学級経営基本のキ

学級経営キホンのキ 「学級目標」=「小さな目標達成が大輪の花に」の巻

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「学級目標」=「小さな目標達成が大輪の花に」の巻

河原田 友之(東京教育研究所主任研究員)
千葉県で37年間教員を勤め、現職。

 

なぜ「目標」が必要なのか?

 前号では、近い将来教師になる皆さんに「学級開き」が学級づくりの基本であることをお伝えしました。学級開きを終えたら、さあ、いよいよ本格的に学級がスタートします。これからの1年間には、日々の学習のほか、入学式、授業参観、保護者会、給食、清掃活動、校外学習、運動会、個人面談、学芸発表会、卒業式、学校・学年によっては陸上大会、水泳大会、球技大会など、たくさんの活動や行事があります。教師になったばかりのあなたと子供たちにとっては、毎日が「学び」そのものでしょう。これらの活動や行事を経験した後は、「やってよかった」「学習して面白かった」「分かった」などの声が聞こえるようにしたいものです。そのために必要なのが「目標」です。
でも、先生の毎日は本当に忙しい。忙しさは思考する時間を奪います。すると、ただ単に物事をこなすという学校生活になりがちです。そんなとき、「目標なんて、立てても立てなくても、1年は同じように過ぎていくのでは?」という考えが、一瞬頭をよぎることもあるのです。
しかし、目標を持たない組織などあるでしょうか。決してないはずです。教師と子供がともに伸びていくためにも、目標が必要なのです。ここで言う目標には大きく分けて3種類あります。夢のようにも思える「大きな目標」と、届くか届かないか微妙な「中くらいの目標」、そして、目の前にある「到達可能な目標」です。目標を持つと、自分の立ち位置がはっきりします。

 

 

「学校教育目標」と
「学年目標」「学級目標」の違い

 さて、学校の話に戻ります。どの学校にも「学校教育目標」があります。これは、地域や保護者や子供の実態から、校長先生が経営方針をもとに決めた「大きな目標」です。例えば、「明るい子、かしこい子、たくましい子」などとめざす子供像が表現されています。現在は、学習指導要領の改訂の真っ只中です。これに合わせて子供たちを「こう育てていきたい」と願うときなどに、この学校教育目標は大事なものとなります。
しかし、私の経験から言えば、学校教育目標は、4月の最初の職員会議で校長先生から出されるため、慌ただしいなかで、現場の先生たちの頭にはなかなかスッキリ入らないというのが実情です。
それでも、学校教育目標を受けて、各学年では「学年目標」を作ることになります。これも、どの学年にもあります。私が目にしたものには、こんな学年目標がありました。「4つの気〜勇気・元気・根気・やる気」や「和」。また、小学校の低学年では「仲良く・明るく・元気に」などが多く見られました。これらは、先に述べた「中くらいの目標」に当たります。皆さんも、数年前を振り返って思い出したでしょうか。

 

 

「学級目標」の立て方

 さて、一番大事なのが、「学年目標」を受けて、担任であるあなたが作る「学級目標」です。この学級目標は、より具体的で、「到達可能な目標」でなければなりません。大きな目標である「学校教育目標」も、中くらいの目標である「学年目標」もお題目であってはならず、これを実現していくのが「学級目標」に求められる役割です。しかも、学級目標は、単純すぎても難しすぎても困ります。あなたの子供への願いでもあるのですから。
そこで、次の点に気を付けて学級目標を作ります。

1 全学校教育目標を具現化できる内容で作る。
かつて、「荒れる学校」が多かった時代には、「自分の気持ちを表せる子」などの目標がありました。

2 前学年までの学習の分析から作る。
子供たちに対する前学年での評価で、「授業中ほとんど発言しない」ということが問題にあがっていたとすれば、「1日1回は発言しよう」とか、「1時間に1回は手を上げよう」という目標を立てる教師もいます。

3 生活状況を分析して作る。
忘れ物が多いという子供たちの姿から「連絡帳をきちんと書くこと」とすることや挨拶を通して豊かな人間関係を作るために「挨拶がきちんとできる子」などとすることがあります。

4 保護者の願いから作る。
子供たちの学習を心配する保護者が多い学校では、「漢字テストで90点をとろう」という学級目標もありました。「家庭学習を学年×20分」などもよく見ます。

 このように、今年1年間で「子供たちに身に付けさせたい力」をはっきりさせ、学級目標を定めるのです。周りから見たら単純に見える目標でも、子供や保護者がその目標にした理由を聞いて、納得し安心するような目標であるべきです。また、「清く、正しく、美しく」など、分かりやすいネーミングを付けることが大事です。

目標を達成すれば、
教師も子供も笑顔になれる

 年度が終了する前の2月ごろになると、保護者や教師、子供、そして地域の人たちによる学校評価が行われます。「社会に開かれた学校」として当然のことですが、学校を見つめる地域や保護者の鋭い眼は、学校をよりよくする上でとても大切です。このとき、どんな学級目標を立て、活動してきたのかということは、地域や保護者にとって、教師が子供をどう育ててきたかを計る大事なバロメーターになります。
また、1年間のあなたの学級に対する取り組みに対する答えは、子供たちの口からも自然と出てきます。終業式を迎えたときに、子供たちに「また次の学年でも先生がいいな」と言われて気持ちよく終わるのか。逆に、陰で「来年は担任が変わるといいな」とささやくのが聞こえて暗い気分で終わるのか。1つの小さな目標でも、やり遂げるには大きなエネルギーが必要で、大変な苦労もともないます。しかし、目標を達成した後には、子供たちに明るさと笑顔が生まれているはずです。さあ、あなただけの素敵な学級目標を立てましょう。1年後、「あ〜、この先生とこの学級でよかった」と終わるために。

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