場面指導

CASE 51 駅前の書店から急な電話が…

教員採用試験の面接試験で「場面指導」を実施する自治体が増えています。事例解説を通じて対応力を高めましょう。

 

ミニクイズ この先生の言葉遣いには不適切な点があります。分かりますか?

 

中根 政美(共栄大学客員教授、元埼玉県公立小・中学校長)

 

設問の状況

本事例は、書店から「児童生徒が万引きをした」という連絡があった場合の対応です。万引きは、小中学生にもしばしば見られる犯罪行為で、初発型非行に分類されます。経済的困窮による行為というよりは、興味本位や仲間意識などの理由による場合が多く、常習化しているケースもあります。教師として、規範意識を確立させるなど、万引きをさせないための対応が重要になります。被害に遭ったお店への謝罪や商品の買い取り、万引きを行った理由の把握や今後に向けた約束といった丁寧な対応と指導が必要です。また、保護者との十分な連携に加え、商店や地域、警察などとの連携も重要になります。万引きを繰り返させない毅然とした指導に取り組むと同時に、児童生徒に寄り添い、反省を促し、二度と繰り返さないという強い意識を持たせることができるか、教師としての指導力が問われる場面指導です。

模範的な対応例

本事例における対応のポイントは、次の3点です。①学年主任や管理職に報告した上で、直ちに複数名で該当のお店に出向いて対応すること、②事実関係を正確に把握し、万引き行為を繰り返させない指導と見届けを行うこと、③規範意識を育む学級づくりを行うこと、です。

【問】放課後、書店から「児童が万引きをした」との電話がありました。どうしますか?

【答】書店名と状況の概略を聞き、すぐに店に伺うことを伝えます。

【問】報告等はしないのですか?

【答】学年主任や管理職に報告し、指示を受けます。万引きをした児童の氏名が分かっていませんので、まず書店に向かい、氏名を確認後、保護者に連絡をとり、書店に来てもらいます。

【問】対応において、配慮することはありますか?

【答】必ず複数の教員で書店に伺うようにします。保護者が到着したら、保護者と児童の関係を基本として、フォローします。

【問】具体的にはどうするのですか?

【答】なぜ万引きをしたのか、初めてのことなのか、他に関わっている児童はいるのか等を把握した上で、家庭での話し合いと指導をお願いします。

【問】お店や警察との連携はどうしますか?

【答】他の児童の状況も考慮した上で、連携を深めていきます。

【問】保護者が、「代金を払えばいいんでしょ。大事にしないでください」と言います。どうしますか?

【答】代金を支払えば済むことではなく、大切なのは万引きが犯罪であることを本人に理解させることだと保護者に話します。本来は警察に通報される行為であり、二度と繰り返さないと本人が決意することが重要だと伝えます。

【問】万引きなどの行為を防ぐために、どのような指導が有効だと考えますか?

【答】子供たちに、お店の立場に立って考えさせる指導が有効だと考えます。「働くことの意義」について計画的に学習させ、利益を上げることの大変さを理解させます。そのためにも、「特別の教科 道徳」等を通して、正しい判断力と豊かな人間性を育てていきたいと思います。

求められる教育的知見

警察庁によれば、少年による2015 年の初発型非行(万引き、自転車窃盗等)の検挙人員は、2万3,458 人で、そのうち約半数が万引き(1万1,142 件)とされています。しかしながら、実際の万引きの発生件数は、これを相当数上回ると思われます。また、深刻なのは、初発だけではなく、常習化している例が多いのではないかということです。学校としては、計画的に児童生徒の規範意識を育てていくことが重要です。さらに、「万引きぐらい」「バレたら代金を払えばよい」などと安易にとらえてよいものではなく、細やかな指導と見守りが必要であることを保護者にも説明し、連携することが求められます。日頃からの家庭との連携、正しい規範意識と自己指導能力の育成に力を入れていくことを面接官に伝えましょう。

 

類似する質問例
○学級の児童生徒から「〇〇さんが万引きをしています」と相談がありました。どう対応しますか?

【クイズの答え】「ごめんなさい、すぐ行きます」ではなく「申し訳ありません、すぐに伺います」などが適切。

 

CASE52は、

本誌『教員養成セミナー2017年7月号』をご覧ください!

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