場面指導

CASE 53 学芸会の主役をめぐり…

教員採用試験の面接試験で「場面指導」を実施する自治体が増えています。事例解説を通じて対応力を高めましょう。

 

 

ミニクイズ 「引っ込み思案」を英語で言うと?

中根 政美(共栄大学客員教授、元埼玉県公立小・中学校長)

 

 

設問の状況

本事例は,「学芸会の主役をわが子に」と保護者から依頼された場合への対応です。幼稚園や小学校低学年では,よくあるケースです。祖父母の参観が許可されている場合には,さらに要望が出されやすくなります。また,小学校高学年や中学校では,合唱コンクールや音楽発表会などでの伴奏者や指揮者を決める際に,悩むことがあります。学芸会や学習成果発表会などの役割(配役)決めは,担任として悩みの種でもあるのです。大切なことは,日頃の学級経営において,児童生徒一人一人に,それぞれが学級の主役であり,重要な役割を担っているのだという意識を育てていくことです。そうした学級風土があれば,それが保護者にも伝わり,主役・脇役にとらわれない理解につながっていきます。保護者の依頼に耳を傾けながらも,一人一人の児童生徒に公平に接し,それぞれの良さを生かした学級づくりに取り組んでいることを保護者に伝え,理解させることができるか,教師としての資質が問われる場面指導です。

模範的な対応例

本事例への対応のポイントは,次の3点です。①保護者の真意を把握すること,②学級会等の役割は,話し合いによって決めることを保護者に理解させること,③日頃から「一人一人が学級の主役」という考え方で学級経営を行っていくこと,です。

【問】保護者との会話の中で,「今度の学芸会の主役にわが子を」との要望がありました。どうしますか?

【答】まずは,お話をしっかりと聞きます。その上で,主役が一番ではなく,全員がそれぞれの役割を果たして上演することが学芸会の目的であると伝えます。

【問】保護者に「うちの子は,引っ込み思案で,いつも端役ばっかり」と言われました。どうしますか?

【答】学級では,どの係活動も大切であり,一人一人が学級の主役であるという意識を子供たちに育てていることを話します。その上で,学級会の配役も主役・脇役・端役と分けるのではなく,どの役も大事なものであるということを子供に伝えているので,保護者の皆さんにも理解していただきたいと話します。

【問】「家では,主役をやりたいと張り切って話している」と言われました。どうしますか?

【答】積極的に立候補するように励ましてほしいと伝えます。

【問】「話し合いの場では,積極的になれない性格なので,担任の先生の配慮をお願いします」と言われました。どうしますか?

【答】どの役も重要であること,児童生徒一人一人が主役である学級づくりに保護者としても協力していただきたいことを伝えます。また,この機会に,お子さんが積極的な行動がとれるようになるよう,支援していきたいとお話します。

【問】なぜ,このような要望が出ると考えますか。

【答】児童生徒一人一人が主役として学級内で活動をしていることを,十分に保護者に伝えきれていないからだと考えます。授業参観や学級懇談会,学校行事,学級通信などさまざまな機会を通して,保護者に伝えていくことが大切だと考えます。

求められる教育的知見

学級づくり(学級経営)は「教師と児童(生徒)との信頼関係及び児童(生徒)相互のよりよい人間関係を育てるため,日頃から学級経営の充実を図ること」(新指導要領「第1章 総則」「第4 児童(生徒)の発達の支援」)が重要です。一人一人の児童生徒が自己有用感を持ち,協力し合って学び,活動している姿を具体的に保護者に伝えることによって,保護者との連携が生まれ,児童生徒も安心して生活することができるのです。一方で,学級会等では配役が固定化しないよう配慮し,さまざまな立場を演じる体験ができるようにすることが大切です。

なお,小学校高学年や中学校では,「目立ちたくない」との気持ちから,主役や指揮者,伴奏者を引き受ける児童生徒がいない場合もあります。ここでも,教師と児童生徒の信頼関係が重要な鍵になります。日頃から児童生徒,保護者との信頼関係を築くよう努力していく姿勢を面接官に伝えましょう。

 

類似する質問例
○保護者から「うちの子が,合唱祭の伴奏者に選ばれないのはおかしい」と電話がありました。どう対応しますか?
○水泳大会の選手に選ばれず,元気のない児童にどう対応しますか?

 

【クイズの答え】shy など。

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