教壇の必殺技講座

教壇の必殺技講座・第2回・算数のカリスマ 奥田 章人先生

栄光ゼミナールの現役カリスマ講師が、教壇に立った時のテクニックをこっそり伝授。
授業の捉え方から、細かな伝え方のテクニックまで、実際の授業におじゃまして、教えてもらいました。

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栄光ゼミナールのカリスマ講師が教える
教壇の必殺技講座

第2回 算数のカリスマ 奥田 章人先生

日常の話題から、算数の面白さに気付かせる

「それじゃあ授業を始めようか。今日は6月28日ですね。今年ももうすぐ半分が終わるけれど、“1年の真ん中の日” って何月何日か、皆知ってる?」
いきなり意表を突く質問。しかしこれも「子供が算数を好きになる」ための、奥田先生の作戦なのです。
「私は、中学入試の算数を担当していますが、理系の科目は、4・5年生くらいから得意・不得意の差がはっきりと出始めます。そうなる前に、いかに『面白い!』と思ってもらえるかどうかがポイント。だから身近なものを算数の問題に取り入れて、子供が飽きないようにしているんです。」
一見簡単そうに思えて、実は奥が深いこの問題。
「平年の1年は365日だから、半分に割り切れないよね?」「182余り1になります」「そう、つまり“183日目” がちょうど半分の日ってことになる」」「1月は31日あるから、182-31で、残り151日になって……」

子供たちは、割り算や日数計算など、これまでに習った知識を活用して、答えに迫っていきます。
「実は、公式をたくさん覚えるよりも、知識を筋道立てて考える力を身に付けることのほうが大事なんです。難関中学校の入試問題に見られる、一見習ったことがないような問題でも、『割合』や『速さ』の単元で学んだことを組み合わせて考えれば解けるようになっていたりする。私たちは“現場力”と呼んでいますが、問題に直面したときに見方や発想を転換して、解決の糸口を見つけられるかどうかが、算数の得意・不得意の分かれ目になるような気がしますね。」
5分後。6月まで計算しおえた子供からは「あと2日余る!」の声。「ということは?」「7月2日が1年の真ん中だ!」
答えに辿り着くや、パッと明るくなる顔。子供たちが、また一つ算数の面白さに気付いた瞬間でした。

大きな身振り手振りで子供たちの注意を引く奥田先生。

 

「算数が苦手」という先入観を作らせない

「算数が苦手」と言う子に、どうやって算数を克服させるかは、教師にとって大きな課題です。
「算数が他の教科と違うのは、積み上げ教科という点です。例えば、『図形の性質』の単元で習った内容は、その後の『面積』や『体積』の単元にも関わってくる。だから一度つまずくと、その後の問題も連鎖的にできなくなってしまう子が多いんです。それで『自分は算数ができないんだ』と、意識に刷り込まれて、嫌いになってしまう子が多いように感じます。」
本当ならやればできるのに、自分で作り上げた先入観によって、最初から挑戦することを拒否してしまう。
このような“ 算数の食わず嫌い” を防ぐために、奥田先生は、難しい単元を教えるときほど、あえて「大したことない」と最初に言うそうです。
「実際、『できない』と言っている子も、基礎が身に付けばスラスラ問題を解いたりしますから、必要以上に身構えさせる必要なんてないんです。逆に、計算問題など、単純なミスが出やすいところでは『ミス1回ごとにお弁当のおかずを1品食べちゃうよ?』とか言って、気を引き締めるようにしています。」
また、教える側の目線を、子供に合わせることもコツの一つなのだとか。
例えば、この日行われた「水量変化とグラフ」の授業では、「ml」や「㎤」といった単位の変換が重要なポイントになります。
「1l の1000分の1が、1mlになります。じゃあ1mlは、何㎤?」「えーっと、1㎤?」「そう、1mlと1㎤は同じ量だね。だから、皆がいつも給食で飲んでいる牛乳は……?」「200㎤だ!」「当たり。でも、『立方センチメートル』って言うと何だか美味しそうに聞こえないねぇ」。
「本当だ!」と嬉しそうに笑う子供たち。大切なのは、子供が共感できるポイントを増やすことだと、奥
田先生は語ります。
「『容器に200mlの水が入っていて……』と、ただ問題文を読んでも実感がわきません。だから牛乳やジュースなど、子供が好きなものに置き換えてみる。それが抽象的な問題を、具体的にイメージして考える力につながっていくのだと思います。」

 

 

日頃の反復練習が、冴えたひらめきを生む

算数ができるかできないかは、結局センスの違いが大きいのではないか。
苦手な人ほど、このように考えてしまいがちですが、奥田先生は、必ずしもそうではないと言います。
「持って生まれたセンスの有無は確かにあります。ただ、実力の90%以上は多くの問題に触れたことがあるという経験値に左右されます。解法をひらめきやすい子ほど、必ずどこかで同じような問題に触れている。地道な反復練習が重要なんです。」
学習効果を高めるため、奥田先生は子供に「算数の日」を作るように指導しているのだとか。新しい単元を学んだら、翌日の自主学習は、算数だけに集中的に取り組んでもらう。「できる!」「わかる!」という気持ちを途切れさせないことが大切なのだそうです。
「1回できれば、子供は難しい問題にも、好奇心をもって踏み込んでいけるようになる。そのきっかけを多く作ってあげることが、私の役割なのだと思います。」

今月のまとめ

子供と接するときは、「ほめ方」にも注意しているという奥田先生。「同じ80点をとった子でも、これまでのテストの平均点が50点の子と90点の子では、意味合いがまるで違います。平均点50点の子の80点は手放しでほめる。90点の子の場合は、ほめるのではなくミスの原因を一緒に考えるようにしています」。こうした細やかさが、子供たちの学習のモチベーションを上げる秘訣だと感じました。

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