クイズで学ぶ教育法規

CASE 19 教員の兼職・兼業

教職教養の“鬼門”とも言われる教育法規。
空欄の丸数字に言葉を入れて、ストーリーを完成させてください。

 

樋口 修資(明星大学教育学部教授、東京学芸大学客員教授)

 

解答&解説

地方公務員については、地方公務員法第38 条第1項の定めるところにより、「営利企業への従事等の制限」の義務が課されています。この義務は、任命権者の許可を受けなければ、営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員などの地位を兼ね、もしくは自ら営利企業を営み、または報酬を得ていかなる事業・事務にも従事することが禁止されています。

これに対して、公立学校の校長や教員等については、教育公務員特例法第17 条第1項の定めるところにより、教育に関する他の職を兼ね、または教育に関する他の事業・事務に従事することが本務の遂行に支障がないと任命権者が認める場合には、給与を受け、または受けないで、その職を兼ね、またはその事業・事務に従事することができるという特例規定が設けられています。

答えは、①地方公務員、②教育公務員特例、③教育、④任命権者となります。

押さえておきたいポイント

第1に、地方公務員は、勤務時間の内外を問わず、営利企業等に従事することが原則として禁止されています。地方公務員は、全体の奉仕者として公共の利益のために勤務しなければならず、一部の利益を追求する営利企業等に関与することはその企業等と利害関係が生ずるばかりでなく、公務員としての勤務の公正な執行を妨げるおそれがあるからです。また、職員は、地方公務員法の定めるところにより、職務の遂行に当たっては全力を挙げてこれに専念すべき義務を負い(同法第30 条)、勤務時間および注意力のすべてを職務遂行のために用い、当該地方公共団体がなすべき責を有する職務にのみ従事する義務を負っています(同法第35 条)。このため、このような義務に直接・間接に悪影響を及ぼすような営利企業等に職員が従事することについては、勤務時間の内外を問わず制限する必要があるのです。

第2に、公立学校に勤務する教育公務員についても、地方公務員法第38 条の「営利企業への従事等の制限」の規定が適用されますが、教育公務員の場合には、教育公務員特例法第17 条第1項の規定により、教育に関する他の職を兼ね(兼職)、または教育に関する他の事業・事務に従事すること(兼業)が本務の遂行に支障がないと任命権者が認める場合には、兼職・兼業をすることができます。また、地方公務員法第24 条第3項の規定により、一般の地方公務員が他の職を兼ねる場合は、これに対して給与を受けてはならないこととされていますが、教育公務員については、教育に関する他の職を兼ねる場合で任命権者が認めるときは、給与を重複して受けることが可能とされています。なお、県費負担教職員の任命権者には、市町村教育委員会が該当します(教育公務員特例法第17 条第1項)。

第3に、教育公務員の兼職・兼業への従事について特例措置が設けられているのは、①教員の有する知識、能力等に関し、他に適格者がいないことが多く、広く兼職・兼業を必要とする場合があること、②教員の勤務の特殊性から、本務の遂行に支障がないと想定される、児童生徒の夏季休業期間等の時間的余裕が認められる場合もあること、などによるものと考えられます。ただし、国公私立学校の教育を担当する講師や、図書館、博物館などの社会教育施設などの教育事業担当の職などに従事することは承認されますが、学習塾の講師を兼職することは認められません。その他、教育に関する講演や原稿執筆などについては、任命権者の許可があれば認められます。

【問題】空欄に適切な語句を記入しなさい。
1) 職員は、(①)の許可を受けなければ、……営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を(②)、もしくは自ら営利企業を営み、または(③)を得ていかなる事業もしくは事務にも(④)してはならない。

2) 教育公務員は、(⑤)に関する他の職を兼ね、または(⑤)に関する他の事業もしくは事務に従事することが(⑥)に支障がないと任命権者において認める場合には、(⑦)を受け、または受けないで、その職を兼ね、または事業、事務に従事することができる。

【答え】①任命権者 ②兼ね ③報酬 ④従事 ⑤教育 ⑥本務の遂行 ⑦給与⇒1)地方公務員法第38条第1項、2)教育公務員特例法第17条第1項

関連する教育法規

■ 地方公務員法第24 条第3項、第30 条、第35 条、第38 条第1項
■教育公務員特例法第17 条第1項

CASE19は、

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