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学習指導要領の基本を押さえる

大きく変わる学習指導要領。でも、そもそも学習指導要領は、どんな目的で、何を根拠に定められ、どんな役割を果たしているのでしょうか。まずは基本情報を押さえましょう。

基本情報1
学習指導要領の役割

一般的な小・中学校を卒業した人同士なら、出身地が遠く離れていたとしても、お互いに「小学校2年生で整数のかけ算をやった」「5年生で小数のかけ算を習った」「6年生で分数のかけ算が出た」など、学校で習ったことは共通しているはずです。
これは、学習指導要領が、各学校の学年段階で、何を教えるかという教育課程(カリキュラム)を編成する際の基準を定めているからです。教師は必ず学習指導要領に従って子供たちを指導し、教科書会社も学習指導要領を踏まえて教科書を作っています。学習指導要領は、全国的に一定の教育水準を保ち、学校教育の根幹を支えるものなのです。

基本情報2
学習指導要領の法的根拠 は?

日本の法制度は、憲法を最高規定に、法律→政令→府令・省令(規則)→条例という形で、ピラミッド状に構成されています。学習指導要領は、これらの法令を補充するものとして、文部科学大臣が「告示」として示したものです。告示とは、原則的に法規としての性格がなく、公の機関が定めたことを国民一般に広く知らせることを指します。
しかし、学習指導要領は、学校教育の根幹をなす重要なものであるため、例外的に法的な拘束力をもっています。したがって、全国の教員は学習指導要領に基づいて授業を行う義務があります。

基本情報3
どんな種類があるの?

現在冊子として出されている学習指導要領(平成20・21年版)は、「幼稚園」(「教育要領」と呼ぶ)、「小学校」「中学校」「高等学校」「特別支援学校」の5冊(特別支援学校は幼稚部と小・中学部、高等学部の3種類を1冊に合本している)。それぞれ文部科学省のWebサイトから閲覧が可能で、書籍として市販もされています。また、学習指導要領には本編のほか、教師用に指導内容などを細かく説明した「解説」もあります。

※写真はいずれも現行の学習指導要領。

 

基本情報4
学習指導要領の構成 は?

学習指導要領は、どの校種のものもいくつかの「章」で構成されています。基本的には「総則」→「各教科」→「それ以外」という章立てです。皆さんも授業を受けた「道徳」「特活」「総合」などの時間は、「各教科」ではなく、別立てになっています。これは、道徳や特活が、教育活動全般に関わってくるためです。
また、新学習指導要領で特筆すべき点として、総則の前に、学習指導要領の役割などを記載した「前文」が新たに追加されたことが挙げられます。学習指導要領のうち、教員採用試験でもっともよく問われるのは教育課程全般に関わる重要事項が記載されている「総則」ですが、2018年夏以降は「前文」にも要注意です。

基本情報5
改訂の手順は?

学習指導要領を告示するのは文部科学大臣です(4ページ)。しかし、改訂は大臣1人で行うのではありません。
まず、文部科学大臣が、中央教育審議会(中教審)という有識者の会議に、時代に合わせてどのような学習指導要領が必要となっているのか、意見を尋ねます(「諮問」という)。大臣の諮問を受け、中教審は何度も審議を重ねて、「答申」(上司の諮問に対して、意見を申し述べるという意味)という形で報告書を公表します。これを踏まえ、文部科学省が改訂案をまとめて、最終的に大臣が「告示」します。
これまで、学習指導要領は約10年に1回のサイクルで改訂されてきました(P.8参照)。これは、社会の変化とともに、子供たちが必要とする資質・能力も変わり、教育内容を新しくしていく必要があるからです。

Check 「中央教育審議会」とは?

文部科学大臣の諮問に応じて教育、学術または文化に関する基本的な重要施策について調査審議し、及びこれらの事項に関して文部科学大臣に建議する機関。教育や学術、文化の学識経験者による委員(30人以内、任期2年)から成る。①教育制度、②生涯学習、③初等中等教育、④大学の4つの分科会が設置されている。

基本情報6
新学習指導要領のスケジュールは?

教員採用試験では、学習指導要領そのものだけではなく、その改訂を提言した中教審「答申」の内容も問われることがあります。また、面接や論作文対策として、今後どのような日程で新しい教育課程が実施されていくのかということも頭に入れておく必要があります。
今回の改訂にあたり、文部科学大臣が中教審に諮問したのは2014年11月のことでした。これを受けて中教審は、約2年間にわたって審議を重ね、2016年12月に答申(「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領等の改善及び必要な方策等について」)を発表しました。これを受け、2017年3月に告示されたのが小学校と中学校の新学習指導要領です(高等学校は2018年3月告示予定)。
小・中学校の新学習指導要領は、1年かけて周知・徹底が行われた後、平成30(2018)年度から移行期間に入り、先行実施が可能になります。その後、小学校は東京オリンピック・パラリンピックが開催される平成32(2020)年度から、中学校は平成33(2021)年度から全面実施となります。高等学校の新学習指導要領は平成34(2022)年度の新入生から順次、学年進行により実施されます。

Check 教科書の採択の手順

学習指導要領が改訂されると、当然、改訂された内容に沿った教科書に切り替えられることになる。新学習指導要領に準拠した教科書は、まず民間の教科書会社で著作・編集される。その後、文部科学省に置かれた専門家による審議会が適切かどうかを審査する。次に、審査に合格したものの中から、教育委員会や国立・私立学校の校長が使用する教科書を選ぶ。その翌年度から、実際に学校現場で使用されることになる。こうしたスケジュールに基づき、学習指導要領の改訂スケジュールは組まれている。
なお、新学習指導要領で教科化される小学校の外国語(英語)、2015年3月の一部改訂で教科化された「特別の教科 道徳」についても、検定教科書が使用される。教科ではない「領域」扱いの小学校の外国語活動や総合的な学習の時間、特別活動には、検定教科書は存在しない。

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