教師の本棚

『はちうえはぼくにまかせて』

ジーン・ジオン=作
1981年/ペンギン社
¥1,200+税

夢中になれること

柳 志穂(練馬区立大泉西小学校主任教諭)

大人になってから、いくつか趣味を持つようになりました。もともと興味があって勇気を出してチャレンジしたもの、仕事を始めてお金が稼げるようになったからできるようになったことなどさまざまですが、どれも自分が夢中になれるものばかりです。でも、今までの自分を振り返ってみると、子供の頃からたくさんの物事に夢中になっていたように思います。何がきっかけだったかと問われると、思い出せないものもありますが、特にものづくりが好きでした。

今回紹介する『はちうえはぼくにまかせて』という絵本は、一度読んだら絵本の中の世界がずっと心に残っているような、素敵なお話です。

子供にとって楽しみなはずの夏休み。どこにも出掛けられないとなると、つまらない気持ちになってしまいそうな気がします。でも、この絵本に出てくる少年・トミーは違います。旅行に出かけてしまう近所の人たちの鉢植えを預かり、お世話をすることを思いつくのです。家中を植木鉢で一杯にしてしまったトミーに、驚く母親と怒る父親。でも、トミーの一言に何も言えなくなってしまいます。

「うちでは、なつやすみにどこへもいかないから、なんでもすきなことをやってもいいって、いったでしょ。」

そう言って、トミーは預かった一つ一つの鉢に合った環境を作っていきます。預かった責任からなのか、はたまたそのこと自体が楽しいからなのか…。そんな風に読み進めていくと、とても心が温まってくる作品です。

好きだからできること、気が付いたら夢中になっていたこと、何となく始めてみたら実はとても自分に向いていたことってありませんか? この絵本のトミーは子供だからこそ、そこまで夢中になれたのではないかとも思いがちですが、何かに夢中になる時って、大人も子供も同じなのではないのかと思います。もちろん、子供だからこそ何も気にせず、ただひたすら夢中になれたのだとは思いますが、そんなトミーの姿がかわいらしく、たくましく感じます。夢中になれる子供の心、大切にしたいですね。

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