教壇の必殺技講座

教壇の必殺技講座・第1回・現代文のカリスマ 永田 麗先生

栄光ゼミナールの現役カリスマ講師が、教壇に立った時のテクニックをこっそり伝授。
授業の捉え方から、細かな伝え方のテクニックまで、実際の授業におじゃまして、教えてもらいました。

面接・模擬授業でも役立つ!
栄光ゼミナールのカリスマ講師が教える
教壇の必殺技講座

第1回 現代文のカリスマ 永田 麗先生

「方法論」で、文章の構造を“見える化”する

文字でぎっしりと埋め尽くされたB4サイズのプリント。計3枚にわたる「ものとことばの関係性」についての評論文です。一目見ただけで「これは読むのに相当時間がかかりそうだ……」と、思わずたじろぐほどです。
プリントの正体は、高校3年生を対象に行われた現代文の中間診断テスト。生徒は事前に問題を解いてきており、この日は永田先生による問題の解説が行われました。
「行数は90、段落数は29。最初に書いといてね。」
意外にも、永田先生が最初に指示したのは、行の頭に番号を振ること。これが文章の全体像を“見える化” するための下準備になります。
「現代文が苦手な子は、文章の構造を理解できていない場合が多い。だからまずは文章を正しく読み解くための『方法論』を知る必要があります。」
永田先生は、数学と同じように、現代文にもある程度の「解法」が存在すると言います。
まず意識しなければならないのが、文章の「論点」。何について書いてあるのかを冒頭文などから読み取り、それに対する筆者の考えを追っていきます。文章を頭から漫然と読むのではなく、「〜は大切だ」「〜と考える」などの文末表現から、そのセンテンスの重要度を読み取る。また、「ところが(逆接)」「つまり(換言)」などの接続表現から、文章の構造や関係性を把握するなど、その指摘は極めて具体的です。
「20行目の頭、『たとえば』ってあるけれど、これは<例示>だから、その下には具体例が並んでいると分かるよね。注目してほしいのは、その後にある『こんな風に』という言葉。具体例の直前か直後には、筆者の主張が書かれている場合が多いと前に話したけれど、これもそう。つまり『こんな風に』に続く『ものとことばの関係は〜』のセンテンスが、今回の論点になることが分かると思います。」
永田先生は、こうした読解のための方法論をまとめた「解読のポイント」というオリジナル冊子を作り、年度初めに生徒に配っているそうです。
「現代文が得意な子は、問題文を見て、答えは「あ」の選択肢だと、何となくわかります。でも「なぜ『あ』だと思ったのか」と問われると、言葉が出てこない。『解読のポイント』は、そうした無意識に行っている読解作業を言語化して、体系化したものです。もちろん、すべてに当てはまるわけではありませんが、生徒が文章の構造を理解する上での足がかりになってくれればと考えています。」

永田先生お手製の「解読のポイント」。受講生は必ず持参して授業に臨む。

 

「語彙力」と「背景知識」が
解答スピードを上げる

方法論と同じくらい永田先生が重視しているのが、「語彙力」と「背景知識」です。
「英語や古文と同じ語学なのに、現代文だけ単語を学ばなくていい理由などない」という考えから、永田先生の授業ではZ会出版刊『キーワード読解』という現代文の頻出ワードがまとめられた教材を使って、語彙力の向上に力を注いでいます。
一方、背景知識は授業中に生徒に問う場面も。
「『始めにことばありき』って、何の引用か分かる?」
「……ヒエログリフですか?」
「もっと後の時代。『ヨハネによる福音書』の第1章に出てくる言葉だよ。」
宗教のほか、政治、スポーツ、芸能にいたるまで、あらゆる話題で生徒の好奇心を刺激します。
「背景知識は、単なる雑学というわけではなく、筆者の考えや記述内容を理解する手助けになります。
例えば、ソシュールの構造主義をおおまかに理解していれば、言語学の評論文をざっくり読んだだけで『あの話か』と、すぐに要点がつかめる。当然、問題を解くスピードも、それに比例して速くなっていきます。」

 

文章の本質は、「図式化」してつかめ!

文章の構造を“見える化”する工夫は、色ペンの使い方にも。蛍光マーカーは「本文の論旨」、赤ペンは「問題の解答の根拠となる部分」、青ペンは「接続表現のチェック」など、役割を分けてテキストに解説を書き込むことで、生徒が後で見たときにすぐに要点が理解できるようにしているそうです。
「自分が受験生の頃、問題の答え合わせに終始する授業が多かったのですが、正直とても苦痛でした。授業で正解を知らされたり、問題の解説を読めば、一応なるほどとは思いますが、それは“分からされている”だけ。次に出会う問題には生きません。だから授業が終わった後に、『今日は理由問題の解法を学んだな』とか、『言語の役割と意味がわかって語彙が増えた』とか、何か一つでも生徒が新しい学びを得た状態で帰れるようにしたいんです。」
色ペンで解説を図のように書き込んでいく作業は、まるで油絵に光と影をつけていくときのよう。
授業開始から50分後。最初は一面の黒い壁のようにしか見えなかった評論文は、言葉と言葉のつながりが手に取るように分かる形に、すっかり生まれ変わっていました。

 

今月のまとめ

「現代文はセンスで決まらない。『正しい方法論』と『語彙力』と『背景知識』を学べば、必ず得点に結びつく」と言う永田先生。方法論をまとめた「解説のポイント」は、長年にわたる地道な問題研究から生まれたそうです。「わからなくて悩んでいる生徒には、何時間でも付き合います」と熱っぽく語る姿が、とても印象的でした。

教育データ対策 これ一冊でいっき解決! 3ステップ過去問分析の進め方 教員養成セミナーのご紹介 教セミLine@ 教員採用試験対策サイトへ

最新号のご案内