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演習!教育時事のローカル問題 正答を導き出す“コツ”を知ろう!

ローカル問題については、「他自治体の過去問を解いてもムダ」と考えている人も多いと思います。果たしてそうなのでしょうか。
確かに、地元の偉人・文化遺産などに関する問題は、他自治体の受験者にはほとんど関係がありません。でも、自治体の教育施策・計画に関するローカル問題は違います。他自治体の問題を解き、「どのような資料がどのように問われるのか」を知ることが、自身が受験する自治体のローカル問題を解く上で役立つのです。具体的に見ていきましょう。

 

2016年夏実施試験の出題例❶
千葉県・千葉市

問 平成27年10月に千葉県知事は、「千葉県の教育の振興に関する大綱」を定めた。次の文は、その大綱の「千葉県教育の基本方針〜千葉の子どもたちの未来のために〜」の一部を示したものである。(a)〜(c)にあてはまる語句の組合せとして、最も適当なものを選びなさい。

○  家族への愛情と感謝の心、他人を思いやる心、( a )を尊重する心など、豊かな人間性や道徳心を育みます
○ 社会の変化に対応できる確かな学力と、将来への夢や希望を持って歩んでいく姿勢を育みます
○ たくましく生きるための健康・体力と、( b )を乗り越えて生きていくための力を養います
○  郷土と我が国を愛し、日本人としての誇りを持つ心を育むとともに、広く世界に目を向け、グローバル化に対応できる力を養います
○ 子どもたちへの( c )にあふれた質の高い教員の育成を進めます
○ 学校、家庭、地域の連携を深め、地域社会全体で子どもたちを育成する体制づくりを推進します

① a 個性  b 様々な困難  c 愛情と思いやり
② a すべてのいのち  b 困難や逆境  c 愛情と熱意
③ a 個性  b 試練や逆境  c 愛情と思いやり
④ a すべてのいのち  b 様々な困難  c 愛情と熱意
⑤ a すべてのいのち  b 困難や逆境  c 愛情と思いやり

解 答 ②

解 説
「千葉県の教育の振興に関する大綱」(2015年10月)の「千葉県教育の基本方針〜千葉の子どもたちの未来のために〜」を参照。

⇨出題の背景
「千葉県の教育の振興に関する大綱」は、千葉県の教育行政を推進する上での総合計画です。2015年4月、改正地方教育行政の組織及び運営に関する法律が施行され、各自治体は首長と教育委員会からなる「総合教育会議」を設置し、「大綱」を策定することとなりました。「千葉県の教育の振興に関する大綱」は、その「大綱」です。資料が示されたのは、2015年10月。9カ月後の教員採用試験で出題される可能性が高いことは、容易に推測できました。皆さんも、受験各自治体の「大綱」は、しっかりと目を通しておきましょう。

⇨正答を導き出す上で必要な知見
aの空欄には「個性」か「すべてのいのち」のいずれか入ります。どちらも文脈的には不自然ではありませんが、この一文は「他人を思いやる心」「豊かな人間性」「道徳心」など、いじめや自殺の防止などを意識した内容です。そう考えると「すべてのいのち」が適切であると判断できます。
また、c の空欄には「愛情と思いやり」か「愛情と熱意」のいずれかが入ります。どちらの選択肢も当てはまりそうで、大綱の文言を暗記していないと正答できないように見えます。問題を解くカギの一つとして、千葉県・千葉市が「求める教師像」として、「人間性豊かで、教育愛と使命感に満ちた教員」を掲げていることが挙げられます。「教育愛=愛情」「使命感=熱意」というキーワードから読み解けば、c の空欄に「愛情と熱意」が入るのではないかと推察できます。各自治体が掲げる「求める教師像」は、論作文・面接対策においても重要なので、頭に入れておくようにしましょう。

 

2016年夏実施試験の出題例❷
東京都(高等学校)

問  東京都教育委員会で開発した学校設定教科である「人間と社会」に関する記述として適切なものは、次の1 〜 5 のうちのどれか。

1  教科「人間と社会」の教科書は、主たる教材は特に定めることなく、各学校の体験活動の内容や生徒の実態に応じて各学校で作成し、東京都教育委員会に届け出た上で使用する。
2  教科「人間と社会」は、学習指導要領にない教科であるため、その単位は卒業に必要な単位数に含めることはできない。
3  必履修教科として設置されたことから、平成28年度以降に都立高等学校に入学した全ての生徒は、教科「人間と社会」を必ず履修しなければならない。
4  教科「人間と社会」は、「演習」による学習に19単位時間、事前及び事後の学習を含めた「体験活動」による学習に16 単位時間を配当しなければならない。
5  教科「人間と社会」の評価については、文章記述による評価ではなく、数値による5段階の評定を行わなければならない。

解 答 3

解 説
1: 全18章からなる教科書が作成されており、学校教育法附則第9条に規定する図書として生徒が購入し、使用する。
2: 学校設定科目及び学校設定教科に関する科目に係る修得単位数は、合わせて20単位を超えない範囲で卒業に必要な単位数に含めることができる(高等学校学習指導要領の「第1章 総則」「第6款 単位の修得及び卒業の認定」)。「人間と社会」は、週当たり1単位時間、年間35単位時間(1単位)以上が配当されている。
4:「演習」による学習には「16単位時間」、「体験活動」による学習には「19単位時間」を配当しなければならない。
5:「数値による5段階の評定」ではなく「文章記述による評価」が行われる。

⇨ 出題の背景
東京都の高等学校において、2016年4月に全面実施となった「人間と社会」は、道徳教育とキャリア教育を一体的に行う新教科です。東京都の“目玉施策”であり、すべての高校教員に関係する施策でもあります。導入後間もない2016年夏実施試験で問われる可能性が高いことは、ある程度予見できたとも言えるでしょう。

⇨ 正答を導き出す上で必要な知見
この問題は、高等学校の「学校設定教科(科目)」制度の概要をよく理解していれば、いくつかの選択肢の誤りに気付くことができます。また、「5」の評価については、小中学校の「特別の教科 道徳」が記述式であることなどを知っていれば、趣旨的に近い「人間と社会」も同様であろうと推察することが可能です。
このように、ローカル問題の中には、全国レベルの教育制度をよく理解していれば解けるものもあります。教育法規・教育時事分野の学習は、抜かりなくやっておきましょう。

 

この続きは、

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