玉学園大学准教授の布村育子先生が解説します。

著・布村育子(埼玉学園大学准教授)

 

キモ①
「構成・基本的な考え方」を理解する

まずは「答申」から見る!

今夏の教員採用試験では、2017(平成29)年3月、に告示された新学習指導要領(以下、「新指導要領」)の内容そのものを出題した自治体と、2016(平成28)年12月に新指導要領改訂の方針を示した中央教育審議会の答申(以下、「答申」)の内容を出題した自治体とがありました。「『答申』は古いから、もう見る必要はないのでは?」と考えた受験生はいませんか? いたとしたら、もったいない。
「答申」は新指導要領の基本的な性格を知ることができる一級の資料です。来夏の採用試験では、改訂された指導要領からの出題が当然高くなるはずですが、この一級の資料を見ることで、新指導要領の基本的な性格を確認することができるのです。
そこで、このキモ①では、「新学習指導要領の構成・基本的な考え方」を、答申に出てくる下の図1をもとにつかんでいくことにします。

 

新指導要領のキーワードを読み解く

図1には、新指導要領のキーワードがうまく表現されています。最初に、中心の「社会に開かれた教育課程」(→キモ②)という言葉に注目してください。指導要領は、各学校で編成する教育課程の基準ですが、新指導要領では、改めて教育課程が「社会に開かれた教育課程」であるとわざわざ強調しているのです。この言葉は、社会の中の学校が社会と連携・協働しながら編成して行く教育課程、というようにイメージしておいてください。
次に上部の「何ができるようになるか」(→キモ③)、左下の「何を学ぶか」(→キモ④)、右下の「どのように学ぶか」(→キモ⑤)という順序で理解を深めてください。「新しい時代に必要となる資質・能力の育成と、学習評価の充実」(上部)には、新指導要領が育成を目指す3つの資質・能力を示しています。これはキモ③で説明しますが、語句だけ確認しておくならば、「知識・技能」、「思考力・判断力・表現力等」、「学びに向かう力・人間性等」の3つです。
左下を見ると、「新しい時代に必要となる資質・能力を踏まえた教科・科目等の新設や目標・内容の見直し」とあります。この部分では、新しい時代の社会に特に必要となる教育内容を「何を学ぶか」という観点からまとめられています(→キモ④)。
右下の「主体的・対話的で深い学びの視点からの学習過程の改善」とは、上部の「資質・能力」を身に付けるために、どのように学ぶか、という視点が示されています(→キモ⑤)。アクティブ・ラーニングという言葉もありますが、新指導要領ではこの言葉は用いられず、「主体的・対話的で深い学び」という言葉で説明されています。
最後にもう一度中心部に戻り、「各学校における『カリキュラム・マネジメント』の実現」という言葉に注目しましょう(→キモ⑥)。社会に開かれた教育課程を編成し、実行し、改善していくために何が必要なのかという点が強調されていると捉えてください。
実は、今説明してきた順序とは、新指導要領「総則」に示されている順序でもあります。下の表は左側に新指導要領(小・中)の「前文」と「総則」の目次を記入し、右側に図1のキーワードを対応させたものです。つまり、図1のキーワードとは新指導要領の前文と総則の内容をまとめて一つの言葉に置き換えたもの、ということになります。

 

キモ②
「社会に開かれた教育課程」を理解する

「教育課程」の定義を暗記

そもそも教育課程とは何でしょうか。ここでは、P.14の図1の中核にあった「社会に開かれた教育課程」を理解するために、まずは教育課程そのものの定義を確認することにします。本年6月に発表された小学校学習指導要領解説「総則編」には、以下のように説明されています。

「学校において編成する教育課程については、学校教育の目的や目標を達成するために、教育の内容を児童の心身の発達に応じ、授業時数との関連において総合的に組織した各学校の教育計画であると言うことができ、その際、学校の教育目標の設定、指導内容の組織及び授業時数の配当が教育課程の編成の基本的な要素になってくる。」

この定義は、新指導要領で規定された新しい定義ではありません。これまでの教員採用試験でも繰り返し出題されてきた普遍的な教育課程の定義として暗記してしまいましょう。この定義で特に重要なのは、教育課程は学校が編成する教育計画である(編成主体は学校である)という点です。もちろん、学校が勝手気ままに計画を立ててよいということではなく、教育基本法、学校教育法、そして学習指導要領の内容を踏まえて教育課程を編成するという意味です。

「社会に開かれた」の意味

「教育課程」について理解したら、次は「社会に開かれた教育課程」について見ていきます。新指導要領において、この説明は、「総則」の前に付された「前文」に出てきます。

前段から説明します。「社会に開かれた教育課程」の「社会」とは「持続可能な社会」であり、今後よりよい社会を創るという理念を学校は現在の社会と共有し、その実現のために連携及び協働していきましょう、と言っています。
後段では、次世代を生きる子供たちに必要な資質・能力は何か、その育成に必要な学習内容は何か、それをどんなふうに学べばよいのかという具体的な教育課程を学校は編成し、それを社会と一緒になって実現していきましょう、と言っています。

 

「教育課程」+「鳥瞰的な視点」=「社会に開かれた教育課程」

これまでの学校では、ごくごく簡単に言えば、学校の中で、学校の先生方が、目の前の子供たちをいかに育てるかということに力を注ぐ教育課程が編成されてきました。
しかし、新指導要領では、当面の教育課題に応えることを目指す近視眼的な教育課程を否定し、学校が烏瞰的な視点から現在の教育課程を見直し、未来の社会の行く末を見据えながら編成していくことを求めているのです。
こうした考え方がよく表れているのが、図2の「次世代の学校・地域」創生プラン(平成28年1月)の説明図(一部省略)です。指導要領改訂の1年も前に、「社会に開かれた教育課程」は構想されていたことが分かりますね。このプランでは「社会」を「地域」と置き換えて、さまざまな連携・協働の在り方が示されています。「社会に開かれた教育課程」を理解するために、地域の中の学校という身近な視点から理解していくのもよいでしょう。

キモ③以降については

本誌『教員養成セミナー2017年11月号』をご覧ください!

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