場面指導

CASE 47 理科室をのぞいてみたら…

教員採用試験の面接試験で「場面指導」を実施する自治体が増えています。事例解説を通じて対応力を高めましょう。

 

ミニクイズ 体罰の禁止を定めている法律、分かりますか?

 

中根 政美(共栄大学客員教授、元埼玉県公立小・中学校長)

 

設問の状況

教育活動の一環として、ルール違反をした児童生徒に対し、罰として清掃活動などを課すことがよくあります。しかしながら、教師自身が「懲戒」の範囲だと考えて行った指示や指導が、「体罰」になってしまうケースもあり、時として重大な問題に発展する可能性もあります。本事例のように、教師の指示で教室(理科室)から出られなくなった結果、お漏らしをしたり、体調不良に陥ったりした場合、「体罰」となります。どこまでが「懲戒」で、どこからが「体罰」になるのかは難しい課題ですが、安易に罰を与えたり、見届けをしなかったりすることが、重大な事態を引き起こすことは理解しておく必要があります。「体罰」が許されない行為であることを認識しているか、「体罰」と思われる場面に接した時にしっかりと対応できるかどうか、教師としての資質が問われる場面指導です。

 

模範的な対応例

本事例における対応のポイントは、次の3点です。①状況を把握し、直ちにトイレに行かせるなど、適切な判断をすること、②「懲戒」と「体罰」についての正しい認識を持つこと、③日常的に「懲戒」や「体罰」によらない指導力を身に付けようとしていること、です。

【問】廊下から理科室をのぞくと、理科室の清掃をしている子供たちがいました。児童の1人がトイレを我慢していることが分かりました。どう対応しますか?

【答】すぐにトイレに行かせます。その上で、事情を聞き、状況を把握します。

【問】担任教師から、規律違反の罰として理科室の掃除を課されたこと、掃除が終了するまで理科室から出てはいけないと指導を受けていたことが分かりました。どうしますか?

【答】トイレに行きたい時は、行ってよいと話します。また、掃除を早く終了させるように指導します。

【問】清掃を指示した担任教師には、どう話しますか?

【答】トイレを我慢していた児童がいたこと、当該児童をトイレに行かせたことを話します。もし、お漏らしをしてしまったり、体調不良に陥ってしまったりした場合、体罰事案として重大な事態になっていたことを理解させます。

【問】それで、十分ですか?

【答】安易に罰を与えたり、罰の見届けを怠ったりすると、重大な事態になることについて、学年や学校全体で共通理解を図りたいと学年主任に話します。

【問】管理職には報告しないのですか?

【答】教頭(副校長)先生にも、担任教師と共に状況を説明し、学校全体として「懲戒」と「体罰」について、共通理解を図ることの必要性を伝えます。

【問】「体罰」を防ぐために、大切なのはどのようなことですか?

【答】日頃から「懲戒」に頼らない指導力を身に付けることだと思います。そのために、日々「研究」と「修養」に努めます。

 

求められる教育的知見

学校教育法第11 条は「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない」と規定しています。「懲戒」と「体罰」の線引きは難しい課題です。文部科学省は「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」(2013 年3月)の中で、「通常、懲戒権の範囲内と判断されると考えられる行為として、注意、叱責、居残り、別室指導、起立、宿題、清掃、学校当番の割当て、文書指導などがある」と例示しています。これらのことから「長時間の正座」「トイレに行かせない」「物を投げつける」などは、懲戒ではなく体罰に当たります。しかしながら、体罰に当たらなければよいと、安易に「懲戒」を行ってはなりません。改めて、「体罰は指導ではない」
ことを理解し、懲戒や体罰によらない指導力を身に付けることを面接官に伝えましょう。

 

類似する質問例
○保護者から「悪いことをした時は、体罰を与えてください」と依頼されました。どう答えますか?

○先輩教師から「教室内なら、立たせ続けても体罰じゃないよ」言われました。どう答えますか?

【クイズの答え】学校教育法(第11 条)

 

Case48は、

本誌『教員養成セミナー2017年5月号』をご覧ください!

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