映画・ドラマに学ぶ教育の本質

「ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ」

2015年/イギリス/104分
監督:マイケル・グランデージ
出演:出演:コリン・ファース,ジュード・ロウ,ニコール・キッドマン,ガイ・ピアース 他
配給:ロングライド

『ベストセラー 編集者パーキンズに捧ぐ』
価格:Blu-ray ¥4,700+税、DVD ¥3,800+税
発売元・販売元:株式会社KADOKAWA

 

天才小説家とそれを支えた名編集者の物語

吉田 和夫(玉川大学教師教育リサーチセンター客員教授/教育デザイン研究所代表/元東京都公立中学校長)

 

この映画の原題は“Genius”、「天才」。本当の天才が、実は天賦の才だけで生まれるものではなく、周囲の人の支えによって出現するという、具体的かつ象徴的な現実を如実に描いた作品です。

主人公は、1920年代にアメリカ文学の名作を数多く手がけた実在の名編集者と、37歳で生涯を閉じた天才小説家の二人。その出会いと友情、そして悲しくも味わい深い人生の実相が描かれており、コリン・ファースとジュード・ロウが、二人の関係を実にうまく演じています。

アーネスト・ヘミングウェイら世界的な作家を見いだした編集者マックス・パーキンズ(コリン・ファース)の所にある日、無名の作家トマス・ウルフ(ジュード・ロウ)が訪れます。皮肉っぽい饒舌とともに、彼が持ち込んできたのはうんざりするほど長く乱暴な原稿。しかし、パーキンズは、そこからウルフの類まれな才能を見いだします。そして、この粗削りな天才の作品を出版することを決め、彼を支え、処女作『天使よ故郷を見よ』を大ベストセラーへと導きます。作家と編集者という立場から、二人の異なる人格と才能が見事に“協働”し、花開いたわけです。

その後、2作目に取り組んだ二人は、昼夜を問わず創作活動に没頭します。作品づくりを通じた新しい世界の創造。二人が最も美しく、素晴らしく輝く場面です。しかし、自分の文章が大幅に削られ、文や語句に修正が加えられる中で、ウルフは作品が自分のものではなく、パーキンズのものではないかと疑念を抱き始めます。そして、「この本をパーキンズに捧げる」と献辞を付け足し、ヨーロッパへと旅立ってしまいます。

感情の赴くまま、際限なく文章を生み出す天才ウルフを、まるで父親のように支えるパーキンズ。その裏には、調和した家庭の生活を犠牲にしつつ、仕事に没頭する毎日があります。そんな中、ウルフの愛人アリーン(ニコール・キッドマン)が、作家と編集者という関係を越えて深まる二人の絆に嫉妬し、パーキンズに敵意を抱きます。

やがて発行された第2作は、またも空前の大ヒットとなりますが、ウルフは「パーキンズ無しでは作品を書けない」という悪評に怒り、親子のように親密な二人の関係に、複雑な思いを抱きます。一方のパーキンズも、他人の気持ちに無頓着なウルフの言動に怒り、二人の関係は破綻へと向かうことになります。そんなこの二人に、果たしてどのような結末が訪れるのでしょうか。

天才が世に認められるには、それを支える人間が必要です。死後に高名となった孤独な画家フィンセント・ファン・ゴッホには、生涯支え続けた弟のテオドルス・ファン・ゴッホの存在がありました。こうした話がある一方で、支援者を得られないまま、死ぬまで世に出なかった多くの天才たちもいるのではないかと私は思います。本や原稿も同様、作家・筆者と編集者との協働作業によって、良き作品や文章は生み出されるのです。

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